『ドキドキ文芸部』感想と『きゅうくらりん』考察

先日、有難い先輩からの助言によりDDLCこと『ドキドキ文芸部』をプレイすることになりました。かなり文句を言いながら進めたにも関わらず、いざ終えてみるとそのストーリー性に興奮冷めやらずこうして感想を書くまでに至っています。

ゲーム内容の個人的な思いを好き勝手に述べた後、きゅうくらりんとDDLCを絡めた考察に言及するつもりです。多くのネタバレを含むため、未プレイの方は絶対に閲覧を避けてください。自らプレイをする・もしくは実況を見るなどした後に戻ってくることをお勧めします。

※どちらかといえばきゅうくらりん考察が本編なので、長々と書いた感想は飛ばすことを推奨します。

『ドキドキ文芸部』感想


1周目
4人の中から迷いなく好みど真ん中だったサヨリを選択。何となく「普通のギャルゲーではない」という噂だけ聞いてはいたために、不必要に怯えながらプレイしていたように思います。

ナツキに若干浮気しながらもサヨリとの親睦を深め、これから仲直りをしていくのかと思っていた矢先現れたサヨリの首吊り自殺ーーーー実際に配信を聞いていた人達はお分かりのことと思いますが、このときの私の狼狽ぶりはこの先後輩に顔向けできないほどのものでした。

おおよそプレイ時間が4~6時間程と聞いていたためにもっと長い時間をかけてサヨリとの愛を築けると思っていた私は、絶望の顔で首を吊る彼女の顔を見て何もできなかった己を責めることに。どう足掻いても変わらない結果だと知っていながら、「途中でナツキを選ばず一貫してサヨリを選んでいたら」と罪悪感で絞め殺されそうになりつつ1周目を終えました。

2周目
タイトルに戻ると、文字化けされた「はじめから」とバグだらけになったサヨリの姿。ゲームを再開するとサヨリに関する箇所が文字化けされ、開始早々画面や音声にノイズが混じり、完全にビビりながら進める羽目に。

大した内容でなくても黒字の演出が出てくるだけで叫び声を上げていたため最早内容なんて入ってこない始末でした。すみません。(実際、恐らくモニカが書き換えている箇所だと思うので、倫理的にまずい台詞もそこそこ出てきて心臓には悪かった。)途中から後輩に丸投げして観戦モードになるという最悪モンスタームーブをかましてしまい、そこからはdiscordの画面で鑑賞。

情緒がおかしくなり完全にヤンデレと化したユリ、顔面がバグりまくったナツキ、バグを利用して自分しか選ばせないモニカ。いきなり自分の胸部を滅多刺しにして死んでしまうユリの姿は、(私は4人の中では一番入り込めていなかったキャラクターではあるものの、)かなりショッキングでした。

そもそも本作は様々なドッキリ要素が詰め込まれたゲームではあるけども、やはり人が死ぬという点では1周目のサヨリのときと似た吐き気のような思いがせめぎ上げてくることとなりました。感情のぐちゃぐちゃがピークになった状態で3周目に。



3周目
モニカとの延々会話ゲーム。正直2周目のトラウマが大きすぎてずっと薄目で見ていましたが、そこまでホラー的要素はありませんでした。

一番推しであるサヨリを消されてしまったことで大きな憎悪をモニカに抱いてしまっていた私は、まともな情緒で会話ができず。しかし(一緒にプレイしてくれていた後輩からの助言で)モニカのファイルを削除してからは、彼女の一途な想いを悟り、自ら消してしまったことにじわじわ罪悪感を感じてしまいました。

4周目
タイトルに戻ると、モニカの姿がそこにはなく。2周目のときバグっていたサヨリとは違い、まるで最初からそこに存在などしなかったかのように消されている。消されたというか、消したのは自分なのに。

気になったのは、1周目ではうつ病を抱えていたはずのサヨリが一変して元気になっていたことです。(記憶が正しければ遅刻もしていないので、恐らくうつ病設定がなくなっている? モニカの介入による発症なのだとしたら、彼女のファイルを消したことでうつ病になるきっかけもなくなったのかもしれません。)

しかし今までのモニカと同じように、ゲームを操りこちら側に干渉しようとしてくるサヨリ。彼女が部長の座についたことや、性格が割と変わっていることから、サヨリはこの世界におけるモニカの代わりを担おうとしたのかなと思いました。(もしくは、部長についたからorモニカが消えたから干渉能力を手に入れたのかな? そこの因果関係は謎。)これは自分が主人公に好かれたいがためかな。その後色々あって感動のエンディング。



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このゲームを終えて思ったことは、まず2周目の途中で終えなくて良かったなと。最後まで見ることで何故あんなバグが起きたのかということも理解できたし、そうでなければ二度と開きたくないと思ったことでしょう。


疑問に残ったことといえば、ナツキの存在です。本作のメインヒロインともいえるモニカ、重要なストーリーと共に凄惨な死を遂げたユリやサヨリとは違い、ナツキには死の描写がありません。(目ん玉が飛び出た後も普通に登場してきましたし、データが消えたのもモニカの仕業です。)
ナツキはバグを除けば最初から最後まで常識人で、彼女の父親との関係性や主人公との関係も謎に包まれたままです。最初からナツキを選んでいれば何か変わったのかな? それは次にプレイする人達に期待です。


あと凄いなぁと思ったのは、「ファイルを消すことで実際のキャラクターの存在が消える」という演出です。これちょっと考えてみたんだけど、指定されたところ以外でファイルを消してみたらどうなるんだろう? 例えば最初からモニカかサヨリを消してたら何か起きたりしないのかな? (この後やってみたところ、最初からモニカorサヨリを消した場合のみサヨリの首吊りエンドへ直結しました。怖すぎる)

2周目でユリを消してみても何かあるかもしれない。推測の域を出ないけれどやってみる価値はあるだろうしワクワクしますね。私は怖いので有志の方々に任せます。



きゅうくらりん考察

うるさく鳴いた 文字盤を見てた
きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい
しらけた顔 変わってなくてよかった
ピンクの植木鉢の ぐちょぐちょした心のそばに
大きく育ったもの
結ばれたつぼみが こんなにも 愚かしい

サヨリの起床の場面。うつ病を抱えており朝が嫌いな彼女が、準備をすることもなくただ鳴り響く時計を眺めているシーン。8時すぎ、大方の学校であればもう遅刻確定の時間な気がする。

しらけた顔をしているのはきっと主人公で、変化がないことに安堵しているのかな? (サヨリがいつも通りに徹しようとしているシーンはかなり多かったはず。気を使われたくない、構われたくないとまで言っていたし)

主人公に対する気持ちをサヨリは完全に醜いものだと思っている節があり、他の人と結ばれてほしいと思っているが故の葛藤がここで見て取れるのかな〜と勝手に思っています

そういえばこのシーン、7回女の子が描かれてるのって一週間を表してたりしないのかな? だとすれば、週末に行くにつれて少し息切れしてきてるのもリアル。

ああ 化石になっちまうよ
ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大した取り柄も無いから
空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう
ああ あなたの右どなり
わたし きゅうくらりん

自分を卑下しながらも明るく気丈に振舞おうとして、心の空白が埋まらないことを必死に隠すサヨリ。右隣=幼馴染ポジションのことを言っているのかな、普通のギャルゲーなら負けヒロイン感のある立ち位置。


ここで何枚も重なっていく演出、作中のバグ要素を上手く表してる感じがしてすごいなあと思った。それでいてDDLCを知らないとバグだなあとも思えないので、自然な隠しネタみたいな感じで良い。

例えば 今夜眠って 目覚めたときに
起きる理由が ひとつも 見つからない
朝が来たら わたしは どうする?

「いつも、ベッドから起きる理由が見つからないの」
サヨリが主人公に放ったセリフで、この辺から本曲の歌詞も少しずつ不穏になっていくような気がする。

うるさく鳴いた 文字盤を見てた
一歩 一歩あとずさり 「また明日ね」とぽつり
喜びより 安堵が先に来ちゃった
思い出 西日越し
うつるこまかなヒビが こんなにも恐ろしい

また明日、と言ってからもう会うこともなく首を吊ってしまったサヨリ。ここの喜びって、初めは「告白を受け入れてもらえたこと」なのかなあと思っていたけど、これ多分「他の誰かと主人公が仲良さげにしてること」なのかな? サヨリは主人公が他の誰かと上手くいけばいいと思っていたようだし。


ところでこの絵、「上半身が切れてて首吊りしてるみたい」ってコメントを見てめちゃくちゃ泣いちゃった。そう言われるともがいているようにしか見えないし、日曜日から一週間を表してるとしたらちょうど月曜日に首を吊っててつらい。


ああ 虹がかかっている空 きれいと思いたくて
焦がれては逃げられないこと
みんなにはくだらないこと
もう どうしようもないの
わたし きゅうくらりん


ここの前の間奏で、どんどんぐにぐにゃになっていくのが精神の崩壊とこの世界のバグを表現してる気がして胸が痛んじゃった。心が……

ああ 呪いになっちまうよ
ああ 「あきらめた」って言わなくちゃ
頭の中で ノイズが鳴りやまないから
空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう

ああ あの子の言うとおり 終わりなんだああ 幸せになっちまうよ
ああ 失うのがつらいな
全部ムダになったら 愛した罰を受けるから
ひどく優しいあなたの 胸で泣けたならどうしよう
最後 見たのはそんな夢
わたし ちゅうぶらりん

初めて聴いたとき何が「呪い」なんだろう? と疑問だったけれど、相手のことが好きな自分が嫌いで、他の誰かと幸せになってほしいけどそれも受け入れられない思いとの葛藤なんだろうなと思うと呪いでしかないなと思った。

ここでの「あの子」は多分モニカかな。モニカが例の事件の朝、「今朝まであの子を宙ぶらりんにさせちゃって」って言ってたのがあまりにも最後の歌詞とマッチしててつらい。

告白を受け入れた方では実際に主人公とサヨリが抱きしめ合うから、これは断られた方のサヨリの歌なのかな?つらすぎる。




こんな感じで思いのまま書いてしまったけれど、怖くてあんまり内容が見れてない箇所もあったので良ければ皆さん感想戦やりましょう。是非!

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