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【競馬】第1回・種牡馬最強世代ランキング決定戦(後編)

「種牡馬としての最強世代はいつなのか?」という疑問の答えを探し出すため、現役時代を日本で過ごした種牡馬のうち、国内もしくは海外の平地G1勝ち馬を輩出した馬が多いのはどの世代かを調査する企画の後編。

前編では、やはりキングカメハメハ世代が質量ともに圧倒的な存在感を示した。しかしまだまだ結論は出ていない。特に「あの世代」や「あの世代」にかかる期待は大きい。引き続き楽しんでいただければ。

● 2003年クラシック世代(2000年産まれ):2頭

<主な種牡馬>
ネオユニヴァース ★
ゼンノロブロイ ★
ザッツザプレンティ
サクラプレジデント
ウインクリューガー

意外にも振るわなかったのが「ネオユニ世代」。その筆頭格である二冠馬ネオユニヴァースは、ヴィクトワールピサにロジユニヴァース、アンライバルドとクラシックホースを送り出した。4歳になって秋古馬三冠をジャックしたゼンノロブロイも、オークス馬サンテミリオンを輩出したが、期待ほどの活躍は見せられず。せめてペルーサが..w
その他も目立った成績を収められた種牡馬はおらず。そもそも競走成績自体が他の世代に押されがちだったかもしれない。

● 2002年クラシック世代(1999年産まれ):6頭

<主な種牡馬>
タニノギムレット ★
シンボリクリスエス ★
ゴールドアリュール  ★
デュランダル ★
ローエングリン ★
アドマイヤマックス ★
ノーリーズン
アドマイヤドン
ヒシミラクル
テレグノシス
サニングデール

これは04年クラシック世代に肩を並べる強力布陣。タニノギムレットはウオッカを送り出し「父娘二代の日本ダービー制覇」という空前絶後の記録を打ち立てたし、シンボリクリスエスはエピファネイアを出したことでサイアーラインが伸びていくかも。ダート種牡馬の祖ともいうべきゴールドアリュールが名を連ねているのもポイント高し。
血統面では世代トップクラスの期待を集めたローエングリンもロゴタイプらを出して良血の面目躍如。短距離の名刀デュランダルは意外にもオークス馬エリンコートを出したのもおもしろい。アドマイヤマックス産駒のケイティブレイブは交流G1を制し、現在もまだ奮闘中。

● 2001年クラシック世代(1998年産まれ):5頭

<主な種牡馬>
アグネスタキオン ★
マンハッタンカフェ ★
クロフネ ★
ジャングルポケット ★
ミスキャスト ★
ツルマルボーイ
タイムパラドックス
カルストンライトオ
アグネスゴールド

ケガに泣く馬が多かったが、間違いなく天才たちが揃った黄金世代である。クラシック三冠を分け合った3頭がそれぞれ種牡馬としてもG1馬を出し、3歳で芝ダート両G1を制する離れ業をやってのけたクロフネも後継にこそ恵まれなかったが大成功を収めた。アグネスタキオン・マンハッタンカフェはリーディングサイアーにも輝いた実績がある。そして天皇賞で波乱を巻き起こしたビートブラックの父ミスキャストも認定。
番外編としては、南米で名種牡馬となったアグネスゴールド。まさかこんな運命が待ち受けているとは..w

● 2000年クラシック世代(1997年産まれ):1頭

<主な種牡馬>
アグネスデジタル ★
エアシャカール
アグネスフライト
タップダンスシチー
エイシンプレストン
イーグルカフェ
ゼンノエルシド
ノボジャック
カネツフルーヴ
レギュラーメンバー
ダイタクリーヴァ

うーむ、この苦戦ぶり。まあだいたい予想はできたけど。クラシックホースの2頭が現役生活後半から不振に陥り、種牡馬としても活躍馬を出せず。エアシャカールなど放牧中の事故で若くして亡くなり、残した産駒はほんの数えるほどだった。
一方でタップダンスシチーやアグネスデジタル、エイシンプレストンら外国産馬が息の長い活躍を見せたことでも知られる世代。ただ彼らも種牡馬としては目立った結果を残せず。あわやG1サイアー全滅かというところで、辛うじてアグネスデジタル産駒のカゼノコがジャパンダートダービーを制していた。

● 1999年クラシック世代(1996年産まれ):3頭

<主な種牡馬>
アドマイヤベガ ★
アドマイヤコジーン ★
サウスヴィグラス ★
テイエムオペラオー
ナリタトップロード
メイショウドトウ
ノボトゥルー
トロットスター
ラスカルスズカ

泣く子も黙るテイエムオペラオー世代。しかし肝心の王者が産駒には恵まれず、その最大のライバルだったメイショウドトウも不振。
そんな世代で面目を保ったのはやはりダービーウィナー。アドマイヤベガがキストゥヘヴンやブルーメンブラットなど牝馬のG1馬を輩出した。また同門のアドマイヤコジーンもスノードラゴン・アストンマーチャンがG1馬に。
また短距離ダート王サウスヴィグラスも、コーリンベリー・ラブミーチャンと快速牝馬を輩出。ヒガシウィルウィンはジャパンダートダービーを制した。
あとはベッラレイアの鼻がもう少し高ければナリタトップロードもここに仲間入りできたのだが..w

● 1998年クラシック世代(1995年産まれ):4頭

<主な種牡馬>
スペシャルウィーク ★
グラスワンダー ★
エルコンドルパサー ★
キングヘイロー ★
セイウンスカイ
エアジハード
ウイングアロー
マイネルラヴ
アグネスワールド
ディヴァインライト

やっぱこの世代よ。日本で走った名馬の血が当たり前のように後世に残るようになり始めたのは、間違いなく彼らが出発点。この後も調べてみるとわかると思うが、同世代でこれだけ種牡馬としても成功を収めるなんてケースないんじゃないかな。
中でもグラスワンダーはスクリーンヒーロー→モーリスと直系を伸ばせそうな勢い。この最強世代においてもやはり「グラス最強」ということになるのだろうか。
早逝したエルコンドルパサーの血も母系で長く引き継がれてほしい。オーソクレースらの頑張り次第か。

● 1997年クラシック世代(1994年産まれ):2頭

<主な種牡馬>
タイキシャトル ★
ステイゴールド ★
サニーブライアン
マチカネフクキタル
メジロブライト
シルクジャスティス
ブラックホーク
ダイタクヤマト
メイセイオペラ

タイキシャトルは現役生活のインパクトを考えると種牡馬としてはちょっと物足りなかったですね..メイショウボーラーに続く二の矢がほしかった。他が振るわない中で大種牡馬になったステイゴールドはやっぱりどこかおかしい。そしてぜひともこの中にサイレンススズカの名があってほしかった。

● 1996年クラシック世代(1993年産まれ):2頭

<主な種牡馬>
ダンスインザダーク ★
フサイチコンコルド ★
バブルガムフェロー
イシノサンデー
シンコウフォレスト
シンコウウインディ
マサラッキ
タイキフォーチュン
ロイヤルタッチ

俗に言う「SS四天王」世代だが、種牡馬としても成功を収めたのはダンスインザダークのみ。父同様、菊花賞に強い穴馬を多数輩出した。ただステイヤー色の濃いキャラになったためさらなる血の継承は難しそう。
フサイチコンコルドもブルーコンコルドがダートで活躍したため認定。他にもバランスオブゲームら個性派を多く出した。

● 1995年クラシック世代(1992年産まれ):1頭

<主な種牡馬>
フジキセキ ★
マヤノトップガン
ジェニュイン
タヤスツヨシ
マーベラスサンデー
ヒシアケボノ
グルメフロンティア
タイキシャーロック
アブクマポーロ

燦然と輝くフジキセキ。サンデーサイレンス産駒最初の大物は種牡馬としても「長男」としての威厳を保ち、太く長く活躍馬を送り出し続けた。
マヤノトップガンも重賞勝ち馬は出たのだが惜しくもG1までは..ムスカテールがどさくさ紛れに交流G1を勝てればよかったのだがw

● 1994年クラシック世代(1991年産まれ):0頭

<主な種牡馬>
ナリタブライアン
サクラローレル
タイキブリザード
オフサイドトラップ
ライブリマウント
シンコウキング

いやー厳しい。鬼のような強さを誇ったナリタブライアンやサクラローレルも名種牡馬にはなれず。

● 1993年クラシック世代(1990年産まれ):0頭

<主な種牡馬>
ビワハヤヒデ
サクラチトセオー
ネーハイシーザー
ウイニングチケット
ナリタタイシン
ダンツシアトル
エルウェーウィン

これくらいになるとG1を勝っているかどころじゃなく、OP馬を一頭でも出せればセーフくらいの基準になってくる。ビワハヤヒデ産駒のサンエムエックス、サクラチトセオー産駒のラガーレグルス、ネーハイシーザー産駒のヒマラヤンブルー..
一方ウイニングチケットの血は2021年の現在もレイパパレによってG1で通用しているという奇跡が。オイスターチケットって本当に不思議な繁殖牝馬だと思います。

● 1992年クラシック世代(1989年産まれ):1頭

<主な種牡馬>
サクラバクシンオー ★
ミホノブルボン
トロットサンダー

G1を勝って種牡馬入りした馬の少なさ。本当ならライスシャワーがここにいるはずなのだが..
この流れで出てくるサクラバクシンオーの偉大さ。彼くらいの突出したスピードと血統の良さがないと血をつないでいくのは難しい。ビッグアーサーがハマればさらなる継承も見えてくるが..

● 1991年クラシック世代(1988年産まれ):1頭

<主な種牡馬>
トウカイテイオー ★
ヤマニンゼファー
レオダーバン
イブキマイカグラ
ナイスネイチャ
フジヤマケンザン

こうして振り返るとトウカイポイントがマイルCSを勝ったのってめちゃくちゃ重要イベントですね。トウカイテイオー産駒がG1勝ち。しかも同じ勝負服で。ああ去勢されていなければ..
ヤマニンシュクルも出たし、他にもコンスタントに走る仔がいましたよね。トウカイパルサーとかタイキポーラとか。帝王の血は偉大だったのだ。

● 1990年クラシック世代(1987年産まれ):3頭

<主な種牡馬>
メジロライアン ★
ダイタクヘリオス ★
アイネスフウジン ★
メジロマックイーン
ハクタイセイ
メジロパーマー
レッツゴーターキン
プレクラスニー

G1サイアーが3頭登場した「昭和生まれの黄金世代」。メジロライアン産駒に関しては僕が競馬を見始めた頃にメジロドーベル・メジロブライト・エアガッツが活躍しており「ライアン旋風」として盛り上がっていたのを思い出す。当時は何がそんなスゴいのかピンと来ていなかったが、今ならわかるぞその偉業が。
ダイタクヘリオスは完全なる一発屋。しかしダイタクヤマトが受け継いだスピードは一流のものだった。そして忘れちゃいけないのがアイネスフウジン産駒のファストフレンド。
世代のエース・メジロマックイーンの母父としての活躍ぶりは周知の通りである。

● 1989年クラシック世代(1986年産まれ):0頭

<主な種牡馬>
ウィナーズサークル
ドクタースパート
バンブービギン
オサイチジョージ
サクラホクトオー

現役の間からスターホース不在、まさに「谷間の世代」と言えるだろう。一つ前の世代があれですからね..

● 1988年クラシック世代(1985年産まれ):1頭

<主な種牡馬>
サッカーボーイ ★
オグリキャップ
スーパークリーク
サクラチヨノオー
ヤエノムテキ
バンブーメモリー
ダイユウサク

競馬ブームの火付け役となってくれた世代。今日、我々が日常のレジャーとして競馬を楽しめているのもオグリキャップを筆頭とした彼らのおかげである。それでも活躍した産駒の数はごくわずか。武豊の恋人スーパークリークも同様である。
そんな中、近代まで通用し続けたサッカーボーイはちょっとおかしい。サクラバクシンオーの項でも触れたが、やはりあれくらい圧倒的なスピードがあれば生き残っていけるということか..



これ以上は遡っても数えるほどしか出てこないと思われる。それこそシンボリルドルフ・ニホンピロウィナー・アンバーシャダイ・トウショウボーイ..あとはハイセイコーとかシンザンとか、それくらいじゃないですか? なのでこのへんで締めようと思います。すっかり長くなりましたが、最後までお付き合いありがとうございました。

こうして振り返ってみると、やはりサンデーサイレンスの登場が日本調教馬の血統レベルを大きく引き上げたことがわかりますし、特にスペシャルウィーク世代の活躍は「血を残すこと」を当たり前にしてくれたように感じています。これって今の競馬のめちゃくちゃいいところなんですよね。名馬の産駒が活躍してくれる..80年代のファンからしてみればうらやましくて仕方ないんじゃないかと。

で、最強世代は結局いつだったんでしょうねw 時代を変えてくれた98年クラシック世代か、リーディングサイアーが2頭いる01年クラシック世代か、芝ダート問わず活躍馬を出した02年クラシック世代か..でもやはり04年クラシック世代の層の厚さにはかなわない。年度代表馬の父が3頭いるというのも箔が違いますわ。

ということで、04年クラシック世代の皆さんおめでとうございました!

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