見出し画像

【競馬コラム】「1戦1勝」への期待と信頼

この既視感よ。シンザン記念でラスールが7着に敗れてしまった。出遅れて、馬群に揉まれながら引っ掛かってしまい、直線は失速。見るも無惨な完敗だった。

単勝1.8倍。新馬戦を勝ち上がったばかりの馬に対しては、過剰と言われても仕方がない支持が集まったものである。ただ、新馬戦の勝ちっぷりは目を見張るものがあったし、レース後にルメールが残した「新しいグランアレグリア」というコメントも決してリップサービスとは思えないほど印象的だった。それゆえここも問題なく突破して、一気に桜花賞戦線の主役に躍り出ても不思議ではないと期待を寄せていた。

だが、馬券を買うとなると話は別である。

「3歳重賞における1戦1勝の1番人気馬」は過去の歴史からも危うさしかない。同じシンザン記念でも2年前にはルーツドールが単勝1.6倍の支持を受けながらも大敗。きさらぎ賞のダノンマジェスティ、クイーンCのルナシオン..2勝馬や重賞好走馬を差し置いて主役候補に推されながらも重圧に屈した数々の事例に、また一つ新たなページが付記されることとなった。時には京成杯2着のスカイグルーヴのように馬券圏内に踏みとどまるケースもあるが、総合的に判断すれば無条件で評価を下げてもいいんじゃないかと思うほど、「1戦1勝の人気馬」は信頼してはならない。

期待と信頼。同じようにポジティブなニュアンスを含めた言葉だが、意味合いは似て非なるものということだ。


ちなみに、月曜のフェアリーSにも1戦1勝馬が5頭出走したが、ビジュノワールの3着が最先着。全馬が1勝馬という、決して格負けはしていないメンバー構成でも、やはりキャリアの差というのは大きいようだ。
勝ったライラックは1戦1勝で臨んだラジオNIKKEI杯京都2歳Sで8着と大敗。前走時は馬運車に乗るのも嫌がるほど気難しさを出していたようで、長距離輸送によって馬体重も大きく減らしていた。その教訓を経て今回は馬運車に慣れるためのシミュレーションやゲート練習なども入念に重ねたことで巻き返しに成功。敗れた経験が実を結ぶことだってあるのだ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?