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『発掘された日本列島2015』の埴輪目撃談


第21回の列島展は埴輪がメインだ!

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会場に入る前から見えてる見えてる

入口すぐの島に直置き。
栃木県下野市の甲塚(かぶとづか)古墳出土の埴輪10体。

中でも目玉は

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機織り形埴輪2体

右から

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機台(はただい)を持つ地機(じばた)

水玉の 彼女が織るは 縞模様

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よく見ると、色付き。

残っている顔料から元型を推測した、復元イメージ図あり。
機は白黒。
織っている布は、赤と黒の縞。
上着は、白地に赤い円文。
裳(も。スカート)は、白黒の市松文様。赤い縁取りがされています。

腰の後ろにあるのは何だろう。
体を支える道具? 衣装の一部?

ちなみに、髷(まげ)も出土しているようです。
(下記の参考文献Bには髷の写真がありました)

もう一方は

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機台を持たない機

織る人は、腕のかけら以外は出土していないそうです。

どちらも、顔が失われているのがとても残念。
顔がないと、図録やポスターのメインからは外されてしまう。

でも他にも

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人物埴輪が6体 馬も2体

人物埴輪が多いと、やはり華やかで目を引く。

男子3体

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ミズラそれぞれ

では右から

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トンカチ形の下げミズラ

ほほが赤い。
なぜか口が右半分しかない。
失われた左腕。右手に捧げ持っていたものも。

上げミズラ

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やはり赤い

こちらは顔全体に彩色したのかな。
右の袖の形はどうなっているの?

おだんご形の上げミズラ

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眉に沿って赤いライン
ほほには赤い+印
おもいっきり への字口

にっこりほほ笑む隣の彼との

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この表情のちがい。

女子3体

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こちらも頭それぞれ

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右の彼女

残念ながら髷が一部しか残っていない。
おしゃれの基本の耳環もない。
顔の彩色もよく分からず。
そんな彼女の口は一文字。

への字口の彼と姿が似ている。

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卵形の頭に寄り気味の目、長い腕、全体にすらりとしている。

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白地に赤い円文の服の彼女

機織りの彼女とおそろいか。

円の中心に小さな穴。コンパスみたいな道具で円を描いたらしい。

服よりも気になるのは

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頭に乗せているもの。

一体なに? 上から撮るのはこれが限界。
公式図録(参考文献A)には「箱形の器」と記載されているけれど…
開口している、ややすそ広がりの台形、平べったい、というのは分かったが、なんなのか。
モデルとなったものの素材は?
何を入れるためのもの?
それから、額の左から突き出しているのはなに?
竪櫛? 位置が変か。

こちらは

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凝ったネックレスに白い服

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器を頭に乗せている。

器の上は閉じている。参考文献の写真ではわからなかった。
フタがかぶせてある容器らしい。
左手には二重の腕輪。
右手に持っているのはなに?

謎だらけの埴輪たち。

それ以前に
照明のために表情や彩色が分かりにくい。
特に帽子のつばや鼻の影。
もったいない。

うしろすがたも

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ながめてみるか

馬2体

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鳴り物は 左の馬鈴 右の馬鐸

本当は白馬。たてがみは灰色。
今回出演していませんが、裸馬も2体出土したそうです。

さて甲塚古墳を離れると

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腰掛(古墳時代前期)
滋賀県草津市の中沢遺跡出土

左上にご注目。
写真で登場は、奈良県の石見遺跡出土の椅子に座る男子埴輪。
この埴輪を所蔵する、奈良県立橿原考古学研究所付属博物館のマスコットキャラクター、イワミンのモデル。

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陶棺
岡山県美作市の上相遺跡(かみやいせき)・鍛冶屋逧(かじやさこ)古墳群出土

飛鳥時代のものらしい。
不思議な つのつの。
脚部は中空の楕円筒。
公式図録(参考文献A)には、上下から撮影した写真あり。
素材、つくり。焼き加減。埴輪と共通点が多いだけに、似ているなあ。

表面をよく見ると模様が

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踏まれたわけでは ありません

これで全体の半分くらいらしい。

割れて半分しか出土しなかったがために

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中が見える

こうして見ると

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馬形埴輪を追いかける謎の生き物みたい。
逃げろ馬たち!

心配しなくても馬の方が速そうだ。

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縄文土器(縄文時代後期)
岩手県滝沢市の、けや木の平団地遺跡出土

人の文様が付いている。
埴輪とのテイストの違い。

テイストと言えば

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ワイン
茨城県牛久市のシャトーカミヤ旧醸造場施設

明治14年発売の品。未開封。
輸入ワインの改良品だそうな。さらに海外向けであろうとのこと。世界と日本をぐーるぐる。
神谷バーのルーツの味かな。
しかし、たぶんもう誰も飲めない。

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蕨手刀(わらびてとう)
岩手県野田村の平清水Ⅲ遺跡出土

奈良時代のものらしい。
鞘は木、金具は青銅。鞘の中には、鉄の刀身。

ほか、気になったのは、大宰府の買地券。
墓の先住者から土地を買う。
どういうこと? ここ買ったから、ここに骨を埋めさせてねってこと?

などなど
謎は
多けれど
謎を
解くのは
まだまださきだ。

(2015/06/25江戸東京博物館訪問)

『第21回 発掘された日本列島2015 新発見考古速報』
会場および開催期間
東京都 江戸東京博物館:2015年5月30日(土)~7月20日(月)
富山県埋蔵文化財センター:2015年8月1日(土)~9月6日(日)
栃木県立博物館:2015年9月19日(土)~11月1日(日)
岡山県立博物館:2015年11月13日(金)~12月23日(水)
岩手県立博物館:2016年1月14日(木)~2016年2月28日(日) 

参考文献

A. 文化庁/編 共同通信社2015『発掘された日本列島 2015 新発見考古速報』

B. 栃木県立しもつけ風土記の丘資料館2014『第28回秋季特別展 しもつけの“埴輪群像” ―そのすがたをさぐる―』

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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。

今年も行くぞ! 列島展!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。