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「平成最後のフォント」備忘録

フロップデザインさんが企画された「平成最後のフォント」制作に参加し、納品が完了したので備忘録として。

企画を知った段階ですぐに参加したい!と思ったものの、時期的に2月〜4月頭の〆切だったため、確定申告やら繁忙期を思うとどうも二の足を踏んでいたのだけど…3月の立て込み案件が一段落した隙にとうとう申し込んでしまった。

担当文字の決定➡︎ラフ

私に割り当てられた文字は「円」との連絡をフロップデザインさんよりいただいた。
どんな文字を割り当てられるのかかなりドキドキしていたが、「円」はほぼシンメトリーだし、大好きな四角形だし、文字がもつ意味がはっきりしているのでイメージがしやすそうだなというのが第一印象。
それから夫に相談して、ひとまずふたりでそれぞれにラフを描いて見せ合うことに。(本当は夫婦それぞれで参加したかったのだけど、私が申込ずにいるうちに夫のやる気が失せてしまっていた…残念)

左側のサインペンのものが夫、右が私。すごーい!ほぼ同じ発想w
「円」なので丸く作りたい、中マドが目に見える、というところが一致していたので、ほぼ脱線もなくこのイメージで作ることに。

途中経過➡︎完成へ

…とは言え、若干の迷走の後が垣間見えるアートボード。
まるで間違い探しのような微調整など。
中央の一番下にいるやつがおそらく一番最初に作ったもの。そこから大きくは変わらなかったけど、特に2画目の最後のハネが全く決まらずどうしても不自然に見えた。
それで画像の左下や右のほうにある、ニヤッと笑っているような顔の案も作ってみた。これは、私が敬愛するアメリカの漫画家が描く大好きなキャラクターの顔をイメージしているんだけど…「円」の文字からは遠ざかってしまったので没。やっぱり文字であることが前提だから、可読性は高い方がいいだろうなあと。

結局ここで煮つまり、数日寝かせてようやくハネ部分を再度作り直して完成にこぎつけた。私の場合は時間をかければ必ずいいものができるとも限らないので、やめどきを間違えないように…これも私的なポイントの一つ(笑)

無いようである、こだわり

自分なりのこだわりはこんな感じ。正円から作るとどうも文字というより顔のアイコンっぽくなるので、ゴシックをイメージしつつ角のない四角を作り、それをベースにした。
そして目玉。中マドの中央に置くと、小さくしたときにマドが潰れるんじゃないかな?と思ったのでできるだけ空白を置きたいと思ったのと、「円」を多用するシーンを想像したときに『価格だ』と思ったので、「円」の左側に金額の数字がくることを想定して、目玉はそちらを見ている…という感じ。下の空白は口に見えるとうれしいけど、口がなくてもかわいい。
結果、とぼけたような表情で角のない丸顔くんが出来上がった。

いろんな人に親しんでもらえるといいなあ。


一文字だけだからできたこと

今回参加させていただいて。
フォント制作の企画ではあるけど、私はロゴを作るときの状況に限りなく近いなと感じた。
だからこの経験をもってフォント作りの大変さを知ったとは思えないし、そんなおこがましいことは言えないけれど、日々仕事で使用するフォントとその制作者様には感謝しかない。一文字だけでもすごく考えることが多かったのだから、これがあの膨大な量の仮名やカナや漢字たちとなると…とても頭が上がらない。
それから、やはりこの企画は楽しかったしとても貴重な機会。参加者の数だけ個性が集まるわけなので今から完成が待ち遠しいし、フォントへの興味も愛情も感謝も、より深まった。

駆け込みの参加になったけど、思い切って参加してみて本当に良かった。
フロップデザインさん、素敵な企画を本当にありがとうございます!


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