MマスCoC卓「腕に刻まれた死」後日談

※シナリオネタバレ抵触注意※

鷹来恭司(鷹城恭二)、秋本隼(秋山隼人)、大河内尊(大河タケル)、兜木大吾(兜大吾)のゲーマー繋がりでのセッションでした。






「ああ…分かった。それじゃ、明日」新調した携帯での通話を終わらせる。相手は秋本。ルルイエでの事件から2週間。ようやく身の回りも落ち着いてきて久々に、皆であの浮島で会おうという話になった。……俺は今華音の治療を任されていて元の病院には戻れなくなっている。華音が快復するまでは守秘義務やらなんやらで色々面倒なんだが、華音の症状が治れば解放されるらしいし、九十九さんやミナもちょくちょく見舞いに来てくれているからこれくらい、どうって事ない。かなり時間はかかりそうだけどな。

シロウを救えなかった罪悪感はずっとしこりとなって残っている。多分、大吾や他の奴らも……そうだ、こういう時って、何か、花を手向けるのが筋だよな…待ち合わせる前に買ってくか。

―次の日

「やあ、久しぶり。愛車の調子はどう?」花を買い、浮島へ行く途中、いきつけのバイク屋に立ち寄ると、店主が声をかけてきた。

「ええ、まあ、ぼちぼち?」なんだかんだ忙しいせいでメンテまで時間を割けず、持ち込んだことがすぐにばれた。

「忙しいみたいだね、いいよ。馴染みの客だからって事で軽くメンテしてあげるから中で待ってて」と店内の待合スペースへ促される。

小さな花束を抱えて2週間前の出来事を思い返していると、また声をかけられた。

「その花、エーデルワイスだね。中々この辺じゃ売ってないと思ったんだけど…」

「花のこと、詳しいんすか。ちょっと、手向けに行こうと思ってて…」

「昔ちょっとね。花屋でバイトして貯めたお金でバイク屋を始めたから花の知識はかじってる程度だけどね。…エーデルワイスの花言葉、知ってる?」

「…いや、さっぱり」

花言葉なんて興味が無かった俺は聞き流すつもりで聞いていた。でも、聞き流せるはずがなかったんだ。

「…大切な思い出 勇気」

「…っ!」

くしゃりと思わず花束を握る手に力が入った。

「大丈夫?俺が助けに行った時、何かあったんだろうとはって思ってたけど」

「…だ、大丈夫っす。すいません、取り乱して。」

「ほら、そんな怖い顔しない。友達とも会うんだろ?さっき、レーサーの彼も来てたよ。皆に会える嬉しさで落ち着かなくて早く出て来すぎたって話してたなぁ。はい、メンテ完了。メンテできないなら、忙しくても、必ず月一度は顔出すこと。いいかい?」

「秋本、流石に早すぎだろ…ったく。…はい、何とか都合つけます。ありがとうございました」

メンテナンスの終わったバイクに乗り込み、浮島へ向かう。

花言葉が頭の中にずっとこだましている。

―勇敢だった彼がいつか、幸せになれますように。

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