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【大規模侵攻編】ワートリ全巻買って後悔した人のアニメ初見感想



ご無沙汰しております。ワールドトリガーを全巻買って死ぬほど後悔した話を書いた、ナナカゼミナミと申します。
(玉狛第二に倣ってタイトルに"釣りの戦法"を用いていますが、内容は推して知るべし。)


全巻読破後の私はというと、息を荒げながら公式からの供給を欲する狂人と化していた。
「アニメ」という甘美な響きに誘われ爆速で2期3期を駆け抜け、現在は1期視聴の真っ最中。沼の軌道線上で踊り狂う日々の、なんと素晴らしいことか。
そんなこんなですっかり沼の住人と化した自分だが、どハマりしたからこそ「アニメ初見」という貴重なカードを無駄にするわけにはいかぬ!というわけで再び感想執筆に至ったわけでございます。悲鳴は新鮮さが重要だからね。
記念すべき初回は大規模侵攻編、とある「ふたりのキャラクター」に焦点を当ててお届けします。うおおおおおおお!!



1.遅行性に殴られる


「黒トリガー争奪戦のあとは大規模侵攻編?いやいや、読みたいのはB級ランク戦なんだけど…」
初読時に私が抱いていた感情である。

モンスターストライクコラボ第2弾から全巻購入に至った私は、ゲーム内で幾度となく交戦したB級部隊にばかり興味を向けていた。
物語については二の次でとにかく彼らについて知りたいというのが正直なところであった。
まぁそこからそう時が経たぬうちに「大規模侵攻編オモロすぎん?普通に感動してんけど」となるのは言うまでもないのだが。

大規模侵攻編では「個の力と数の力がぶつかり合う集団戦」や「戦闘力を覆す知略が分かつ勝敗」といったワールドトリガーという作品を象徴する名勝負が次々と展開されていく。
ストーリーそのものの面白さもさることながら、特筆すべきは「敵味方問わず一筋縄ではいかない内情」が抜かりなく描かれている点にあると思う。

戦地で奮闘する隊員たち、攻め入ってきた軍事大国の精鋭。双方の視点を目まぐるしく行き来する構成でありながら、読み手を混乱させるどころか唯一無二の世界観に引き込むことに成功している。
アニメで大規模侵攻の顛末を追体験し、原作初読時には抱くことのなかったクソデカ感情を植え付けてきた男がふたり
…こういう「ふたり」みたいな表現すると、全く同じ物語を読んでいても読者によって十人十色になるのがワートリのすごいところだよね。



2.冷酷なる敵将


侵攻の指揮を担い三門市全域を恐怖の渦に陥れた、敵将ハイレイン。
有無を言わさず攻め入ってきた敵国の超強力な黒トリガー使いという攻撃的なプロフィールを、兄者・根暗・わくわく動物野郎など呼称の豊富さで中和する罪なキャラクターである。
「目的のためには手段を択ばない」を体現したかのような冷酷な佇まいで、読者に強烈なインパクトを植え付けた。

黒トリガー・泥の王(ボルボロス)の適合者としてボーダー隊員たちを苦しめたエネドラ。
蝶の盾(ランビリス)を巧みに操り目的達成に王手をかけたヒュース。

少数精鋭である自陣の実力者二人を同時に手放すという選択は、彼が「優秀な指揮官」であることの裏付けとも言えるだろう。


ふうふうめっちゃすき


うわぁ!いきなり読者の心情を代弁するな!


自国の戦力を過信せず、失敗したときの保険も策のうち。そんな慎重な人物ですら「ヴィザ翁の敗北」は一切想定していなかったのだから、いかにイレギュラーな事態であったかは想像に難くない。
敵国の脅威が物語を突き動かしてきた大規模侵攻、だからこそ終盤のカタルシスがさ~やべぇんだよな~~(語彙力緊急脱出)

これはもう2万回言われてることだと思うんだけど、B級ランク戦を経た後に読む大規模侵攻編って本当に味わい深いんですよね。今私が感想書いてるのもそのうまみ成分を文章にして残したいって気持ちゆえですよ。

ランク戦で「主力」の名に恥じぬ戦いぶりを見せているB級隊員たち。そんな彼らを次々と撤退に追いやったアフトクラトルの戦力が規格外であったことは言うまでもない。要するにクソゲーである。もぎゃー!

黒トリガーぽいぽい投入してくるとか国宝担いだでんじゃらすじーさんに足止め頼むとか、ちったぁ加減しやがれ根暗野郎!!と叫びたくなるのも無理はない。
第一印象から株が下がるキャラが存在しないとまで言われるワートリだが、いくらなんでも軍事侵攻を強行してくる敵国の将に感情移入なんて


出典:ワールドトリガー コミックス9巻 第78話末尾より


敵キャラが魅力的な作品は名作ってばーちゃんが言ってた。




3.復讐の戦士


近界民排斥を掲げる城戸派の筆頭として遊真たちと激突したA級三輪隊隊長、三輪秀次。
界隈の合言葉「ワートリを送り付けるなら9巻まで」の9巻で表紙を飾る彼もまた、並々ならぬ思いで戦地を踏みしめていた。


瓦礫の山、無機質な雨の音、眼下に広がる鮮烈な赤。
「守るべき存在が今すぐにでも失われようとしている」
非力な少年に突き付けられるのは、あまりにも無慈悲な現実だった。
救いを求め張り上げられた声とは裏腹に、徐々にぬくもりを失っていく愛しきひと。
戦場で負った癒えることのない心の傷。傷口から滲む憎悪が、少年を復讐の道へと駆り立てる。
募る憎しみに呼応するがごとく、彼の振りかざす刃は日々鋭さを増していった。

暗転。
鬼気迫る表情で自分に助けを乞う少年。
つめたい雨が頬を濡らしたあの日の記憶が、まるで鏡に映し出されたかのように、鮮明によみがえる。
憎き仇への復讐を誓ったあの日、他者に縋ることしかできなかった自分を呪ったあの日。
許すわけにはいかなかった。近界民を、無力な自分自身を。
伸ばされた手を振りほどいた。あの日の自分に、刃を突き立てるように。


アニメで動きがつけばなおのこと、敵前での弧月キック炸裂はなかなかに衝撃的なシーンであった。上述の項目で文体の都合上「振りほどく」って表現使ったけど実際のところ吹っ飛ばしてたからね。物理的にね。
苛立っているのは分かるけどいくらなんでもやりすぎでは…と言いたくなるところだが、かつての無力な自分を思い起こさせる存在、かつ自分の憎むべき仇と手を組んでいる相手に縋られた三輪の心境は、もう察するに余りあると言ったところでしょう。


度重なる戦闘で消耗していた相手とはいえ、黒トリガー二人を苦境に立たせた三輪の功績は計り知れない。
頭に血が上りかねない状況で魅せる冷静な戦いぶり、と同時に「馬鹿が」「くたばれ」といった味方らしからぬセリフを口にしているのも胸アツポイントだ。
頭のキレるダークヒーロー描写は万病に効くってじーちゃんが言ってた。


4.並々ならぬ内情

エネドラ、そしてヒュースに対し「切り捨てる」選択を下したハイレイン。

三雲修に対し「振りほどく」選択を下した三輪秀次。

大規模侵攻編はボーダーVSアフトクラトルの激闘という前提こそあれど、

ともに戦う仲間同士の葛藤・裏切り・対立まで描いてくるのだから敵わない。

近界民の排斥を盲目的に掲げている存在、一方的に侵攻してきた敵国。
読者から見ればどちらも憎き存在として映りそうなものだが、緻密な心理描写が彼らに褪せぬ魅力を持たせている。

特に三輪とハイレインのふたりは、「並々ならぬ内情」を象徴するキャラクターと言えるだろう。


…という感想を抱かせてくれたアニメには感謝しかない。
後続の2期3期が軒並み高水準だっただけに厳しい目線を向けられがちな1期だが、やはり映像化というのは作品を追体験するうえで大変ありがたい存在だと感じた。


「ワートリ全巻買って後悔した人によるアニメ初見感想」次回は部隊別興奮書き散らし~柿崎隊編~をお届けします。
アニメ視聴とnote執筆とデジタルイラスト勉強を同時併行で行うという木崎レイジもびっくりの欲張りトリガーセット状態につき牛歩更新となりますが、今後もお付き合いいただけますと幸いです。
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