『夢ん中』
おじさんは浜にこしかけ、竿は立てるがエサをつけず、隣で白い犬が寝てる、おもむろにタバコに火をつけふかす、ショートホープを愛した、男の目はとても優しく、日々はこの男を愛し、酒を使い言葉を交わす、遠くに連れてって、ねぇブギーマン、
節だらけでゴツゴツした指、鉄工所で働くおじさんはタバコを咥えながら鉄を切った、近くを走る電車の音、ガタンゴトンとうるさくて、焦げた鉄の匂いと、その音が妙にマッチした、ビールを1本買ってこい、おじさんは僕に握らせた、小さく折り畳まれた千円、僕を妙にドキドキさせた、遠くにいかないかboy?困るよブギーそんなこと、
しわくちゃに笑顔を作って、部屋の中は煙とビールの匂い、おじさんの顔は真っ赤で、子どもは空いた瓶を並べ、蓋を指で弾いて遊んだ、もうずっと前に忘れていた事、今さっき思い出した、あれは、俺に言ったんだね、魔法の言葉を愛してる、不思議と嫌な気分じゃないよ、あの時までが幸せだった事、おじさんは知っていた、月の明かりが2階の窓から大人達の、騒いでる声を響かせる、遠くにいかないかboy?困るよブギーそそのかす
、
今日の肴はあたりめだね、こんな所まで匂いがしてる、近くを走る電車の音、ガタンゴトンとうるさくて、夏の夜の匂いと、その音が妙にマッチした、ビールの自販機の前を、素通り僕は駅へ向かう、
月が僕の顔を半分だけ照らす、振り返ることなく歩き出す、夏のサンダルが教えてくれた、サヨナラ遠い遠い記憶、今さっき思い出したこと、ここまで歩いてしまったこと、ブルースはもう聴こえない、月もこっちを見ていない、しくじったんだという気持ちと、まぁいーかと言う気持ちが同居してる、
僕は浜にこしかけて、竿は立てるがエサをつけず、隣で白い犬が寝てる、おもむろにタバコに火をつけふかす、ショートホープを愛した、男の目はとても優しく、日々はこの男を愛し、酒を使い言葉を交わす、遠くに来ちまった、なぁブギーマン。
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