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『発掘された日本列島2014』の埴輪目撃談

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列島展20周年、おめでとうございます

それにしても

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日本橋のギボシ越しに埴輪を見る日が来ようとは

江戸東京博物館は6階が入り口で、例年の列島展は5階のみ。
博物館全体が大きいので、埴輪を見るまでに時間がかかる印象でした。
でも今年は6階に埴輪がいるのです。

メインは大阪府高槻市今城塚古墳出土の埴輪。

牛と目が合う。

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思わず一枚。

一周めは撮らずにじっくり見る予定だったのだが。

今城塚古墳の埴輪は、2009年の群馬の大埴輪展にも出ていました。下記参考文献参照。
その時のほうが出点数が多かったと記憶しています。
というわけで再会の埴輪もある。
あるはずなのですが、再会か初対面かはっきりわからず。
というのも、今城塚古墳はたくさん埴輪が出土しているのよ。
同時期に別の企画展(『大王の儀礼の場』今城塚古代歴史館にて2014年7月12日(土)~2014年8月31日(日))に別チームが出演できるくらい多数出土。

うーむ

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こっちの家は見たっけ

覚えがあるのは

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こっちの家形埴輪。

屋根のふちに

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魚がいる

反対側はシンプル、かとおもいきや

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今回よく見たら
横木が渡されていたり
入口が波打ってたり
細かい線刻があったり

そうなると

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家の向こう側も見てみたい

今回残念なのは、ケース内の展示しかないこと。
直置き埴輪がないのです。
ぐるり360度見たい。できれば上からも下からも見たい。
そしてこのケースの前には木の手すりがあって、埴輪の足元が撮りづらい。
もっとも、撮影時の支えになってくれるという一面もある。

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大刀と盾が一体化している埴輪。

大刀部分、というか

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大刀の柄の部分。

盾部分。

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大刀のさや部分でもある。

もいちど牛。

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なぜか

さっきより

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にがにがしい顔

忘れたのか 覚えてないのかこのオレを

ということなのかも
ごめん覚えてない
ただ
牛がいた ということは覚えてるのよ
埴輪の牛は珍しいので

鶏とは

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美しい鳥

こっこっこ

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強い鳥

首のぐるりの輪っかは何だろう。
ピエロ服の襟みたい。
本物の鶏にはない。と思うが、そういう種類があるのか。

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巫女形埴輪。と言ってはいけない女子埴輪。

巫女かどうかは誰にも言えないのだ。
ともかく、女子埴輪。人物埴輪の基本。

しかし首よりも耳よりも、足首。二重のアンクレット。

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脚が太いのは まあしかたない。

輪積みで中空にする という埴輪のつくりかたの都合上、そんなに細くはできない。
中空じゃなければ話は別だけど。

ところで、裸足なのね。

そして衣装。

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左右非対称の布とか、リボンとか、線刻とか。いいなあ。

ところで、ちゃんと顔がある。
群馬のときに女子埴輪が数体あったけど、みんな顔がなかった気がする。
だから太い脚だけが気になった覚えがある。
と思って図録(2009)を見たら、やはり顔がない。
あのあと顔が発掘されたのかな。
それともかけらをつないだら合う顔が見つかったのかな。
それとも推定復元かなあ。
割れ目、というかつなぎ目が見あたらないところをみると復元かも。
それでも顔はあったほうがいいね。

ちなみに、新泉社の遺跡を学ぶシリーズ077 (2011)を見たらもう顔があったわ。

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力士。

ここが両国だから、というわけではないと思うが。
この力士の埴輪は、どこが出土品でどこが復元部分かがわかりやすい。
復元のやり方もいろいろなのね。
お顔はだいぶ復元。

このひとが裸足なのは納得だけど

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手首につけているのは何? まげはどうなっているの?

ちなみに群馬の図録では部分のみで、立ちあがれていない。
力士は数体出ているようなので
そのかけらがこの埴輪かどうかも分からないのだが
ともかく つないだり足したり運んだりして、今、ここに立てられた。

さて
これ
なーんだ

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ネームプレートは「器台形埴輪」。
高坏形埴輪では?

いや、やっぱり器台だ。

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孔が開いているから。

では
これ

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なーんだ

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円筒埴輪に描かれた船でした。

ちなみに今城塚古墳出土の埴輪は2003年の列島展にも出演したとのこと。

はなれたところにもう一体いました。

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大阪府羽曳野市の応神天皇陵古墳(誉田御廟山古墳)出土の水鳥形埴輪

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さて、埴輪以外。

縄文土器が充実している印象でした。

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左4点、新潟県十日町市の野首遺跡出土の火焔型土器。右4点、群馬県渋川市の道訓前遺跡出土の焼町土器

これは6階。5階にもたくさんありました。
空白恐怖症かしら。
この頃は人口が少なかったし。
人ごみに酔う、とか、人が多くて息がつまる、ということはなかったろうな。
混んでて前に進めない、とか、すいてるところを選んで行く、とかも。
自分の死はもちろん、人の死もおそろしかったろうなあ。
いや、器用な人が思わず作っただけかも。
土偶もけっこうありましたが、印象は土器のほうが強かったです。

弥生も、印象的だったのは土器かな。

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人面付き土器 すべて茨城県出土
左、常陸大宮市小野天神前遺跡出土。中央、常陸大宮市泉坂下遺跡出土。右、那珂市海後遺跡出土

ほか、印象強かったのは、巨大な甕棺(日本列島 佐賀県吉野ケ里遺跡出土)。
昔は土葬だったんだもんなあ。ひとが一人、入る甕。大きいわけだ。
それにしても、ここまでよく運びましたね。
これは直置きされてました。大きすぎて入れるケースがないのかも。

列島展歴代のポスター。

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初回の1995年から、昨年2013年までの19枚

埴輪を探したら、今年含めた20枚中、18枚に出演していました。

 はにわとは はにわとは はにわとは?

埴輪とは、列島展の頼れる花形。

(2014/08/01江戸東京博物館訪問)

以下、おすすめ参考文献。

1.文化庁編集(2014)『発掘された日本列島2014 新発見考古速報』朝日新聞出版

2.文化庁編集(2003)『発掘された日本列島2003 新発見考古速報』朝日新聞出版

3.森田克行(2011)シリーズ「遺跡を学ぶ」077『よみがえる大王墓・今城塚古墳』新泉社

4.群馬県立歴史博物館(2009)『開館30周年記念展 国宝武人ハニワ、群馬へ帰る! これが最後、東と西の埴輪大集合(第86回企画展)』(この図録は絶版になってしまったようです)

5.手前みそ

『第20回 発掘された日本列島2014 新発見考古速報』
会場および開催期間
宮城県東北歴史博物館:2014年5月31日(土)~7月9日(水)
東京都江戸東京博物館:2014年7月26日(土)~9月15日(月・祝)
大阪府堺市博物館:2014年9月 27 日(土)~ 11 月 3 日(月)
長野県長野市立博物館:2014年11 月 15 日(土)~ 12 月 21 日(日)
福岡県九州国立博物館:2015年1月1日(木・祝)〜3月1日(日)

今回の特記事項。

第20回。
会場も出品数も倍くらいでした。堪能しました。
ただ、時代順ではないところもあるうえ、3部に分かれているので、ややごちゃごちゃしています。
色分けされている解説パネルなどをチェックしながら観ると、混乱せずに済むかも。

その点、上掲の列島展本は整理されています。
巻末には、これまで出演した遺跡の一覧が時代順に載っています。
登場した列島展の年度も記載されています。
なかなか打たれるものがあります。

それから、今年は宮城県東北歴史博物館からのスタート。
例年、江戸東京博物館から始まっていたので、特別な回だということを感じる。

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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。

今年も行くぞ! 列島展!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。