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『発掘された日本列島2017』の埴輪目撃談

今年の列島展は

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入口に船

埴輪は見えない…

中に入ると

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見えました左

回りこめば

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島根県松江市の史跡石屋古墳出土の埴輪3体

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力士形埴輪

頭がなくて残念ですが

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お腹は確かに力士。
その下にまわしがつくのも力士。

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足首ぐるりにトゲトゲ

以前、行田で力士埴輪展を見た(企画展 相撲 および 常設展(行田市郷土博物館) の目撃談)。

復習する。
古墳時代の力士はトゲトゲをつけていることがある。
神奈川県厚木市飯山登山(どうやま)1号墳出土の力士埴輪は、足の甲にトゲトゲ。
今城塚の力士は、腕にトゲかもしれないものをつけている。(発掘された日本列島2014 の目撃談)

石屋古墳の力士は、腕にもなにかつけていたのかな。
欠けた腕が見たかった。
ポーズも見たかった。

仕方がない。残された部分を観察しよう。

お尻側。

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お尻のほっぺに孔。

よく乾燥するように、よく焼けるように、という目的だろう。

脚結は通常ひざ下だが、この力士の脚結は膝かひざ上の高さ。

続きましては

隣の椅子。

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これは椅子形埴輪ではない。

座面の前のほう、だいぶ直しているものの

残欠部分をよくみると

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Tの字に、お尻の跡が。

誰かが坐っていたのね。

座面は板で区切られています。
その板の端には丸い飾りらしきものあり。

座面の余りというか延長部分とでも言いましょうか
その部分の左奥が残っていました。

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紋様が刻まれています。何だろう。直弧紋ぽいか。

斜め後ろから一枚。

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椅子は台に乗っている。

装飾性ゆたかな台。

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台前面右

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台前面左

台前面左のうちでも

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特にここ、X字状に交差する直線と、それに絡む曲線、明らかに直弧紋。

低い椅子だからか、足置きがない。あれば沓の跡とかありそうだが。

それにしても低い。
「倚座(いざ)人物形埴輪」とあるけど、脚を下ろしたらひざが上がって坐りにくそう。
…脚がかなり短かったのか。いや、あぐらをかいていたのかも。

全身が残っていないけど、力士形埴輪はたぶん脚長め。

最後に

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馬形埴輪

残りが良くないけど

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鼻づらあたりは残っている。

目元はだいぶ直し。

馬具が取れたところは黒い。
茶・黒・茶のサンドイッチ状態になっていることがわかる。
やはり厚みのある部分は焼成が難しいということか。

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耳にメモ。

そして
横から見ると分かる

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このお馬さんは明らかに足が短い。

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怒った?

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鼻息が聞こえる。

今回、埴輪はこの3体だけ。
残念。
もう少し来てほしかった。 

気を取り直して
埴輪以外、だけど埴輪につながるものたち。

まずは古墳時代のもの。

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入の沢(いりのさわ)遺跡(宮城県栗原市)古墳時代前期

中でも注目は

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「垂飾品」
垂飾品ってなに? どうやって使うの?

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銅鏡2枚。小さめ。うっすら赤い。

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この壺の首の形が気になる。二重口縁と呼べるものなか?

ところで
入の沢遺跡は国の史跡に指定されたそうです。

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根戸船戸(ねどふなと)遺跡(千葉県我孫子市)古墳時代終末期 の大刀
下が出土品、上が復元品。

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丸い柄頭。
大刀というより、儀仗として使うとよさそう。
柄には点刻がほどこされている。

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耳環(じかん)。

この遺跡からは埴輪は出なかったらしいが、
人物埴輪たちは、たいてい耳環をしている。

古墳時代以外のもの、でも埴輪と関連するもの。

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神明遺跡(岡山県総社市) 弥生時代中期~後期

右端の壺は

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首と口縁部分が特殊壺に似ている。

特殊壺のような胴部の突帯はないけど。
でも近い。
外面の黒焦げは野焼きのためでしょう。

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天満・宮西遺跡(香川県高松市)弥生時代後期

注目は特殊器台。

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赤く塗られているのがわかる。
紋様は綾杉紋と平行沈線。
そして、この薄さ。

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特別に丁寧に作った感がある。

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オニキシベ2遺跡(北海道厚真町)中世アイヌ文化期

水玉模様の矢筒。
その名は… 発音がわからず。

ちょっと魅かれたものたち。

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史跡・名勝 飛鳥京跡苑池(奈良県明日香村)飛鳥時代 の海老錠の牡金具(おかなぐ)。

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ばねを利用して開け閉めするらしい。

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たぶんすり鉢。筆で描いた文字の輪郭をなぞったような「水」?

しまった
これどこのだったか… たぶん水中遺跡のどれか。

後日、公式図録で確認。
神津島沖海底遺跡(東京都)のすり鉢でした。
堺または明石で生産されたものらしい。
私には「水」と見えたが「鳥のような文様」と記載されていた。
伏せると水、起こすと鳥。鳥かなー。

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高根(こうね)遺跡(岩手県宮古市)縄文時代中期 のキノコ型土製品
干しシイタケと見まごう写実性。

図録。

すべての展示物の写真が載っているわけではない。

でも、展示していない、というか展示に間に合わなかった物の速報あり。

発掘は続く。

(2017/06/15江戸東京博物館に訪問)

『第23回 発掘された日本列島2017 新発見考古速報』
会場および開催期間
東京都 江戸東京博物館:2017年6月3日(土)~7月23日(日)
青森県 八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館:2017年8月5日(土)~9月18日(月・祝)
三重県総合博物館:2017年9月30日(土)~11月5日(日)
愛知県 安城市歴史博物館:2017年11月18日(土)~12月24日(日)
長崎県 壱岐市立一支国博物館:2018年1月13日(土)~2月25日(日)

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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。

今年も行くぞ! 列島展!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。