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SEASON -A letter to the future-「当たり前のように浪費される今日に」

■PS4/5 PC(Steam) 
■サイクリングアドベンチャー
■1人用

https://store.steampowered.com/app/695330/SEASON_A_letter_to_the_future/



概要(ネタバレなし)


例えばこんな夕暮れがあった ちょっとじめじめとして、それでも陽射しが強い時間

前からやりたくてしかたなかった1タイトルがサマーセールになってたので、満を持して購入しました。
自転車にのって、終わりを告げる世界を巡り、記録する。そういうストーリー。

ちなみにここでいう”season”は「季節」というより”時節”的なニュアンスが強めの季節。この世界は「人々の歴史的な切れ目」を”季節”という単位であらわしていて例えば繁栄期は「輝く黄金の季節」というseasonの名前をしている。

美しい季節、特に何かあるわけではないが、ただ時間が流れている

主人公はそんな世界の自分が生きた季節がもうすぐ終わることを告げられ、「いったい自分が生きたこの季節はどんな季節だったのだろう」と疑問を抱き、山奥の村から自転車で飛び出す。


夏の終わりのような空気を感じる景色


当たり前の一日

例えば何も予定がない日、仕事に行く日、学校に行く日
一年後には忘却されてしまっている一日。
そういった当たり前の一日を記録する。

例えば風のにおい、聞こえる音、今、私は何を考えているか……

記録に残すほどのことじゃないからこそ、記録に残して忘れないようにする。

撮った写真や見つけたもの、聞いたものをスケッチ・スクラップ・録音できる

そういう些細な……言い方を変えると繊細なものを、プレイヤーが気の赴くまま、感じたまま、あるいは主人公の発想に感化されて、記録する。
そういう、自分の感動をみつけていく、そういうゲームです

やや神様とかリアルとは違う常識がある世界観なので、そういう不思議もぜひ楽しんでほしい。
というか貼ったスクショが好みっぽそう、っておもったらぜひやってほしい

語り継ぐもの、記録するもの、ただ、おぼえていたい、そんなこと




クリア済み感想 (ネタバレエリア)


この鈴の音の美しさよ

上記のエリアでも話したんですけど、本当に繊細で美しいゲームだった。
造形美とかではなくて、本当にそこにある1日の生活を、誰かの食べかけのご飯のような、そういう気にも留めない「当たり前」を見ていくゲームだった、と思う。

例えば似たような感情になる類似ゲームで「Assemble with Care」とか「Unpacking」とか…「Everybody’s Gone to the Rapture -幸福な消失-」とか…?
”追憶”とか”慈しむ”みたいな感情がでてくるような、そういうきっとこういう生活をしてるんだろう、こういう景色があるのだろう…みたいなことを想像して、思わず笑っちゃうような、そういう…

もちろんこれをやっていると「超常現象」的なものに答えが欲しくなるし、結局忘却とは何だったのか、と思うと思うしグレイハンズは結局何だったのか、みたいな感じになると思うし、明言されない世界の謎にモヤモヤして終わる人もいると思う。
でもそれもまた「感じた」ことなんだと思う

私はまだグレイハンズが作る世界が美しいとは思えない。
おそらく個人社会でちいさなかたまりだった生活が集合住宅に移ることで社会的な生活になっていくんだろうと想像ができる。

少なくともそこには今旅をしたこの季節の郷愁みたいなものはそこにはないんだろうなと思うし

 

忘れることでしか前に進めないこともあるだろうし、
覚えているから今日生きているのかもしれない

けれどグレイハンズが作った”忘却”の向こうの新しい世界にも新しく苦悩があって、忘れたい出来事も忘れたくない愛もそこにあるんだろうな

私は少なくともあの美しい朝に母と朝食を一緒に食べたことを忘れたくはないって思うよ

あの美しい村は季節の変化に耐えられる(忘却しない)って言われてるから、
多分この先の人生も忘れずに生きていくんだろうな

言葉の間を、空気のにおいを、それから行間を
読むゲーム。そして自分の今日を慈しむゲーム。そういう感想です。


考察というか

そんなたいそうなものではないんですけど、やってて思った世界の作り

神様の名前が全体的にネガティブな意味を孕んでいるのが適度に邪神感があって、なんていうか戦争の季節に信仰された神様(概念)なんじゃないだろうか。
黄金の季節にも神様はいたけど、それよりも喪失や無力を感じて打ちひしがれた人々に求められたのがこの3人の神様(概念)

ヴォイド:無の空間、空の場所、無効
タイド:干潮、潮の流れ
ディン:騒音、雑多な音、騒がしい

って意味なので、だから願いのリボンにも悲痛な願いばかりが残されていたんじゃないだろうか。
戦争の季節が”眠り”によって終わらされたということは、正確にはその季節自体は終わっていなくて、眠りから覚めてしまえばまた悲しい現実が、争いが起こる可能性があって誰しもがその不安と悲しさから立ち直るチャンスを探していたのではないだろうか

で、悲しみを抱えた人たちは、悲しい記憶を捨てたかった、眠りについて目をそらしたかった、だから忘却を願っていて、そして神たち(概念・紫色の石)はそれを良しとした
だから、記憶から消えたこと、忘れたこと、覚えられないこと、を共有している人たちの記憶にも影響がある

そしてその性質を科学的に解明したのがグレイハンズたちで、そしてその力(地球の悲しみ、星の鉱石の影響)を使ってむりやり戦争の名残の季節を終わらせたのではないか

というのが想像です


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