【#13】結局、何の成果も得られませんでした。症候群

今週はいいこともあった。日本にいる旧友から連絡がきた。いつも一緒に自転車で旅をしていた彼だ。今どこにいるかとか内容があってないような連絡でしかないのだけれど、やっぱりうれしい。欧州にいることを伝えたら、「イタリアあたりを旅してるのかい」と返ってきた。一見なんでもないし、単にボクの深読みにすぎないという可能性も十分にあるけど、ボクたちが好きだったバンドの歌詞の引用だろうと思って嬉しかった。

恋人同士だけが通じ合う言葉で囁き合い、ふたりだけの名前で呼び合うように、ボクたちはそのバンドのリリックやメロディーラインを頼りに通じ合ってきた。ボクたちがそのバンドと出会ってもう10年以上の歳月が経ち、帰国したら酒を飲もうというようになった。それほどの時間が経っても多分ボクたちは余すことなくそのバンドの曲を全曲覚えている。

当時、ボクたちは満足にCDが買えるほどには金がなく、かといってサブスクという概念が広まるほどには時代が進んではいなかった。携帯と言えばまだガラケーが主流で、スマホというものがようやく人口に膾炙し始めたころだった。そのころのボクと言えば、携帯すら持ってなくて夜通しパソコンに張り付いてメールをしていた。受信ボックスを何度も何度も更新しながら。

だから、まだ聞いたことのない曲をYoutubeで見つけては、ウォークマンにガラガラの音で録音していた。それをポケットに入れて学校にもって行き、授業を抜け出して屋上へと続く階段で、イヤホンを片耳ずつ分け合って一緒に聞いた。そんな些末なことすらくっきりと覚えている。

ここまで書いては見たけど、どう書けども、夜空の月を写真に収めるようにどこか虚しいだけの作業に感じる。本当に見えたもの、本当に感じたものを言葉にすることが、自らの言葉の足りなさあるいは自省的な能力の乏しさゆえにかえって実態をつかみきれないものに変えてしまう。

良かったことを最初に書いたけど、良くないことの方が多い。やっぱり嫌なことの方が多くて、生きてることにうんざりする。一度、そういう感覚に陥るとなかなか抜け出せなくて鬱陶しい。

先週も記事を書けていないのに、今週も記事が書けなくて、記事を書きながら今週1週間も大した進歩がなくて、1週間を無駄にしたような気がしてくる。けれども、過去は動かせないから、何にもしていない自分のしょうもなさに辟易して、ストレスばかりが募る。

徐々にわからなくなりつつある授業を取り戻せなくなりつつあるけど、満足いくほどストイックでもないし、週間の計画を立てて何かに取り組めているわけでもない。

進歩したと感じるより、非力と感じることの方が多い。

このことを題材にダニング=クルーガーな日々と題して書こうと思ったけど、もう書くだけでイライラして胃にダメージが来るので、というかキリキリしているので終了。

ダニングとクルーガーはまた機会があれば。とにかく今はウザい感情しかない。もっともそれは自分がしょうもない人間でしかないということなのだけれど。

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