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突然の終わり

突然の終わり どこにでもある、誰の目にも同じように写る日常だった。巨大な才能とは無縁の、何の変哲もない毎日だった、どこにでも転がっている毎日。学校ではノートを取り、居眠りをし、クラスメイトと話し、昼間の多くの時間を教室と廊下で過ごした。一日が終わる頃には真っ直ぐに帰路について、飯を食って風呂に入ってテレビを見て、宿題を終わらせ、真夜中になる頃にラジオを聞きながら眠った。僕は、そんな自分の日々や毎日に対して、特に不満や不平を抱くことなくこれまで人生を過ごしてきた。 際限なく

    • 幸福な一日

      その日、菜々はカーテンの隙間から差し込まれた光に照らされ、心地よく目を覚ました。寝起きの気だるさが全くない透き通るような朝だった。窓を開けると真っ直ぐな太陽の光が視界に飛び込んできて、眩しさで手の平を空に伸ばし目を細めた。スーッと空気を吸い込んでハーっと吐き出すと、自然に口角は上がり幸福な気持ちを感じることができた。「こういう朝って本当に素敵」涼しげな風をその身に受けながら菜々は心からそう思った。その日は、菜々にとって幸福な一日になるはずだった。 朝の準備をテキパキと終わら

      • 不幸な偶然

        初めての海外旅行の前夜、和子は極めてナーバスな状態に陥っていた。明日は早起きしなきゃいけないっていうのに全く寝付けない。布団をかぶって目を瞑ってジタバタ寝返りを繰り返す。最初のうちは羊を数えたり幸福な妄想に励んだり色々試したけれど全然うまくいかない、眠れない。いつの間にか何をする気も失せて、いよいよ目を瞑るしか、することがなくなってしまった。頭の中を駆け巡っているのは、過ぎ行く時間の流れに比例して減って行く自分の睡眠時間一秒一秒だった。 我慢の限界がきて、こんな時間に電話を

        • 秒速30万キロの恋

          光が伝播する速さは299792458 m/s(≒30万キロメートル毎秒)と定義されている 光速は、宇宙における最大速度であり、時間と空間の基準となる物理学における特別な意味を持つ値でもあるのだ 「はあ〜?」 七海は首を傾げた、何言ってんのかなあこの人 すかさず手を挙げて聞いてみる 「先生、分かりやすく説明するとどういうことですか」 先生は分かりやすく説明してくれた 「えーとだなあ、つまり簡単に言うと、光は一秒間に地球7周半できるぐらい早いっちゅうことや、

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          自殺したかったわけじゃない

          信号待ちをしていて、青になったと思ったから歩き始めたら「プーーッッッ!」って思いっきりクラクションを鳴らされた。私にクラクションを鳴らしたのは街を巡回する市バスだった。 なんだなんだとビックリして顔を上げてみると、なんと信号は赤だった。流石に焦って頭が真っ白になったけど、すぐさま私は「いやいやそんなはずはない」いと思い直した。なぜなら、私は確かに青になった(と思って)から歩き始めたはずだった。 でも信号は実際には赤色で、向こう側で私を呆然と見ていたおじさんの顔は血の気が引

          自殺したかったわけじゃない