一度は行ってほしい世界文化遺産 近世編 (トリノ・サヴォイア王宮群 イタリア)

プロローグ

今日からテーマが変ります。古代、中世と続いた世界文化遺産第3弾目のシリーズ、近世編。1500年からのものはあまり興味が湧かないという人がいると思うと、ルネッサンス以降のマニエリスモ、バロック、ロココに何とも言えない郷愁を感じると言う人もいる。今回は近世という、17世紀からイギリスの産業革命あたりまでの時代に絞ってランキングしてみたい。

 第10位 サヴォイア王家の王宮群 (イタリア再統一の光、それはトリノから)

 トリノと言えば、イタリアを代表する車の会社「フィアット」を連想したり、セリエAで27回の優勝をしているサッカーの名門・ユベントスを連想する人がいると思う。19世紀初頭、そのトリノをはじめ、イタリアはフランス、オーストリアの覇権にさらされ、都市国家はかつての威光を失なった中にあった。そして、フランス革命以降、イタリアにリソルジメント(再統一)運動が起き、時のトリノのサヴォイア家が中心となって、1861年にトリノでイタリア王国の成立を宣言し、サヴォイア家の王宮があるトリノが首都となった。その宣言から完全に統一が成し遂げられる1870年まで約10年の歳月を要した。ここで興味深いのは丁度同じ時期の日本の明治維新と符合することだ。そして、ともに第2次世界大戦の敗戦国となったところも共通する。

このときの王はサヴォイア家のビットリオ・エマヌエーレ。大臣のカブール、将軍ガルバルディーはイタリア中の通りや公園の名前になっているのでイタリアを旅行したことのある人には記憶に残っているのではないだろうか。

 さて、王宮の代表は市の中心カステッロ広場に面したパラッツォ・レアルと呼ばれる王宮だ。その脇に建つのがキリスト処刑後に身体を包んだとされる聖骸布があることで有名(現在、複製を展示)なドゥオーモ。聖骸布はドゥオーモの中の聖シンドネ礼拝堂にあるとされているが過去に3回だけ公開したことがあるだけでほとんど見る事はできない。

この王宮を含めた周囲は実に整然とした町の趣があり、かつての上流階級の人達が憩いの時間を過ごしたであろう事を連想させる上品なカフェが多い。また、その界隈には高級なチョコレートの店やイタリアの有名ブランドが軒を連 ねと言った具合でミラノやフィレンツェにない独特な感じいい。

サヴォイア家の美術コレクションはサバウダ美術館とエジプト博物館で見ることができる。フィレンツェ派、ヴェネツィア派、フランドル派など見るべき絵が多い。中でも、ヤン・ファン・エイクの「聖痕を受ける聖フランチェスコ」は必見だ。また、どうしてここにこんな素晴しいエジプトのものがあるのかと驚くのがエジプト博物館。

 時間があったら昇りたいのがトリノの町と遠くアルプスの山々が見渡せるアントネリアーノの塔と自動車好きにはフィアットの自動車博物館。

 2006年にトリノで冬季オリンピックが開かれ、3月下旬にアルペンの競技が行われたセストリエールに行き、男子滑降コースを滑ることができた。あの急斜面におののきつつも、興奮したことが忘れられない。

ちなみに、セストリエールはイタリア・フランス国境にあるスキー場で、その先には、夏のツール・ド・フランス山岳コース九十九折のアルプ・デュエズ。そして、グルノーブルへと続く・・・・

(写真の説明 上:ロンダルディア平原を貫流するポー川が流れるトリノの町の俯瞰。中;サヴォイア
王宮。下:エジプト博物館の展示・・・Wikimedeaより)

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