一度は行ってほしい世界文化遺産 中世編 (サン・ジャック・ド・コンポステル巡礼路 フランス)

▼第3位 サン・ジャック・ド・コンポステル巡礼路(フランス)・・・ロマネスク好き、田舎好きにお薦め

 フランスの中世そのものを訪ねるならば、キリストの12使徒の一人、大ヤコブが眠るスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラに通じる四つの巡礼路を薦める。一つはパリのサンドニを起点として始まり、トゥール、ポワティエを通りサン・ジャン・ピエ・ド・ポールからピレネーに入る道。二つ目はヴェズレーからクレルモン・フェランを通るサン・レオナールの道。三つ目はル・ピュイからコンク、モワサックを通るル・ピュイの道。最後の四本目はアルルからトゥールーズを経るサン・ジルの道。前記の三つ目まではサン・ジャン・ピエ・ド・ポールで一緒になりピレネーをロンズボー峠で越える。そして、四本目のサン・ジルの道とスペインのパンプローナで合流する。

パリにはパリの魅力があるが、フランスの本当の魅力は田舎にある。特にこの四つの巡礼路は素朴で小さな村が程よい間隔で配置され、それぞれが実に個性的だ。そして、どの村や町にもシトー派やクリュニー派の流れを汲んだロマネスクの聖堂があり、入り口上部の半円形部分のタンパンに施された彫刻や聖堂の中庭を形成する回廊の柱頭彫刻にそれぞれ個性があって、かつての巡礼者たちを励まし、慰めたであろう佇まいに昔が偲ばれる。例えば、モワサックのサン・ピエール教会、コンクのサント・フォワ教会。ヴェズレーのサント・マドレーヌ聖堂などはロマネスクの傑作だ。

巡礼路沿いの小さな村にはもちろん大きなホテルなどないが、丘の上の村には是非泊まってほしいものだ。大きな団体の旅では到底望めないので少しずつ細切れにして、いわゆる、「小さな旅」をいくつか重ねて行くことをお薦めしたい。

 ところで、サン・ジャックはフランス語でヤコブのことを意味する。スペインではサンティアゴになる。世界遺産もフランスの巡礼路とスペインの巡礼路で分けている。何故、スペインのガリシアにヤコブの墓があったのかよくわからず伝説の域を出ないが、書物によると、パレスチナで打ち首にあって、石の船に安置されていた遺体が二人の弟子とともにガリシアに流れ着いてウヤ川を遡って今のサンティアゴ・デ・コンポステラに葬られたと・・・。そして、813年にその墓が発見されたとある。それ以降、多くのキリスト教徒がローマやエルサレム同様、巡礼のために向ったとある。参考までに。
(ヨーロッパ各地からスペインのサンチャゴ・ディ・コンポステラへの巡礼路図・・・Wikimedeaより)

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写真説明 上:ある日の巡礼路風景 中:ヴェズレー・サント・マドレーヌ大聖堂 下:コンク・サント・フォア修道院・・・Wikimedeaより)

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