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【競馬コラム】奇策×再現性-これぞ彼のスタイル

明らかにハイペースだというのに、全く脚色は衰えるところを知らない。4角を回る頃には、もう逃げ切り態勢を固めていた。

パンサラッサ、必殺の大逃げ再び。

正直、福島記念は後続馬群もちょっと油断してたと思う。あんなペースで粘れるはずがないと。しかし「あれ」を見せられては他馬も簡単に逃がすわけにはいかない。今回は同型のトーラスジェミニやワールドリバイバルが、離されまいと途中まで追走。
それでも、怯むどころか後続をぶっ潰しにかかる。自分に絡んできたらこうなるぞと見せつけんばかりに、[12.7-11.2-11.3-11.1-11.3 = 57.6]の猛ラップ。ケンカを売りにかかった2頭は3角を過ぎたあたりで「ホンマすんませんでした..」とばかりにズルズル後退していった。

わかっていても、止められない。再現性が伴った奇策というものは非常に強い。完全に彼のスタイルが構築された。

もともと個性派の素質は持ち合わせていた。初勝利の舞台となった2歳秋の京都で、「芝2000mを2:0.8.4で大差の逃げ切り勝ち」という離れ業をやってのけている。当時は確か台風の接近で大雨が降り、馬場状態が不良オブ不良にまで悪化していた。それ以来netkeibaのパンサラッサ掲示板では天気予報の話が尽きなくなったわけだが、とにかく当時からインパクト十分の勝ち方を見せてくれていた。
以降は重賞・OPの常連として活躍はしていたのだが、逃げ馬として腹をくくった昨秋のオクトーバーSからの充実ぶりが目覚ましい。そこで手綱を取っていたのも吉田豊。かつてはサイレントハンターやクリスザブレイヴ、ゴーステディなどで果敢な逃げを打っていたベテランというのも一つの巡り合わせだろう。

しかしこの世代は幸さんといい渡辺薫彦調教師といいイケおじ..いやイケメンが多いな。

由緒正しき伝統のG2を勝った今、次は堂々とG1に向かいたい。さすがに昨年の有馬記念はエイヤーのチャレンジ感が強かったが、今度は有力馬の一角として名を連ねることになるだろう。定石なら大阪杯だろうが、そこは常に世界を視野に入れる矢作芳人厩舎のことである。ドバイターフという選択肢も有力になってくるだろう。ちょうど前日のサウジアラビア国際競走でも日本勢が大暴れし、中でもオーソリティやステイフーリッシュのように先行する形が外国馬の脅威になりえることもわかった。
世界をドン引きさせる大逃げで、思い切りスタイルを貫いてほしい。

すばらしい写真。

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