『発掘された日本列島2019』の埴輪目撃談
今年は入室前から埴輪が見える!
メインステージに埴輪!
しかも舞台を3つ独占だ!
多すぎて収まらない!
うれしい。
右と中央の舞台2つには
円筒埴輪、朝顔形円筒埴輪、柵形埴輪(鋸歯筒形埴輪)、家形埴輪、囲形埴輪。
中央には(家と囲を別として)9体。右には6体。
岡山県岡山市の金蔵山(かなくらやま)古墳出土
解説によれば、4世紀後葉の築造。
配置確認。
前方部、くびれ寄り、西に造り出し。東に島状遺構。
造り出しも島も、四角いらしい。
造り出しには、5基以上の家形埴輪、柵形埴輪。
右端のステージの家形埴輪かな。
家形埴輪は
入母屋造り。
埴輪にしては、切妻部分が小さめ。
リアルサイズ、じゃなかった、リアルバランスか。
これが4世紀か。
いや
リアルの切妻はもっと小さいか。
裾廻突帯(すそまわりとったい)つき。
スカート状に下に長い。
その下は半円に切り欠かれている。
がっちりした家。
この扉口の脇の棒は何だろう?
別づくりの扉がついていたのかな。
囲形埴輪。
なかは空っぽ。
出土状況が知りたい。何かしらあったはず。
円筒埴輪。
黒斑がある。野焼きされたらしい。
突帯は3条。透孔(すかしあな)は逆三角形。
この朝顔形円筒埴輪はシルエットも表情もいい。
四角と半円の透孔。
本展ではいちばんのお気に入り。
島状遺構には、家形埴輪、柵形埴輪、キヌガサ形埴輪。
今回は、キヌガサ形埴輪は来ていなかった。残念。
墳丘と島状遺構との間には、家形埴輪、柵形埴輪、囲形埴輪。
解説によれば、この家形埴輪の底部には、木樋(もくひ)と水槽が表現されている。
墳丘と島状遺構との間ということは、谷間にあったのか。
中央のステージの家形埴輪らしい。
ギザギザだらけ。
囲いの入口の上にも鋸歯あり。
しかしギザギザは破損しやすい。
つなげられてここに立つ。
ぐるっと回って家のなかをのぞき込むが
囲いに阻まれる。
木樋(もくひ)と水槽を見せて。
解説はあるが。
実物がそこにあるのに。非常に残念。
でも、屋根をとって展示するのも変か。
隠すことが目的で作ったのなら、目的は達成されている。
外側を見る。
この古墳の埴輪の透孔は、四角、三角、半円、円。
展示ケースの中には
食物形土製品。
アケビや二枚貝をあらわしているのでは、と図録にあった。
根拠があっての候補だろうが、ピンと来ず。
そしてザル。
たしかに、網目らしき凹凸が見える。
奈良県の島の山古墳では、竹のザルが出土したそうな。
竹の実物はわかるが、土でザルを作るとは。
土の食物は土のザルに、ということか。
さて
第三ステージは場所と時代をずらしまして
人面つき円筒埴輪、円筒埴輪、朝顔形円筒埴輪、女子埴輪、鳥形埴輪など9体
栃木県足利市の行基平(ぎょうきだいら)山頂古墳出土
解説によれば、6世紀初頭の築造。
中央奥、上部がすぼまっているのが朝顔形円筒埴輪。
ひろがり部分が欠けているのがさみしい。
配置確認。
墳頂部と墳丘テラスには円筒埴輪。
前方部の「張り出し」には人物、鳥、馬などの埴輪。
なぜ「張り出し」なのか。
なぜ「造り出し」と呼ばないのか。
それはさておき
人面つきの円筒埴輪は群馬県でいくつか出ている。
栃木のものは他に知らない、かも。
少なくとも、見るのは初めて。
顔の脇の鋸歯紋が描かれているものはミズラか。
左目が欠けている。眼帯をしているみたい。
しかし左下の展示技術よ。
円板で支える。こんな技があるとは。
裏の顔。笑ってる?
もう一体。
円筒の顔は、透孔の奥が暗くならないところが、いまひとつ。
しかもこの埴輪は口が大きく欠けちゃっている。
叫んでいる?
耳の孔らしき孔あり。
横顔は物憂げ。
体なら側面に当たる部分の出っ張りは何だろう。
綾杉文。上部は垂直に何本か直線。
図録にはコロクではないかとあった。
では正面の出っ張りは?
裏の顔。
笑っている。
そして小さな白い文字。書き込まれた記録。
人面つきの円筒埴輪は人か円筒か。
赤と黒の彩色のある円筒埴輪。
後ろの青と黄色の丸いものは何でしょうか。
展示の技の一つと思うが。
女子埴輪。
顔は赤く塗られているようだ。
埴輪で顔が小さめだと、表情が読み取りにくい。
耳の位置が高い。
髷は浮いている。
胸は片方だけあり。
太い帯。
手の内が見えにくい。
何か持っていたのか。
何かを引き寄せているようにも見える。
背面。
タスキ掛けしている。
もう一体の女子。
彼女もタスキをしているらしい。
黒っぽいのは、彩色か。
残りが悪いが、上手く展示してある。
鳥形埴輪。
首がなくなってしまって残念。
でもしっかりした線刻。バチ形の尾が跳ね上がる。
この古墳の埴輪の透孔はみんな円い。
以下、ミニチュアシリーズ。
蛍光X線を当てた女子小像
赤い色はベンガラによる。ベンガラは酸化鉄である。
鉄が反応することで、彩色の部分が明確にわかる。
実物は
左端の彼女だと思うが、小さすぎてよく分からず。
左上:ミニチュアコロク、右上:ミニチュアユギ、左下:ミニチュア大刀、右下:ミニチュア琴
大刀で10cmほどか。楔形柄頭だ。
それぞれミニチュアは初めて見た。
埴輪はどれも見たことがある。
琴は人物の付属品だけど。
そのほかを流し見、と思ったら、もう一体埴輪が!
馬形埴輪
群馬県前橋市の内堀4号墳出土
脚が長いなあ。
しっかり立てた、たてがみ。
どちらも高さに貢献する。
腰の上の雲珠(うず)も高い。高すぎる。丸すぎる。
金属の雲珠は高さがあってもせいぜい半球だが、これはほとんど球。
しかも突起が突き出し過ぎてる。鬼の金棒の先端みたい。
シッポの上側の突起も気になる。鈴じゃなさそうだし。
シッポ巻き上げは埴輪の馬の特徴。
尾が垂れている馬形埴輪は見たことがない。
頭部は、たわめた板。二枚使いかな。
うわまぶたが膨らむ。
埴輪以外。
埴輪に似たもの、気になったもの。
勾玉つき高坏。弥生時代。
二重口縁壺。古墳時代。
木製台つきハソウ。
板絵の女子群像。
須恵質猿型土製品
福島県の小浜代(こはまだい)遺跡出土
すぼまった口元。目元は寝てる?
厩猿(うまやざる)信仰との関連が考えられるとのこと。
猿が馬の守り神?
猿と馬の組み合わせはあまりよさそうに思えないが。
江戸時代のうちわ。
カモシカのはく製、トキのはく製。
カモシカもトキも、今のところ埴輪にはないもよう。
「古きを守る新しきわざ」
木製品の保存処理法。
樹種同定。
年輪年代法。
酸素同位体と気候分析。
このパネルコーナー、展示室の外の廊下のほうが、よく見てもらえるのでは。
展示室の中の廊下は狭くて暗いのよ。
など。
他にもいろいろありましたが埴輪が多すぎたので割愛。
(2019/6/4江戸東京博物館訪問)
図録。
展示室で埴輪関連部分のみ座り読み。
行基平山頂古墳の円筒埴輪、赤と黒の彩色があるものにも顔があるように書かれていた。
どこ? わからず。
馬形埴輪は画像も解説もなかった… 残念。
『第25回 発掘された日本列島2019 新発見考古速報』
会場および開催期間
東京都 江戸東京博物館:2019年6月1日(土)~7月21日(日)
岩手県 花巻市博物館:8月 2日(金)~ 9月10日(火)
青森県 三内丸山遺跡センター:9月21日(土)~11月4日(月・休)
愛知県 名古屋市博物館:11月16日(土)~12月28日(土)
福岡県 大野城心のふるさと館: 2020年1月18日(土)~2月26日(水)
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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。
今年も行くぞ! 列島展!
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行ってきました列島展! 2020!
来年も行くぞ! 列島展!
お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。