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和階堂真の事件簿-TRILOGY DELUXE- ~紫煙とロングコートと事件の薫り~

■1人用
■推理アドベンチャー
■プレイ時間:4話やって多分8時間くらい(寝落ちたので記録は15時間)
■steam/swith/iPhone,Android

(公式サイトはこちら https://wakaido.hakaba-bunko.net/

iPhone、Androidにて単話売りされているものをギュギュっとつめて書き下ろしシナリオも加えた4作品が入ったこちらをプレイしました。
1話1時間でクリアできるとのことだったんですけど、後半に行くにつれてもうちょい時間かかった こういう推理ゲームとかパズルゲームって一回思考の沼にはまると抜け出せないよね…
私はまさにそれでした。

以下いつものようにネタバレなし感想
今回各話で見出しつけてみましたが、テーマが何の事件なのかには触れてますが一切ネタバレなしなので安心してください!
そんな犯人はヤスみたいなことしません

カラーパレットがシックでとてもいい
ゲームボーイっぽい

ネタバレなしエリア

概要

主人公の和階堂(刑事)が様々な事件現場にやってきて、足で情報を集めて謎解きをしていく推理ゲーム。
所謂前振りパート(今回の登場人物が出てきたり和階堂がここにくる経緯みたいなのをやるパート)はほぼなく、和階堂が刑事だから当たり前なんですがすべてはコトが起きたところの現場検証から始まる。

事件関係者に聞き込みをする
作業としてはポイントクリックタイプ。

基本的には証言を得ると、関係者に聞き込みできることが増えて、話が進んでいく1Q1Aみたいな感じの進行なので結構粛々とした遊びにはなる。
(私はそれで寝落ちた)
ただ、クラシカルな雰囲気とBGMが相まってその粛々とした感じがベテラン刑事感あっていい。
たとえ謎に詰まってウンウン選択肢の総当たりをしていたとしても心はベテラン刑事なのである

重要な証言をセットして話しかけると
その事柄について証言を聞き出すことができる

steam版の「TRILOGY DELUXE」は4話入ってるんですが、どれからやっても問題ないし、すべて基本のキから始めてくれるので、もし気になったら(そして寝る前にちょっとやるのにめちゃくちゃ丁度いいので)触ってみて損はない。
気になるテーマの事件を遊んでみてもいいかも。

前回遊んだ「未解決事件~」が時系列組み立てパズルゲームっぽい推理をさせてくるタイトルなら和階堂は事件の全容を紐解いていく、パズルゲームみたいなパズル要素は一切ないです
ほんとに100%テキストアドベンチャーです。


1 処刑人の楔

このメニュー画面がボクセルアートなのもいい
箱庭感と単話のマッチ感がある…

基本的な遊び方と、シンプルだけど興味を引く「宗教」がらみの事件の話。
謎解きはとてもシンプルながらもストーリーの捻りみたいなのもちゃんとあって非常に楽しかった!
クリアしたときのすっきりした感じとか単話だからこそのサクサク感も非常に良かった。ええっこのクオリティであと3話も遊べるんです???
大体これやると「はーんこういう感じね了解」ってなる……


2 隠し神の森

…っておもうじゃん?
これはいわゆる田舎と地主の名家と伝承のはなし
TRPGでまれによくみるアレです
また1のやつとはちゃんと味付けが違うのがとってもいい。普通に私はこういうミステリ(幽霊、伝承、民俗学的な…)そういうテーマが無限に食べれるくらい大好きなのでめちゃくちゃ楽しんだ。
もうこのテーマで犯人は想像つくと思うんですけど、未来予知系刑事たちにもちゃんと楽しめる展開が待っているので、テーマ好きだったら満足できるボリューム。


3 影法師の足

こちらは「刑事が犯人にされてしまう」やつ
い、色んな探偵もので1回はあるやつ~~~~~!!!!!サスペンス的な要素が入ってきてハラハラするのがいいですよねこういうの。

これが個人的にめちゃくちゃ複雑だった。これまで様々な推理ものをやっているのである程度予想ができているものの、そこに辿り着くためにどういう情報を求めていけばいいのか、っていうのがすごい難しく感じた。
いやでもクリアしたときの達成感とスッキリ感みたいなのはめちゃくちゃあったのでそういうサスペンスっぽさが好きな人はこちらがいいかも


4 指切館の殺人

こちらは陸の孤島と殺人事件タイプ
たまたまその場に居合わせた宿泊客が……これはまあ刑事っていうより探偵っぽいけど刑事か探偵かなんてささいな差異
とにかく嵐で橋が上がってしまって閉じ込められた和階堂と、そこで起きる事件と過去の謎…みたいなものが的がテーマ。
壮大なミステリっぽい文脈だけれどあくまで1時間で1タイトル遊べる…が売り文句なので、さっくりさっぱり楽しめる。
ちなみに私これEDみて「おおおおおお」って声を上げた。


まとめ

そんなわけで、むかぁ~~~しに100均でPCゲームが買えた時代があってですね
シンプルシリーズっていうのがあったんですけど

…あったんですけど

そういう短時間で「やった気になれて読後感がいい」みたいなものはきちんとあったしシリーズ遊んでも同じ味にならないように展開や遊ばせ方にも工夫している感じが随所にあってよかったな、と思えた。
冒頭にも書いたんですけど夕飯食べて暇だなー、みたいなときにやるのにめちゃくちゃ良い。
簡略化されていていてシンプルになっているものの、クラシカルなミステリのテーマを味わうこともできるし、やり切った後のドラマ1話分見たな、感みたいなのはちゃんとあったので、そういうのが欲しい時にオススメ
スマホでできるのがいいよね、しかも単話売りなのもいい


以下ネタバレありのまとめ感想



随所にはいる整理パートもなんかいい
なんでこんながれき浮いてるんだ、とかおもったけど味があっていい




ネタバレあり感想

推理ゲームの根幹は「すっきり」感だと個人的には思ってて。
アクションゲームやストーリーのボリュームがあるゲームにおいて謎の複雑さとか不可解さみたいなのはそこを味わうためのスパイス的な…
探偵が、刑事が、謎を解いた時に「え、じゃああれは何だったの?」「それは物理的に無理じゃない…?」「なんでそんなわざわざ苦労を…」みたいな違和感とか納得できない感があるとプレイヤーは結局作中の人物たちの盛り上がりに置いて行かれてしまう。

そうなると作品(とりわけゲームという媒体で見ると)結構致命的だなあと思うわけなのですが、この作品はそういう思考になる部分を結構ばっさり切っていて、奇怪な謎やトリックを用意するというよりは「謎を解いた気分にさせる」ことに注力しているような気がする。

どのタイトルもテーマを「推理もの/探偵もの/刑事ものあるある」レベルで分かりやすくしているのも「犯人を当ててね」という点にフォーカスしているというよりはその雰囲気や流れを楽しむものというか。展開や犯人が分かりやすいからこそ、地道に証言や証拠を集めていくことに「この事件の背景」を肉付けしていくような感覚というか。
だからどの事件も犯人はわかりやすくなっていて、プレイヤー側は「なんで事件が起きたんだろう」っていう事情部分にフォーカスできる。

さらにその淡々と、お決まりの展開で進んでいった先にちょっと「おっ」となるストーリー展開を置くことで脳がぎゅるん、と動く感じがあって
だからこそ1話1話を遊び終えた後に「スッキリ」した感が生まれているんじゃないかなあと思う。

個人的には「謎が面白かった!!」というより安心して見れる木曜8時のドラマ、ってかんじでとてもよかったなとおもえるタイトルでした。


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