好きな安全地帯の歌詞 2

今回はTHE バブル期の夜遊びみたいな曲たちです。

❸ MISS MISS KISS(作詞 松井五郎)

キャンドルみたいな body
はずかしがらずにとける
罠のしかけ場所 教えて
うかれた悪女のセンスで心をだしぬきなさい
あなたからキスマーク
咲かせたらしょうがない
「傷ついていく」といまさら 嘘つきめ
たまらない

MISS MISS KISS

1986年リリース5thアルバム「安全地帯 V」の曲です。このアルバムに入っている曲の歌詞は現代人から見るともはやちょっとどうかしているようなダサさがあります。バブル期特有のダサさと退廃的な恋愛のエロスがいい具合に感じられる曲がなんと3枚組36曲ととんでも無いボリュームで入っています。

さてこの曲についてですが、悪女が何を企んでいるのかははっきりとわかりません。金銭や地位のために戦略的に体を差し出しているのかもしれないし、単なる思わせぶりのことを罠、悪女のセンスと言っているのかもしれない。

危険をたくらむ lady
みすみすキスされてやる
蜜のかくし場所
のぼせて
ばらけた疑惑のせいで
ふたりの魅惑が燃える
やましいと 愛が
はやらなきゃつまらない
「さみしくはない」と
このうえ ふしだらめ
さぁ今夜ふたり
きわめて 残酷に
たまらない

MISS MISS KISS

わかるのはとにかく男が、何かを企んでいるようなこの女の態度に奇妙な魅力を感じているということ。バブル期の東京における性の乱れ方を考えるとこんなのは普通だったのかもしれませんが。現代で言うところの港区女子とかに近いのかな。
1番好きなのはMISS MISS KISSというタイトルと「みすみすキスされてやる」というのがただの駄洒落で何もかかっていないところ(miss miss kissという英語自体に意味がない)。いかにもこの時代のユーモアっぽくて良い。

❹いますぐに恋(作詞 松井五郎)

蜂蜜みたいな声が聴けそうな
5秒も頬杖ついてた横顔
あなたがなにを感じたいのか
不思議にわかっていたようさ
蛇皮の靴をつまさきに揺らし
ハンドバッグからこぼれる退屈
すりへったリップスティックから
誰かのKissを想いだすの

Hello My Girl
Hello Mv Love
いま すぐにほしい

蜥蜴の色した不吉なカクテル
じょうずに抱かれたことさえない肩
ふたりになにもまちがいのない
愛の時間があればいいね

Hello My Girl
Hello My Love
いま すぐにほしい
Hello My Girl
Hello Mv Love
いま すぐに恋

いますぐに恋

これも「安全地帯V」から。
松井五郎はアンニュイな雰囲気を描くのが本当に上手いです。バーかどこかでしょうか。1人退屈そうに過ごす女性。蜂、蛇、蜥蜴(とかげ)と危険な動物の名前が散りばめられていて全体的にどこか不吉な雰囲気。
ダサくて笑ってしまうのですが、Hello My Girlはナンパするにしてもいきなり過ぎます。ここもバブル感が強くてちょっと面白いです。
「ハンドバッグからこぼれる退屈」、「すりへったリップスティックから誰かのKissを想いだすの」というフレーズはシンプルに好きです。

❺今夜はYES(作詞 松井五郎)

地下鉄からはあふれてくるレプリカント
ドアのあかないイエローキャブのクラクション今夜誰にも 邪魔されずに 踊りたいYesだね
素敵な足はアルミニウムのレジスタンス
抱きあいながらみくらべてるリアクション
くるくるまわるネジまわしの瞳でYesだね

今夜はYES

この曲は曲調も歌詞もサイッコーーーにバブルです。
地下鉄からあふれてくるレプリカント(人造人間=労働階級の奴隷人間?)というのは華金に労働を終えたサラリーマンたちが一気に夜遊びに出てくる様子。イエローキャブとはタクシーのことで、この時代はいかにも金を持ってそうな風貌でないとタクシーが止まらなかった。貧乏人が止めようとしようもんならクラクションを鳴らされ乗車拒否される。なのでイエローキャブはドアが開かない。レプリカントだとかアルミニウムだとかねじ回しだというのは人間を人間だと思っていないということで、他人を全て自分の見栄のために利用するロボットとして品定めしている。

ハートがまにあわない
からだがとめられない
夢中になれれば勝ちだよね

門限破り 綺麗になる お嬢さん
タイトな腰が悩ましげにイカスね
今夜誰にも 尾けられずに 踊りたい Yesだね
ルールをはみだしたい
すべてをくるわせたい
知らない自分を知りたくて
ませてる顔にかくされてるダイナマイト
星の数だけひきつれてたボーイフレンド
今夜誰が むかえにきても わたさないYesだね

今夜はYES

2番から人をロボット扱いするのをやめる。
1人お眼鏡にかなう女性を見つけて夢中になっているから。こうなったら絶対に離したりしない、他の男には絶対に渡さない、世界でたった1人の俺の女。金と見栄と欲望の渦巻く、バブル期の夜の街。現代人から見ると超絶ダサいかもしれない(笑)
YESだねとか、イカすとか言葉選びもものすごくバブリー。バブルを感じたい人はぜひ聴いてみてください。


つづく

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