ニュージーランドの小学校で食べられる朝ご飯
まいあさ娘の小学校では、外のテーブルで牛乳を飲んだりシリアルを食べたりしている子をみかける。食べている子は、毎回同じではない。低学年の子から高学年の子まで。家で朝ご飯を食べ損ねたから……というわけでもなさそうだ。
「なんだろう?」と思って調べたら、政府が実施している「Kick Start Breakfast」というプログラムだった。
ニュージーランドの大手シリアル会社「Sanitarium」と、大手ミルク会社の「Fonterra」が教育省と提携して実施している支援プログラム。シリアルと牛乳が小学校に無償で提供され、学校側はそれを子供たちに振舞うことができるというもの。
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このプログラム、2009年にスタートしたもので、もとは低所得者層の学校を対象にしたものだったらしい。(NZにはDecileという教育省の学校ランクがあり、1から10の数字で学力の達成度や寄付金の額等を反映して評価されている)。
2013年にNZ全国のすべての学校が対象となり、いまでは1000を超える学校で導入されている。
学校は、シリアルのボウルや朝の時間帯に提供を手伝う人員を集める。すべて、ボランティアの善意と企業の無償提供で成り立っているため、子どもたちはお金を払う必要がない。
小さいながらも先進諸国の一つとして、子どもの自由な教育のイメージがあるニュージーランドだが、貧富の格差も社会問題となっている。給食が一般的ではないため、十分なランチを持っていけない子どもが多数在籍する学校もある。
もとは「朝食が満足に食べられない子への支援」としてはじまったプログラム。子供たちの栄養を支えることはもちろん、一日のはじまりに「社交の場」としても機能している。
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うちの娘は、毎日朝ご飯を食べているが、このKick Start Breakfastで牛乳を飲むのが好きである。朝食が提供されるのは、8時45分まで。早めに学校に到着した日は、仲良しの友達と連れ立ってKick Start Breakfastの看板が出ている建物に向かう。
ボランティアで手伝いをしている親から牛乳を受け取り、校庭の隅に腰かけ、笑いながら友達と飲み始める。
個人的には、小学校には「モーニングティー」とよばれる朝のおやつの時間もあるのだから、授業前に牛乳を飲まなくてもいいのではと思う。
しかし、子どもたちにとっては「お楽しみ」の一つであるのだろう。学校によっては、上級生が朝食提供の手伝いをするところもあるらしく、小さな子の面倒を見るのを学ぶ機会にもなるのだとか。
朝食を食べた・食べていないにかかわらず、誰でもが歓迎されている場があるのはやさしいなあと思う。
牛乳片手に友達とおしゃべりしている娘を見ると、お茶好き・会話好きの人が多い国民性は、こういうところから作られるのかもねと感じる。
職場でも、10時のティータイムをとる人は多い。以前勤めていた会社では、月曜の朝はミーティングと称して、マグカップ片手にお菓子を囲むのだった。
1日のなかに余白がある。私が好きなニュージーランドの一コマである。
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