あたしの、ひとりきりの部屋から
あたしは二度と戻りたいとは思わない。
あの、はじめて暮らした、夜の星も見えない、ひとりきりの部屋には。
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2005年4月、東京。
夕方になると、あたしはぐったりと三鷹駅に降り立つ。大学の課題がたんまり入った手提げが重い。陸橋から、ビルに挟まれまっすぐに伸びる大通りを眺めた。
あたしを知っている人は、誰も、この街にはいない。
夕焼けに染まるはずの空は、灰色の建物に遮られ切り取られている。どこにもつながらない身体を、重い足取りで動かした。
夕飯を買って帰らなきゃ