見出し画像

一度釣られた魚がスレる(釣れにくくなる)って本当?(ミツカン水の文化 59号より)


週末釣りに行ってふとした雑談の中で出てくる『スレている』という単語。スレているという用語は、一般的に魚が釣り人に警戒しているため釣れにくくなると状況や、魚が何度も釣られることで釣り具・釣り針を覚えてしまって釣れにくくなると状況を指している。特に後者は大物やどこどこのの主を狙う際には良く利用されるフレーズだと思う。

魚の警戒心を解くためには、水面を覗き込まないであったり、音や光を出さないといったことで人の気配を消す対策を行えばなんとかなるとなりそうなんだが。魚が釣り具を記憶するということは、そもそも魚には記憶力があって、何度も釣られて逃がされると、どんどん賢くなる場合は、釣り人もそれに負けじと釣り具を買い替えたりして対抗する必要があるよなぁと思いながらネットを彷徨ったところ、面白いコラムを発見したのでメモしておく。

ミツカン 水の文化センターさんが発行している機関紙『水の文化』59号に掲載されている釣りの美学 魚は釣られたことを覚えている?「魚と人の交差点」を探るのコラムに面白い論文が紹介されている。

水の文化は1999年1月に創刊されており、20年以上の歴史を持つ雑誌です。掲載されているコラムは無償でPDF参照が可能になっていて、他のコラムも面白い内容ばっかりなので是非読んでみてください。

スレに関しては、古くから二つの説が知られてきました。第一に「釣られやすい魚と釣られにくい魚の個体差がある」。釣られやすい魚が先に釣られ、警戒心の強い魚ばかりが残るため、最初に比べて釣れにくくなる、という仮説です。第二に「魚は釣られたことを覚えている」。一度釣られてリリースされたり、鉤(はり)から逃げたりした魚がその体験から学習し、次には釣り鉤を回避するようになる、という仮説です。

これらを検証した過去の研究を総合的に振り返ってみると、個体差の有無、学習経験の有無、どちらに関しても正反対の結論が出ている論文があるのです。つまり、実はそう単純な話ではなく、答えは一つに決まらない、というのが実状です。

釣りの美学 魚は釣られたことを覚えている?──「魚と人の交差点」を探るから引用

結論から言ってしまうと、正直よくわからん!という話なんですが、コラムのインタビュー先である研究者である坪井潤一さんが実施したフィールドワーク内容も面白くて、川釣りで全てのイワナを採補することで一度捕まえた個体は再度捕まえづらくなっているのか?と言ったことを検証している。海釣りだとフィールドが広すぎため困難かもしれないが、どんな方法があるんだろうかとちょっと妄想してみたり。

疑問に対し仮説を立てて検証し、結果を踏まえて新たな仮説を立てる。研究はこのプロセスの繰り返しですが、釣り人がしていることもおそらく同じです。なんとなく「ここかなぁ」と思って釣ったら釣れた、というような雰囲気だけに頼ると、「この場所は釣れる」という間違った思い込みに陥ります。ところが、ほんとうは流れの強さ、天候、エサや天敵の有無……さまざまな条件が合った結果、〈たまたま〉そこで釣れただけかもしれない。

腕のいい釣り人はこうした偶然を鵜呑みにすることなく、なぜ釣れたのかをきちんと分析して解釈し、新たに仮説を立てて検証することを無意識にやっているのでしょう。この点では、釣りはまさしく科学的な営みだと思います。

釣りの美学 魚は釣られたことを覚えている?──「魚と人の交差点」を探るから引用

この釣りはまさしく科学的な営みという文章が刺さりまくり、以前アイディアとして浮かんだ、今日は絶好の釣り日和判定を潮汐・天気・季節・近接している場所での釣果情報をインプットに機械学習で実現する開発を再度挑戦する気になった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?