文極キャス20180109【相変わらず無題】
裏返して
濃藍の面を
月も星もない夜の話を
彼女は語り出す
切っ先を喉元に触れさせたまま
絶対に血は流さないように
気をつけて 気をつけて
時に黒曜に光を灯し
三夜を浮かべて
鈴音が背骨を滑り落ちる
震えを観察しながら
彼女は気をつけて 気をつけて
味はいかが
ミードを傾けてくる手を
右目で追う
表に返して
千歳緑の面を
彼女は光と三夜を空に上げる
切っ先は喉元に滑り込んでとろけた
鈴音が輪のように取り巻いて
歌を奏でた
ミードの香りがあたりをそっと満たす
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