文極キャス20171206【天満月】

29.53夜に1夜の酩酊だった
酒精なしに揺れる脳と視界にももう慣れていた
けれど酩酊の夜は突然に増える

白い肌のその女は
僕の脳と視界を揺らすようになり
酒精なしのそれにももう慣れていたはずが

名前はあなたがつけて
というので
天満 と


知らない香りに記憶は紐付けされ
街中でそれが香らないことがせめてもの救いだった
陽の下でまで明き夜に誘われては

持たぬ曲線を追い
空にない球を掴む
僕の下の白は薄く笑んで
揺れる 揺れる 揺れる 揺れる

欠けぬ月は幻だと口の中を転がす
飲み込み 腑へと下ら せ よう と

最初から終わりの気配をまとう模造の月は
今夜も笑んでいた
背中に抜けて落つ花は重なり
いつしか見失う
全て 染まる 飲まれる 奪われる 埋め尽くされる 全て
全て 白に 白が 僕は 白を


窓の外の白く円い明かりが
花に塗れた部屋をぼやと照らしている
部屋は絵となり
色を変えながら朝へとたどり着く

月は失せた
36.6℃を道連れにして

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