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『発掘された日本列島2012』の埴輪目撃談

見えますか

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フォトジェニックなあいつが

でも

今回の列島展は入口の島に埴輪が直置きされていない…

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ちょっとショックな埴子。

でもいいの。
通い始めて5年目ともなると埴輪の味わい方がわかってくるのです。

さて今年は、佐賀県唐津市の仁田埴輪窯跡出土の埴輪たち。

家形埴輪の

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屋根。

屋根の線刻には、このような網代文があることが多いのです。

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たてたてたてたて よこよこよこよこ

おなじみ鋸歯文も。

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家本体にも

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鋸歯文。

土台と壁の一部。

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色が違うので別々の埴輪なのでしょう。

キヌガサ形埴輪。

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こちらでの解説によると、「貴人にさしかける傘の形をしたはにわ」。

円筒もよく見ると違いがわかる。
色の違い。厚み。突帯の数や飛び出し方。

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そして柾目。たてよこ、幅。

ちょっと珍しい、叩き締めされた円筒埴輪がありますよ。

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ヘラ記号付きもあります。
割れ目とごっちゃになってて見分けにくいけど、よーく見るとほーら

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穴の右に三本、左に三本。うーん四本かも。猫のひげみたい。

ヘラ記号は穴の周りにあることが多いような気がします。
埴輪制作グループのブランドロゴみたいなものだとききました。
でもなぜヘラ記号の無い円筒のほうが多いのでしょう。

朝顔はプロポーション。

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くびれ具合に広がり具合。

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口縁のエッジ。

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ガラス越しでも丹念にみる

いろんな角度からみる

みるみる

さて
解説員さんにお訊きしてみる。
窯跡から出土ということは 完成品を置きっぱなしにしたのか それとも。
「どちらかというと失敗作です」「成功した完成品はどこかに運びだされたようです」
やはり…

気になっていたのです。

このお犬さん

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右目の切り口が甘い。

もっともこれが窯に放置された理由かどうかはわからないけど。

他に考えられる理由…
乾燥が十分でなかったので焼成時に壊れた とか
折れた・欠けた・ヒビが入った とか
単に形が今いち とか?
予備用にいっぱい作っといて余っちゃった とか

いろいろ考えられます。

ところで
円筒はけっこう残りがいいですが
犬はいろいろ足りないのが残念。

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お腹どうした

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しっぽがあったらなあ

したあごも

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ないのね

だからこそ思う
それでもかわいいって すごい

モデルは何犬でしょうね。
いわゆる日本犬なのでしょうけども。

失敗作だけが見つかって、いまここに展示されている。
成功したものは未だ出土していない。
この不思議。

もし成功作が見つかって、失敗作と比較したら、出来不出来の基準がわかるかも。
成功したほうにも犬形埴輪があるかも。そっくりだったりして。
どこにいるんでしょうね。

教えておくれ

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ここ掘れわんわん

文化財レスキューの取り組みについての展示。
とにかくパネルを一通り見る、読む。
資料の汚れをシャワーで流している写真、被災者の移転先となる遺跡での発掘を急いだ話など。
過去の人々と今の人々。
昔の津波と去年の津波。
津波堆積物の実物に触れるようになっていましたが触らずじまい。

(2012/06/15江戸東京博物館訪問)

『第18回 発掘された日本列島2012 新発見考古速報』
会場および開催期間
江戸東京博物館:2012年6月12日(火)~7月29日(日) 埴子目撃会場
八戸埋蔵文化財センター 是川縄文館:2012年8月8日(水)~9月17日(月)
藤枝市郷土博物館・文学館:2012年9月28日(金)~11月6日(火)
堺市博物館:2012年11月17日(土)~12月24日(月・祝日)
鳥取県立博物館:2013年1月12日~2月24日

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以上、『埴輪のとなり』掲載のページを修正し再掲しました。

今年も行くぞ! 列島展!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。