川、時には運河を行く(5)

第6位 ナイル川クルーズ(エジプト アスワン~ルクソール)

ヨーロッパのホテルでテレビを見ていると素晴しいエジプト旅行のコマーシャルがしばしば流れる。旅にあまり興味がなくともあのコマーシャルを見れば一気に気分が盛り上がり旅行会社の扉を開けたくなるのではないかと思われるのだが・・・。日本では広告費用が余りに高いのと、ヨーロッパはエジプト観光の主要な市場ということであまりに遠い日本の市場にかけるお金がないという二つの理由でコマーシャルは流していないとのことだ。しかしながら、エジプトは、生涯で一度は訪れてみたい国の一つに挙げられていることもあり、アラブの国の中でも日本人観光客が昔から多いところだ。

さて、エジプト旅行はナイル川沿いに上流はアブシンベルから地中海のアレクサンドリアまで繋ぐと一つの旅行が完成するという意味ではコース作りは単純だ。しかし、何をどう見るかについては奥が深く一筋縄では行かない面も持っている。紀元前のどの時代のどの神殿でどんな神を祭っていると言うことだけを押えて行くにしても結構骨が折れる。ガイドの話に耳を傾けていてもその時は分っていても旅も後半になってくると色々な神殿が渦巻くだけでグチャグチャにこんがらがり、何か書いたものを拠り所にしないと訳が分らなく、写真の整理も覚束なくなる。だから、エジプトなんだという言い方もあるし、あまり細かいことじゃなくて、古代という時代を大掴みで分るだけで良いと言い方もある。とにかく、エジプトは深くて、面白い。そして、エジプトならではの旅情がある。

そんなエジプトをかつては飛行機とバスと列車で飽きないように変化をつけてコースを組んだが、近年これにクルーズが加わり一層バリエーションが出てきた。しかも、アスワン・ハイダムのおかげで一般的にはアスワン・ハイダムの下からルクソールまでのクルーズだが、これに、アスワンからアブシンベルまでのナセル湖クルーズができ、ダムを挟んで両方のクルーズを楽しむものまである。どちらのクルーズも遺跡近くまで船が接岸してくれることもあり、とうとうと流れるナイルと段丘の先が砂漠になっている景色を眺めているだけで至福の時間を得られるので是非一度訪れてみて欲しい。私の好みで言えば、アブシンベルのホテル・セティ一世に泊まって朝な夕なのアブシンベルの風を感じ、アスワンからルクソールまでの3泊4日のクルーズでコム・オンボ、エドフなどの神殿を巡り、ルクソールの両岸の神殿と王家の谷を見てくるコースがお薦め。

(写真の説明・・・上から、ナイル川とテーベ、ナイルを行くクルーズ船。アブ・シンベル神殿。
ルクソール・王家の谷・・・Wikimedeaより)

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