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【競馬コラム】有終の女王グランアレグリアを象徴するキーワード

ラストランとなったマイルCSを勝利で飾ったグランアレグリア。天皇賞から中2週、コンディション面での不安も囁かれる中での一戦だったが、やはりこの距離では力が違った。着差こそ3/4馬身差だったが、馬券を買っていた人も最初から最後まで安心してみていられたのではないだろうか。

通算15戦9勝、うちG1が6勝。次々に強い牝馬が登場してくる現在の日本競馬においても、比類なき存在感を確立した。
彼女のキャリアを振り返る上で欠かせないキーワードが「挑戦」である。年明けにレースを使わず、直行ローテで桜花賞を制覇。安田記念でアーモンドアイを破りながらも、マイル路線に固執せず1200mのスプリンターズSにも参戦し後方からとんでもない脚を使って差し切り勝ち。そして5歳には中距離G1の大阪杯・天皇賞で三冠馬コントレイルと対戦..ともすれば自らの評価を落とすことにもなりかねない決断を下し、いずれのレースでも力を発揮し続けてくれた。

チャレンジスピリットの源流は、やはり藤沢和雄調教師にあったのではないだろうか。来年の2月に定年を迎える名伯楽が手掛けた「最後の大物」である。旧来の固定観念にとらわれないスタイルで大成功を収めたその集大成を、グランアレグリアが結実させたように思う。桜花賞のぶっつけはスティンガーで盛大にやらかした借りを20年がかりで返したし、2000mへの挑戦はルールの壁に阻まれたタイキシャトルの分までという強い意欲を感じた。

唯一、悔やまれるのは現役生活と新型コロナウイルスの蔓延が重なり、海外の強豪との戦いが見られなかったこと。この馬なら香港スプリントも勝てたと思うし、何ならマイルも勝って二階級制覇みたいな快挙も成し遂げられただろう。
ただ、国内に留まらざるをえなかったからこそ、コントレイルとの対決が実現した面もあるだろうし、そのあたりはないものねだりということで。

レースはホウオウアマゾンの単騎逃げが思わぬスローペースに。この日は馬場読みも非常に難しく、土曜の外差し優勢から日曜はインを通った馬の台頭も目立つようになり、馬券を買った人々はかなり悩ましかったのでは。ただ、上位人気馬がほとんど力通りに走ったことで、結果的にはシンプルに考えるのが正解への近道だったようで。

2着のシュネルマイスターは内枠をどう捌くかが焦点だったが、横山武史は及第点の騎乗ができたと思う。ダーリントンホールを交わす際に少し手間取った分だけが悔やまれるが仕方ない。来年はこの馬にマイル戦線を引っ張ってもらおう。
ダノンザキッドは相変わらずカリカリして発汗も目立つのだが、富士Sを叩いた効果もあって3着と善戦。個人的にこの馬はあまり高く評価していないのでこの好走は少し悔しいw ただ、スローペースで負荷の軽いレースになったのが奏功したのは確実。引き続き過信は禁物ということで。
逆にこういう展開だと持ち味を発揮しきれないのがインディチャンプ。どうにか接戦にまでは持ち込めたが、惜しくも馬券には絡めず。6歳秋を迎えても衰えは感じなかったが..サリオスはブリンカーの効果もあってか積極的な競馬ができたが、それでも上位とは決め手の差があった。
上位人気勢で唯一、大敗を喫してしまったのがグレナディアガーズ。序盤からあれだけガッツリ引っかかってしまってはどうしようもない。こうなってくるとフランケル産駒はちょっと立て直しが難しくなってきそうだが..

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