さよなら、原美術館。2020年12月末閉館前にぜひ行きたいその魅力。
アート初心者にこそオススメの東京・品川の私立美術館
東京都品川区、歴史ある高台の閑静な高級住宅街・御殿山にたたずむ原美術館は、現代アートの専門美術館として知られています。
「現代アート中心の展示」ということで、人によってはハードルが高く感じるかもしれません。けれども、原美術館には、現代アート初心者の方にこそ行って欲しい、他の美術館にはない魅力に溢れています。
原美術館は私の好きな美術館の1つですが、建物の老朽化のため、残念ながら2020年12月末に閉館することが決まりました。新型コロナウイルス感染拡大につき、2020年3月28日(土)より臨時休館が続いていましたが、6月9日(火)から再開しました。入館にはウェブサイトで日時指定予約が必要ですが、ぜひ足を運んでいただきたく、その魅力をお伝えします。
魅力1:邸宅を改装した唯一無二のレトロ建築
原美術館は、1938年に建てられた実業家・原邦造の邸宅を改装し、1979年に開館されました。東京国立博物館の現・本館(上野公園)や和光ビル(旧服部時計店・銀座)を設計した渡辺仁による、昭和初期のレトロ洋風建築です。
原美術館の正面玄関前には懐かしいピンクの公衆電話。そのあせた風合いがレトロな雰囲気をより引き立てます。
原美術館の入り口。建物の表面は小さなタイルで覆われています。
建物は緩やかに円弧を描いており、展示空間にも活きています。
ヘリンボーン柄の木床にスチール枠の窓から光が差し込む展示室。レトロな雰囲気と展示が絶妙に合います。
一見お手洗いのような扉をのぞくと・・・
狭い空間いっぱいに広がる現代アート。
こちら以外にも、作品が潜んでいる場所がちらほら。常設展示では4〜5つほどあります。
2階にある小さな階段。こちらも作品が展示された小部屋に続いているので、見逃せません。
想定しない場所でアートに不意打ちで出会えるのが、原美術館の醍醐味。美術館目的で建てられた建物ではそう味わえません。
魅力2:コンパクトで濃密な展示空間
原美術館は、元邸宅ということもあり、そこまで広くはありません。1階にある一番大きな展示室でこちらほどサイズです。
原美術館の全展示スペースは、この展示室3つ分程度。普通に回るなら、30分もあれば全ての展示を観れるのではないでしょうか。展示が多くないからこそ、展示作品は厳選されており、強く印象に残ります。
所狭しと作品が並ばないため身構える必要がなく、「少し時間に余裕があるから行こうかな」と、気軽にふらっと立ち寄りたくなります。
魅力3:光にあふれた中庭とカフェ
館内の作品をひととおり見た後には、緑の芝生が広がる中庭にある屋外作品を楽しめます。中庭に面してガラス張りのカフェがあるので、お茶をしながらひと息つくのも一興です。青々と樹木が茂り、都心の喧騒を忘れさせてくれます。
※中庭の撮影は禁止だったので、公式サイトよりその雰囲気をお楽しみください。
原美術館から原美術館ARCへ
原美術館は2020年末に閉館された後、群馬県渋川市にある姉妹美術館・ハラ ミュージアム アークにその活動を集約し、2021年「原美術館ARC」としてリスタートします。
原美術館ARC(現ハラ ミュージアム アーク)は、のどかな高原に広々と建つ、磯崎新によって設計された黒基調の美術館。元邸宅である原美術館とは異なる趣を楽しめる美術館です。伊賀保温泉が近くにあり、温泉観光ついでに立ち寄るのもよいでしょう。
もしこの記事で興味をもっていただけたなら、まず2020年末までに原美術館に、2021年には原美術館ARCに訪れてみてはいかがでしょうか。
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