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16.04.2023「スモールスカッド主義」

VISION:「Family」

前回はMISSIONについて書きましたが、今回はMISSIONを達成するための組織のありたい姿、VISIONについて書いていきたいと思います。

VISIONは見出しからもわかるように「family」に設定しました。これは家族は必ずしもいいものとは限らないという現代の感覚に照らし合わせれば、望ましいものではないのかも知れません。

故に、「together」という案も考えましたが、日常語として日本人に「family」ほど馴染んでいないという点で却下しました。

私は「家族」というもの自体が素晴らしいものだと言い切るつもりもありません。どのようなコミュニティ、人々のグループにも利点と欠点があります。「family」だからと言って、チームのメンバー全員と仲良くする必要もありませんし、無償の労働を強いられるべきではありません。

それでもなお、私は「family」というVISIONに一定の利得があると考えています。それは前回も書いたように、育成カテゴリーとして目指していくべきものかどうかという基準で判断されるべきであり、その基準に一致するからです。

ひとつは「失敗してもいい環境」を作るという点です。もちろん、世間には失敗を暖かく見守ってくれる家族ばかりではないというのは承知の上ですが、失敗すること自体を好意的に受け入れて、挑戦を後押ししようとしているというメッセージになるのではないでしょうか。

もうひとつは、スモールスカッド主義でチームを運営していくという意思表示のためです。チームの運用の評価軸はいくつかありますが、特に大きな部分を占めるのはスカッドサイズとスタメンの固定具合です。

スカッドサイズというのは、純粋にチームのメンバーの人数です。例えば週1回のリーグ戦があるチームでスタメンで出場できる選手は11人ですから、それに交代で出場する可能性のある選手を含めた18-24人程度のスカッドが適性サイズと考えることができるでしょう。

それ以上のスカッドサイズになった場合によく起きる現象として、チームの中がさらに2チームに分かれてしまうという現象です。要するに、試合に出場するスタメンチームとサブメンバーのチームに分裂してしまい、同じカテゴリーのチームであるはずなのに全く違うコンセプトのサッカーを展開している場合がしばしあります。

これは望ましい状態ではないと私は考えます。チーム内にモチベーションの差があることは決していいことではありません。稀にサブチームがモチベーション高く、次の対戦相手役として紅白戦への貢献をするということがありますが、そのようなマネジメントは少なくとも育成カテゴリーで望ましいものとは言えないでしょう。

もうひとつ私がスモールスカッド主義と呼んでいるのは、主力メンバーを固定しないという運用方針です。主力メンバーを固定し、そのメンバーとのコミュニケーションを深めることで、チームのマネジメントを図る方法もありますが、固定メンバーで勝てないときに挽回しずらいというデメリットがあります。

そして何より育成カテゴリーでは、優秀な選手は上のカテゴリーに引き抜かれるのが常ですし、成長著しい選手を積極的に起用していく必要があるでしょう。故に、私は「調子のいい選手から順番に起用する」というポリシーで一貫して起用しています。

仮に、チームの内で調子のいい選手を上から11人選んだ時にポジションの重複があっても、その11人を基本的には起用します。(ゴールキーパーだけは重複があっても二人だしてあげることができないのですが)

ポジションの重複が起きた場合には、フォーメーションの変更で調整が効く場合は、フォーメーションをいじります。育成カテゴリーは少なくとも4つ以上のフォーメーションを経験すべきだからです。フォーメーションの変更だけで調整が効かない場合は、調子がいい選手から順に、他のポジションにコンバートします。多くの場合調子のいい選手はプレーに余裕があるので、他のポジションに挑戦するためのゆとりを持っているからです。

最後に、「family」というVISIONをチームに手っ取り早く浸透させる方法を書いておきます。それは円陣の際の掛け声を、「family」にすることです。毎回の練習ごとに発声させることほど、意識に染み付けるために効果的な手段はないでしょう。

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