すまいのこと

私は、小さい頃から家のことやインテリアのことに興味があり、建築やデザインの学校に進んだ訳ではないが、現在、縁あって関連の職に就いている。

きっかけは生まれ育った家の様式だ。

私の実家は、田舎の木造平屋建てである。例えるなら、サザエさんやちびまる子ちゃん家のような格好だ。祖父母も同居し、完全な二世帯ではないが、トイレ、風呂、洗濯機は2つずつ備えていた。地元にはマンションなども殆どなく、卒業アルバムの住所録などを見ても、戸建て住まいが9割くらいを占めていた。但し、その中でも大半は二階建てで、当時の私は家の中に階段があること、ベランダがあることにとてつもなく憧れを抱いていたのだ。

母方の祖父母宅も平屋建てだったが、ある日敷地に叔父家族の離れが建った。私が住む訳ではないが二階建てが身近になった瞬間だった。叔父家族の引き渡し前、何度も階段を往復し、雨の日でもベランダに出ては景色を堪能した。

そうして、いつからか、住宅チラシを集めるようになり、そこに載っている簡単な間取り図を見ては、部屋の割り当てを考えるという遊びをするようになった。自分の部屋は絶対二階で、ベランダがあって、、トイレは玄関先で来客とバッティングしないように極力奥まったところがいい、など小さいながらに、住んだ時のシチュエーションまで想像して考えていた。

しかし、進学を機に地元よりは多少都会な県外に出て、マンションの多さや一軒あたりの土地の狭さを目の当たりにすると、不思議なもので実家がよく思えてくる。

生まれた時から変わらない実家は、やはり所々傷んだり、修繕すべき箇所もあるが、私にとってはいつまでも落ち着く場所なのだ。

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