国連のレポートは、成人と未成年者の性行為の非犯罪化を求めるものではない
主張:国連の新しい報告書は、成人と未成年の間の性行為を非犯罪化することを求めている。
AP通信の評価:誤り
国際法律家委員会が国連合同エイズ計画(UNAIDS)と共同で3月に発表したレポートは、差別的な手段をとることなく性交同意年齢法を施行することを求めたものである。国連と国際法律家委員会のスポークスマンは、このレポートが、未成年者と成人との間のいかなる性行為の非犯罪化も求めていないことを明確にした。
ことの発端は、4月14日に「国連報告書は、大人と子供の間を含むすべての性行為の非犯罪化を求めている」と題したブログ記事が投稿されたことだ。Twitter、Instagram、TikTokなど、ソーシャルメディア上で瞬く間に広まった。
当該記事は、国際法律家委員会が3月に発表した文書の特定の箇所を引用している。
「国連はこのレポートにおいて、加盟国に対し、大人と未成年者の性交渉を非犯罪化するよう求めている」というツイートが、土曜日から現在に至るまでの間に7,600回以上シェアされた。
「大人が子供を唆して性行為に持ち込むことは許されるべきなのか? 国連の答はイエスだ」
しかし、この引用は誤りである。
UNAIDSによれば、「性・生殖・薬物使用・HIV・ホームレス・貧困にかかる行為を規定する刑法に対する人権に基づくアプローチのための3月8日原則」と銘打たれたこのレポートは、「国際人権法の理念を(加盟国の)刑法に導入する」ことを目的とした法理である。
「3月8日原則は、子どもとのセックスの非犯罪化を求めるものでも、加盟国内の法定同意年齢の廃止を求めるものでもない」と、国際法律家委員会は木曜日の声明で述べている。
「国際法律委員会は、国際法に基づき、性的虐待などあらゆる形態の虐待から、児童を保護する明確な義務があることをここに断言する。その手段には(各種虐待の)犯罪化も含まれる」
ニューヨーク大学の法学部教授であるエリン・マーフィー氏も、この文書はむしろ「未成年者との性交渉に反対する各種法律の施行に力強く賛成する声明」であるとして、同委員会の見解に同意している。
誤って伝えられたのは、法定同意年齢の運用において、「当事者の性別や婚姻可能年齢の慣習」のような、差別的な手段を用いることのないよう求めた箇所である。
マーフィー氏は、「国連の文書が加盟国の設定すべき法定年齢について、厳格な判断を下しているわけではない」と述べている。
「米国には婚姻可能年齢を定めていない州もあり、それが性交同意年齢にかかる法律の抜け道となる可能性があるのです」
さらにレポートには、法定同意年齢未満の少年少女による性行為は、「法律上はともかく、実態としては(当事者同士が)同意している可能性がある」とある。
この文脈において、刑法の施行は「18歳未満の当事者の自己決定権と能力、およびそれらに関する意見を聞く権利を考慮すべきである」。
しかしこれは、ブログがミスリードしたような、子どもが成人との性行為に同意できることを示唆するものではない。
マーフィー氏の見解は、この記述は「法定同意年齢が、若年者同士の性的コミュニケーションの実態を必ずしも反映しているとはいえない」状況を指しているというものだ。
「法定同意年齢が18歳や17歳に設定されているにもかかわらず、(慣習としては)高校3年生が高校1年生と関係を持つことが珍しくない区域の場合、公平さを欠いた運用や、当事者間に本当に合意のある関係を犯罪に変えてしまうおそれがあります」
同様に、UNAIDSの政策・アドボカシー・ナレッジ担当副事務局長であるクリスティーネ・シュテクリン氏がAP通信に寄せた声明は、以下のようなものだ。
「法の運用上、近い年齢の青少年同士による、同意に基づく非搾取的な性行為を刑罰で禁圧することは適切ではないと認識されています」
シカゴ・ケント法科大学のアレクサンダー・A・ボニ・サエンツ法学教授は、この文書が「大人と子どものセックスの非犯罪化を提唱しているわけではない」として、賛同を示している。
「この文書は、例えば、当事者の性別や婚姻状況によって異なる法定同意年齢を設定するといった、差別的な法律を施行すべきではないということを示唆しています」
国連のステファン・デュジャリック報道官も、火曜日の記者会見でこの虚偽の主張にふれ、「法定同意年齢に関する最新のレポートへの悪意ある誤報」と名指しで批判している。
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