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生きるのは体力勝負

『生きるのには体力が必要』治療を始めて何回も思うことだ。

治療を終え、お世話になった病院をでると、ありとあらゆる刺激がとびかう。入院中には会うことのなかった周囲の人の数や声、さまざまな種類の音、車が交差する道路。その中で神経を研ぎ澄ませ、必要な情報をとり生きているのだ。体力を奪うのには十分すぎるほどのものである。静かな病室に何日もいた私はあっという間に体力のなさに直面する。


私はもともと体力はあるほうだったと思う。産後3ヶ月目から仕事に復帰した。息子は夜泣きがひどく30分連続で寝たらいいほうでろくに睡眠時間もとれていなかったが家の中に子供と二人っきりでいるよりは仕事に出ていたほうが精神的に楽だった。夫は当時配送ドライバーの仕事をしており家にいることが少なく、シャワーを浴びるだけに帰るという日もあった。なので家事育児は私の担当だった。

家事育児仕事に追われながら4年が過ぎた。途中、転職しながらも仕事をしていない時期などなかった。週6日仕事で働く私は休むということをしていなかった。「休み」という日があっても家事をしたり、子供と向き合ったり忙しくしていた。それが当たり前であり、子供のためにできることと思っていた。疲れなど感じなかった。そして自分のことは当然後回しにしていたのである。おそらく、そのつけがまわってきたのであろう。『ガン』になった。


ガンになり体力がない今思うのは、疲れ知らずと思っていた私は「疲れに気づいていない」だけだった。この体になって、あらゆる情報量の中から必要な情報を選んでピックアップしているだけでもかなりの体力消費しているのがわかる。まさに生きるのには体力勝負といったところだ。

さらに家事育児となると相当体を追い込んでいただろう。以前の自分に伝えたい。『「自分のための時間」「休息」を大事にして。』『一度大きく深呼吸してみて。』


病気になってからの方が入院などで子供を寂しくさせてしまっていると思っている。子供の為を思うなら、親である自分が自分のことを大切にするべきだったと反省している。どうか、自分を大切にする行動をとれる人が増えますように…また、自分を大切にする行動をとれる環境ができていきますように…と願う。