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【ボクの細道】#8・#9「吉祥寺にもある」「You will be Queen 」

この町の名物はシュニッツェルとグラーシュ。それさっきの国にもありました。あとボクの国にもあります。
ウィーン

『オシムの言葉』でオシムさんが作っていたグラーシュという料理が気になって何度か日本で作っていた。グラーシュとは、一般に牛肉とパプリカの煮込み料理で、ハンガリーが由来といわれており、そのパプリカの赤はハンガリー人の血であるという人もいるぐらいだ。

グラーシュは名産だから食べようなどと宣っていたボクたちは早速、チェコ・プラハのパブでグラーシュを頂いた。それからウィーンに移動してきてお店を覗くとやっぱりグラーシュがある。それにドイツで散々見てきたシュニッツェルも余裕である。

しかしボクたちはただグラーシュを消費するだけの観光客であることを拒否した。泊まっているアパートにキッチンがついているのだから、グラーシュ作っちゃおうじゃないか、と。

そうと決まれば早速スーパーに買い出しに行き、クックパッドなんて見ないで店員さんにおすすめを聞くのが海外流だ。(正確にいえば、海外流といえばなんでも許されると思っている海外かぶれ流だ。)

すると店員さんはスロバキア人で、言われてみればウィーンの次に向かうブラチスラヴァはウィーンから電車で1時間ほどの距離で、オーストリア人じゃないんだ感をグッと抑えて聞いた。「ウチはスロバキア流で、牛と豚どっちも煮込んじゃうね」と優しく教えてくれたが、そんなに食べれないので牛肉をお買い上げして、それから諸々の材料とワインを買って宿に戻る。

ふつうはホステルなんかの食事は、せいぜいパスタを茹でるのが関の山で、大抵はレンジミールなんかをチンして食べている。でも、ボクたちは煮込んだ。多分2時間ぐらい煮込んだ。こんな煮込んだのボクたちが初めてなんじゃないかというぐらい。グラーシュの缶詰があるのに、敢えてそれを使わずに煮込んだ。

買ってきたワインをアペテリフとかなんとか言いながら、生ハムとかモッツァレラチーズとかルッコラとかをつまみながら飲んだ。酔いが回るぐらいまで飲んでから、グラーシュをいただいた。いや、まぁドイツにもあるし、なんならドイツというか、日本の実家でも作ってたんだけど。

ファミリーが来たとき、ベルギーでチョコレートを買いたいというメルヘン全開な母の要望で、ベルギーを見て回ったのだけど、行く先々の店で「これ吉祥寺にもある」というものだから、毎度爆笑してしまった。

世の中に吉祥寺にないものはない。もしないのだとしたら、多分神楽坂か四谷にあるのだろう。グラーシュも多分吉祥寺で食べられるのだろう。もしかしたら、青山三丁目の方があるのかもしれない。

そして、お腹も膨れたので寝るんだけど、ミュンヘンではシングル2台だった部屋が、プラハではシングルを2つ連結したダブル状態になってて、ウィーではついに分割できない状況になっていた。これは明日はクイーンだな、そう言って男2人で日に日に距離が接近していく、変な状況に苦笑いしながら寝た。

翌日、ブラチスラヴァの宿。クイーンでした。



限りなくダブルに近いツインベッドで今日も寝る。明日の宿はきっとクイーン。
ウィーン

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