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この新しい思い出にも、きっと意味はあったはずと信じたい―ワイルドアームズミリオンメモリーズ感想

人から面白いかと言われたら返答に困るし、ファンにもファン以外にも勧めるにはあまりに問題が多い…それでも、消えてしまうのはとても寂しくなるゲーム……かなぁ…

ワイルドアームズの、あまり深くはない思い出

初めてシリーズをプレイしたのは、PSP発売後のPSアーカイブス。セカンドイグニッション…二作目が面白いと友人に猛プッシュされて。かなり遅い出会いだった。

歌と良質のアニメーションで最高に盛り上がるオープニング、心を打つBGM、英雄についての少し青臭すぎとも思えるテーマ、小粋でコミカルなギャグセンス、特撮オマージュ等々。戦闘がチープで単調などの問題があるものの、ド嵌まりした。

その後は他のシリーズも手にしてはみたものなかなか続かず中断してしまうこと幾星霜、そしてこのミリオンメモリーズがスマホで配信という発表。だから、自分にとって大きすぎない程度の思い出は、けれども結構期待してしまう気持ちもあったのだけれども…

ミリメモ、出だしからの失敗

そもそも、出だしからドラガリアロストの配信と被ったのは最悪であった。むしろドラガリアロストは自分もプレイした。見た目も操作性も断然あちらがリッチすぎる。WAシリーズのブランド力は決して強くはないのにこれで勝てるか?恐竜VSアリか?

肝心のアクションバトルもあまり面白いものとは言えず。オート機能はかなり優秀だが優秀すぎるために最初のイベントの累積ポイントがすぐ完了する事態に。イベント二回目はオートプレイの放置プレイをさせないためか、護衛対象NPCがついてくる始末。しかし結局そこから一つランクを落としたクエストをオートで周回させればいいじゃん、と言うことで解決というイタチごっこ。

そして思った、思ってしまった。このゲームは、はたして面白いか?自分の時間を使う意義はあるか?と。結局二ヶ月ほどでプレイを止めてしまい…そして、サービス終了が発表された。

サ終発表と再会

プレイを再開しようと思ったのは、えらく気前の良いサービス終了前のアイテム配布があるということと…あとは、おそらくシリーズの終焉になるであろうこの作品を見届けたくなったからだった。
そして思った。……まぁ、悪くないかな、と。

何よりシナリオとキャラクターに関しては素晴らしい。もちろん自分はプレイしていない作品も多く知らない設定も多いのだが、ゲームの中の荒野では魅力的なキャラクター達が、自分の意志を貫いて荒野を駆け抜けていく。
熱い台詞、お決まりの展開、出会いと別れ、新たな仲間、襲撃、混沌、絶望、希望…

正直ごった煮感は凄いのだが、別の作品を組み合わせて上手く世界の構成が為されていると感じた。何より軽快なノリと小ネタは特筆もの。今の時代のセンスではないかもしれないが…当時プレイしたいたオッサン達には多分かなり刺さるセンスだと思うよね、これ…

プレイ再開直後、豊富にばらまかれた無料石をつぎ込んだガチャで手に入れた優良キャラを育成し(最初はなかったキャラガチャ、あとで導入しましたね)、さらに豊富にばらまかれたアイテムでギア・ARM(いわゆる装備と必殺技)を強化。ずんずんと進んでいき…

あ、やっぱり厳しいわ、これ…

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(小粋で軽快なやりとり)

フォローするにもあまりに辛いあれこれ

序盤は各章にあきらかに意味のないバトルを都度差し込んでいたが、中盤は良識ある構成になり(やったぜ)、そして後半は…イベント重視でバトルはごく僅かに。序盤よりはそりゃあいいけど、明らかにバトルがあってしかるべき所までイベントで解決する展開の多いこと…手抜きに見えますよ…

それでいて、シナリオ上必須の突然のソロバトルが差し込まれる。キャラ指定のステージ攻略やボスとのタイマンバトル。指定キャラを育成していなければ当然詰まる状況に。状況次第では属性等(後述)が合わないのでコンティニューするかとにかくレベルを上げてゴリ押しを…何でこういうときだけはシチュエーション重視してソロバトルにするんですか…?(これでも難易度がアプデで下がったらしい)

正直簡単なバトルと難しいバトルの緩急がジェットコースター並みにぐにゃぐにゃで訳わかんない作りだよ!アプデの調整もあって、大ボスよりそこらの中ボスの方が明らかに楽になったりしてたり…もうちょっと丁寧な調整をさぁ…

面白いと思っていた話も、後半は(超展開ではないとはいえ)
アクセラレイター並みの超加速!
少年漫画並みの打ち切り!!
第一部完!!!ありがとうございました!!!
僕たちの冒険はこれからだ!!!!

お話はそれなりに綺麗にまとめていたけど(感心した)、俺たちの出番はこれからだ!みたいな敵組織が複数あって切なさを感じますね。最初の構想だとコイツらは今回のラスボスの前に来る構成だったのかな、それとも第二部以降の登場だったのかな…
ま、考えても空しいだけなんですけどねその辺は…

ここがいかんでしょ、という個人的意見

終わってみての感想としては、とにかく一歩も二歩も足りなくて、あれこれ雑なゲームだったなあと。何をやっても微妙に気持ちよくないゲームというか…

2019年1月(だったかな?)のVer2.0から設定されたクラスなんかが特徴的だけど、まず6要素が円として有利不利設定されているのでそこが面倒。それとは別に武器属性(剣や銃・魔法など)とARMの属性(火や水など)とがあって、更に前者はキャラクターのレアリティで分けられているという…
レアリティが違った場合は同じキャラでもレベルは独立のため、必須ソロボスでレアリティのクラスが敵の不利属性引いてるなんてこともあったり。
もっと複雑なゲームはいくらでもあるのかもしれないけど、何せこのゲームの設計とはかみ合ってなかったのでは。

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(個人的にはかなりめんどくさいと思う)

ARM(過去作の思い出)がMP消費の必殺技扱いなんだけれども、これも使うときに絵が出る程度で、どうせならもっとエモくしてくれれば面白かったんじゃないかなぁ、と。
フレーバーテキストだけじゃなくて、例えば手に入れたらポリゴンキャラ使ってのシーン再現が見られるとか、テキストにボイス入れてみるとか。
最後の方に実装されたサブイベントなんかは急にイベント絵っぽい立ち絵が入ってたけれども、あれを参考にして、ARMに採用されていた絵に重ねてイベント再現風の会話を流すミニイベントなんかを作ったら面白かったんじゃないかと。

あとは毎週更新くらいのハイペースでシナリオを追加してどんどん読ませていったらよかったのでは、とも。いやこれが無責任な発言で、難しいのはわかってるんですよ?お金も時間もなさそうだし。中ボスとかもめっちゃ使い回してたからなあ…
でも他と戦えるのはシナリオくらいだったので、それくらいやらんと勝ち筋がみえなかったのでは…せめて小粋なセンスが光っていたサブイベントをたくさん入れたら初期の人は残ったんじゃないかな、とも。サブイベなら本筋と関係ないキャラじゃんじゃん出せるので出番を待ちかねてたファンも喜んだろうし…

どっちにしろ課金周りが微妙で、最初から厳しいのではとも思えたんですけどね。初期はキャラガチャなしで衣装販売とかやってましたね、それ考えるとこのゲームは熱心なファン向けだったのかもしれないけど、そこにお金を出す人がどれくらいいるかと考えるとなぁ…
個人的にはそれだったらアクション形式は捨てて、アナデンみたいにシナリオ・RPG要素を魅力的にして、そこにキャラガチャつけるみたいな形がベターだったのかなぁ、と。

まとめると、このゲームって
設計が失敗していた
どこにアピール・セールスしたいのかよくわからなかった
予算がなかった(なさそうだった)

ってことかな…致命的ですね。
悪口書きたくないんだけど、なんかこうちょっと辛辣になっちゃうな…

それでも、プレイして良かったとは思うゲーム

最初に書いたとおり、なくなったら寂しくなるゲームだったなぁという、よくわからないけど生まれた気持ちは変わらない。いや、大部分の期間放置していた作品にこんなこと言うのも変なんだけれども。
そして、こんな果てしない駄文を…誰も読まなさそうなものを長々と書き殴ったのは、決してたくさんの人がプレイしたわけでもない作品の記録と記憶を、自分がせめて残したかったからである。某掲示板やツイッターなんかでは語る人はいくらかいるけど、それ以外ではあんまりいないような気がしたので…(自分だけが、というほど傲慢ではないつもり)

そういう意味では、この文章も思い出で、ひょっとしたらARMなのかもしれない。…なんてことを思いつつ、この作品を胸に、また別の新しいゲームをプレイしていきたいと思う。
いつか…いつかまた、荒野でシリーズの新作に出会えることも、ほんの、ほん少しだけ期待して…

でも、決してそこに留まってはいけない。
求めるものはいつだって、歩いたその先に

――クライヴ・ウィンスレット

余談

終了直前作品に今更こんなことを言ってもアレだけど、このシナリオをシリーズファンが読めないのは正直惜しいので、いくつか運営さんはこうしたらいいのに…と書き殴っておく。
・育成に関して、レベルが不足がちになるので、リンゴかせめてレベル還元できる洋梨をもっと配布して欲しい
・というかノーマルはワンパンで攻略できるようにしてシナリオ簡単に読み進められる位で良いと思う、せめてソロ攻略シナリオはシチュエーションガン無視して好きなキャラで挑めるようにして欲しい
・もう無条件で文章だけ読めるようにしたら良い気もする
・むしろシナリオブック出して欲しい…(願望)

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