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6/13 Wed




「あなたの人生ここで生き続けることは悲劇なのかもしれないね」そんなセリフどこの台本から盗んできたのでしょう。一旦持ち帰って噛み砕いて噛みちぎることにしました。ここは東京。何丁目かによって色合いが移り変わる銀座。誰かさんが溶けた雨ばかり降る場所で寂しさなんてありはしません。あの日生まれた女の子はずっと目を覚ましてここまで走り続けたけれど神様はポタポタ落ちていました。時は過ぎて。人混みの五月蝿い感じが心地良いと思えるくらい少女は大人になった。高いヒールを履いて不安定な地面を綺麗に歩かないとこの街で生きていけない気がして必死に踏ん張った人混みの中。「本当はかぐや姫みたいに月にのぼりたかったの」そう言ってお返しすれば良かったのでしょうか。誰も知らないで理解できないからこそ美学で居られるわたしだけのわたし。あのねお客様。わたしは少し死にかけているから可愛いんですよ。そうやってお人形さんのように愛でて「全部愛してる」なんて抱くような腕なんかコンビニにも売っていますから。もったいないですね。それでも瞼を閉じて差し上げるわたしが80件以上の営業メールを作成する今このとき。皆誰かに愛されて。誰かを愛して。帰る家に待っていてくれる人がいる世界なんて面白くて不気味で素敵な世界なこと。いつの間にか明日も今日になってこのままわたしの内臓達はどうなっていくのかしら。キラキラした人越しに見る世界は突然死ぬのかもしれない。もう一生誰にも会えないのかもしれない。そんなことを考えながら今日は鏡の前に立つのが恐ろしく思います。わたしの神様、戻ってきてください。