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マザーレス・ブルックリン 1月上旬にして2020年映画年間ベストが決まったかも!?

年頭から2020年年間ベスト級の作品を観てしまって興奮しっぱなしなので、MR.ROBOTのビンジも脇に寄せて徒然なるままに書き連ねてみる。
(ほとんどネタバレはないはず)

予告も観ず前情報もほとんど入れずの鑑賞だったので上映時間が144分で少し長めだなと事前には思っていた。この作品に対する期待値はそんなに高くなかったのである。ネットの情報としても同日に『パラサイト』『フォードVSフェラーリ』(私は両作とも昨年末に鑑賞済)が上映開始ということもあってほとんど目にしなかったし。唯一と言っていい情報としては昨夏2014年作バードマンで知ったエドワード・ノートン(私はここ3年でのシネフィルです)が主演・監督・脚本・製作を務めた作品ということとトムヨークの曲ぐらい。しかし出演者もろくに知らずに観たのが、結果的に最上級に自分が楽しめた理由だったと思う。

前述の通り私は、ここ3年でシネフィル・ドラマアディクトになったのだが、出てくる出演者が次々と「あ、あの人!あの人!あの人!」って感じで豪華かつ適材だったんですよ!そう、この映画・ドラマ全盛時代出演者の絡みから作品を語ってみるのもありでしょう!

ということで、脱線もありきで出演者を見ていきましょう。
(登場人物が多くてストーリーについていくのが難しかったので理解の手助けにもなれば幸いです)(写真はimdbより拝借)

まずは主役のエドワード・ノートン

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役名:ライオネル・エスログ
言わずもがな。2000年の『僕たちのアナ・バナナ」以来の監督作品です(筆者は未見)。
自分の内側なる言葉を発する衝動を抑えきれない病、トゥレット症候群と伴って有する完璧な記憶力が探偵モノとしてのストーリーを進めます。

誰もが知るブルース・ウィリス

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役名:フランク・ミナ
ライオネルの上司兼父親代り的存在

今作のヒロイン、ググ・バサ=ロー
役名:ローラ・ローズ
鑑賞中は何の記憶もなかったのですが、鑑賞後imdbで調べるとジェシカ・チャスティン主演の『女神の見えざる手』で重要な役をやっていたことを発見。

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また、昨年のマイ激推しドラマ『ダーク・クリスタル』のサラドン(三姉妹の長女役)の声優をやっていたことが判明。

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ついでだが、そこで次女役タブラの声優を見ると最近知った名前を発見。
カトリーナ・バルフ

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少し触れましたが、同日上映開始の『フォードvsフェラーリ』(私は昨年末試写で鑑賞済。見応えのある作品でした。)でクリスチャン・ベールの妻役だった女優さんです。
今更知るダーククリスタルの配役も恐るべし。


ちなみに三女のブレアはアニャ・テイラー=ジョイが担当してます。(正月に見逃してた『マローボーン家の掟』をアマゾンで視聴。可愛い。)

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話が逸れましたが、マザーレス・ブルックリンに戻りましょう。

今作の最大の悪役として、アレック・ボールドウィン
役名:モーゼス・ランドルフ


この俳優さんにはあまり思い入れがないものの、画面に現れた時はやった、やった!渋いええ役者さんまた出てきた。これ!これ!これ!て感じで歓迎。

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調べると、自分が観た作品群ではレディ・ガガの『スター・イズ・ボーン』、2018年の「ミッション・インポッシブル フォールアウト』、スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』に出てますね。そして出演履歴を見ていくとちょっと気になった作品『THE PUBLIC』があり開いて見るとこちらも出演者が知ったる顔がたくさんで豪華!

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ウエストワールドのあの人やパイパー、ミスターロボットに後述で出てくるトランペットマン!ネットでも情報をほとんど見なかったし上映の噂もないのですが、観てみたい作品ですね〜

悪役アレック・ボールドウィンの兄役でウィレム・デフォー

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役名:ポール・ランドルフ
こちらも知らない人はいないでしょ的存在のウィレム・デフォー。彼の出演作として個人的にオススメは『フロリダプロジェクト』です。

主人公ライオネルの同僚役で今や個人的には時の人、ボビー・カナヴェイル
役名:トニー

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個人的にただ今絶賛ビンジ中の『MR. ROBOT』でも超ハマり役、同じくサム・エスメイル作品『ホームカミング』、そして昨年の話題作『アイリッシュマン』でもふた回りか三回りも年下なのに拘らずロバート・デニーロやアル・パチーノと同レベルで悪どいギャング感を出していました。その他思い返せば『マスター・オブ・ゼロ』のいかがわしい料理コメンテーター、ケイト・ブランシェット主演での『ブルー・ジャスミン』(サリー・ホーキンスの彼氏役)などなど。この人の醸し出す真面目な中での間抜け感がたまらない感じですが今作でも少しばかりその匂いを出していました。

ブルース・ウィリスの演じるフランクの妻役でレスリー・マン
役名:ジュリア・ミナ

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出演シーンは少なかったですが、きっちり存在感を出していました。レスリー・マンは昨年の個人的激推し映画『マーウェン』でヒロイン役を演じていたのですぐに思い出した女優さんです。

ヒロインのローラが参加する人種差別防止委員会の中心人物としてチェリー・ジョーンズ
役名:ギャビー・ホロウィッツ

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この人、最近どっかで観たはずや〜と最後まで思い出すことができなかったのだがimdbで調べて合点!この年末年始、毎週楽しみでしょうがないドラマ『サクセッション』において買収しようとしていた会社のトップ、ナン・ピアースを演じていた女優さんじゃないですかー!スッキリした!

ヒロインのローラの父親役としてロバート・ウィズダム
役名:ビリー・ローズ

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この人も見た覚えが・・・調べると『Flaked』のジョージだった!

前述ビリー・ローズが経営するジャズクラブで演奏する大御所トランペッターとしてマイケル・ケネス・ウィリアムズ
役名:無し Trumpet Manと表示 モデルはマイルス・デイヴィスと思われる

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この人もどっかで観たで〜調べたら、『ナイト・オブ・キリング』で主人公リズ・アーメッドくんを刑務所内で仲間に引入れ、何かとサポートしながら使い走りする大ボスのあの人じゃないですか!


てな感じで、自分が見た限りの主たる出演者は以上です。

ここからはスタッフやプロダクションから語ってみたいと思います。
時代設定を見ると、原作は1999年なのですが映画では1957年になっています。ロケーションはNY。
自分が観てきている作品に照らし合わせると『ミセス・メイゼル』のシーズン1が同時代、最終シーズンが間近のHBO『DEUCE』の前夜ぐらいのNYということが喚起されました。
これも調べてわかったことなのですが、『DEUCE』が喚起されたのはプロダクションデザインを担当したベス・ミックルによるところも大きいと思います。この人『 DEUCE』のシーズン1を担当しています。(まさに当事者!)

使われている音楽はジャズが基本となっており、それが作品のボトムにしっかり重厚さと不穏さを放つ効果的なメロディを奏でていました。
その劇伴は、ここ最近では『スパイダーバース』や『イエスタデイ』『オーシャンズ8』を担当していたダニエル・ペンンバートン。
そして何より、上映前よりもニュースとなり知っていた曲ですが、トム・ヨークとレッチリのフリーによる『Daily Battles』が印象的に使われていました。やっぱトム・ヨークすごいわ。


撮影監督は昨年日本で上映だった『ピーター・ルー』が記憶に新しいディック・ポープ

出演者やスタッフ以外で私が年間ベストに推すぐらい確信をもってどこに心持って行かれたかというと、何より映像の構図が素晴らしさである!うっとりするようなフレーミングで役者が動き回り、ヒロインのローラが水たまりを駆け足でスクリーンを横切るシーンは特に印象的でした。


パンフの情報ですが、ニューヨークの描写としては50年代にファッションフォトグラファーとして活躍したソール・ライターの作品が役立ったようです。この、ソール・ライターという名前に聞き覚えがあると思ったら、ちょうど文化村で開催されている展覧会で気になっている写真家の人でした。偶然ということもあり是非訪れて観たいと思います。

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また、個人的に車には全く興味がないのですが、その私でさえ主人公ライオネルが運転する車はかっこよかったです。

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個人的ベストショットはクライマックスを終えてからの穏やかな余韻を残してくれたラストショットです。144分ぶんの目紛しい展開からの、おそらくは束の間であろう訪れた静かな言葉のいらないシーンが、鑑賞後の真冬の帰路を足取り軽く温かなものにしてくれました。

あと痛快だったのは、台詞の端々から受け取るエドワード・ノートンが現代へ訴えたい想いです。
設定は1957年ながら、現代に置き換えても全く通用する、いや現代だからこそ余計に伝わる人としての生き方、正義・忠実さ・思いやりが私の胸を打ったのです。
(実際、悪役のランドルフには不動産王から成り上がったトランプが投影されている)

私の能力的には語ることができる範囲は今のところこれぐらいですが、これらの多層的にまた末広がる魅力的な点によって、この映画が私に傑作だという判をすぐさまアンテナで受信したのでしょう。

この投稿の締めくくりとして、個人的にグッときたセリフを最後に引用して終わりにしたいと思います。(文章はパンフより抜粋。thanks.)

主人公ライオネルは「僕らは大恐慌に打ち勝ち、戦争にも勝ったが、そのせいで強者が弱者を打ち負かす社会になってしまった」と言い、「なぜ助けてくれるの」とヒロインのローラに問われて「君はみんなのことを考える人だから」と答えた。


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