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7msってなに?(自己紹介兼用)

最初の投稿は自己紹介を兼ねて、自分のルーツ的なことをお話ししたいなと思って書きます。

たまに 7ms というハンドルネームを使ってます。
ルーツは、私が20年ほど前に(ほぼ個人で)取り組んでいた「オンライン・セッション」にあります。

"7ms" は黎明期の光回線のディレイタイム

当初、モデムを使ったアナログ通信で56KbpsかISDN 64Kpbsが一般的だった時代に、「光回線を使えば電子楽器同士をつないだオンライン・セッションが可能なのでは?」という仮説を持って実験を始めました。

私がローランドに勤めていたこともあり、本当にありがたいことに名だたる通信会社にご協力いただき、まだ法人ですら実験段階だった光回線を使わせてもらうことができ、最初の遠距離通信実験を実施した時のディレイタイム(遅延時間)が 6.6ms(ミリセコンド)でした。
*記事のカバー写真はFTTH回線をイメージして使わせていただきました。

6.6ms の何がすごいかというと…
通常「セッション(合奏)をする」というのは相手の音を聴いて、それに合わせて演奏するということになります。音速が秒速340mですので、音は1msで34cmほど進めることになります。つまり、6.6msで相手に音が届くとすると、2.2mぐらい離れて演奏しているのと同じことです。実際にはスピーカーやら電子楽器やらのディレイもそれぞれ入ってきますので、それよりは長いわけですが、技術的には申し分ない結果で、関係者一同で非常に興奮した記憶があります。

オンライン・セッションのサービスは、残念ながら諸々の都合で実現できませんでしたが、その後の私の活動に大きな影響を与えました。

インターネットの持つポテンシャル、ハードウェア&アプリ&ネットワークの組み合わせによるサービスの可能性、様々なチャネルで夢を持って仕事を進めている人たちがたくさんいること。

そうした過去の想いを全部詰め込んで、7ms というハンドルネームを使っています。

"7ms" を通じて出会った人、テクノロジー

通信部分では、DirectXというMicrosoftのモジュールの一部、DirectPlayを使っていました。このため、マイクロソフトのゲーム関連の方々とよくお付き合いするようになり、PCゲーム業界の方とは今もちょくちょくお会いしています。

回線系では、FTTH(光回線)をお借りすることもあって、日本を代表する通信事業者の方々ともおつきあいさせていただきました。地域レベルの実証実験とかもご提案いただいたり、本当に夢のある話をいっぱいできて嬉しかった記憶があります。

アプリ部分では、セッションのプレイヤー同士のマッチング部分をどう作るか、という仕組みが必要だったので、当時MacromediaだったFlashの技術を検討していました。Flashエンジニア&ミュージシャンのあの人とか、Adobeの皆さんとか、今考えるとなぜそういうところで繋がるんだろうと思うぐらい面白い出会いがあって、どうすれば実現できるか、実験はどうするかなど、夜な夜な語り合ったこともあります。

ミュージシャンの皆さんにもご協力いただきました。光回線とはいえ、閉域網が保証されない限り、パケットの遅延が安定しないので、実験段階での演奏には「それなりの演奏力」を要求されました。こんな難しいお願いにお付き合いいただいて、実験を前向きに進めてくれた皆さんにもたいへん感謝しております。

海外にe-Jammingという同じ目的を満たすサービスが見つかった時にも、様々な方々と出会いました。ご迷惑をおかけする場面のが多かったかもしれませんが…。(汗)

まだまだ他にもいろいろな方々とお会いしたと思いますが、世に出なかったたった一つのアプリケーションでこんなにたくさんの人やテクノロジーに出会えたのは私にとってとても大きな財産でした。

後日、身を結んだサービス

前段の活動を経て全てを注ぎ込んだ、電子楽器&アプリ&ネットの連携サービスが、 "V-Drums Friend Jam"です。

電子ドラムとつなげて利用するアプリで、オンラインから演奏用の曲が自動的に配信されてきます。操作はドラムのパッドだけでできて、音ゲー感覚で使えます。演奏すると点数がついて、世界ランキングにエントリーされ、Twitterで順位や演奏時間をシェアできます。

独創的な仕組みがウケて、世界200か国6万人以上の電子ドラマーに使われました。グッドデザイン賞Adobe AIR Contestのグランプリなどもいただいて、新聞にも取り上げてもらったりと反響もものすごく大きかったです。

ローランドのサポートも終わり、アプリのダウンロードはもうできませんが、ハッシュタグ #friendjam を見ると未だに使ってくれている世界中のユーザーがいて、YouTubeにも演奏動画がたくさん残っていて、2011年2月の公開から2018年3月の終了まで、とてもファンの多かったアプリでした。

V-Drums Friend Jam は、SITE4Dさんとの出会いがなければ誕生しなかったのですが、このときの伝説的な話はまたいずれ。☺️

このアプリケーションからは多くの学びもありました。

デザインやユーザビリティがあらゆるものを超越することがあるんだ、という事実、オンラインサービスのフィードバックやトレーサビリティ、馬鹿正直に実装しないで少し緩いぐらいの方が作りやすいし楽しくできる、ソーシャルゲーミフィケーションのノウハウ、Twitterで直接世界中のプレイヤーと(カタコトの英語で)つながる楽しみ。

とめどないですが、おっさんの戯言になってきたので…

そんなわけで、7msというハンドルネームには、今の私を形作っている出会いがたくさん詰まっています。

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