[完全版レビュー] 大分マリーンパレス水族館 うみたまご (2023/2/16訪問)
はじめに
九州水族館巡り 2館目です。
基本情報
営業時間・・9:00〜17:00
入館料・・・大人1人2600円
アクセス・・バス停「高崎山」から徒歩2分
公式HP→ https://www.umitamago.jp
行く前は入館料ちょっと高いなーと思っていましたが、行ってみると分かります。課金システムがほとんどないのです。追加料金を払うことなく目の前に生き物がやってきたり、触れたりします。控えめに言って神です。注意点として、動物に直接触れるイベントがあるので、袖がまくれる格好で行くと良いと思います。
全部コミコミでの入館料と考えれば、さほど高くないような気がします。
このレビューでは順路通り、屋内→屋外の順番で書いていますが、実際に行く時はショーなどのイベントに合わせて動くことになると思いますので、開館時にスケジュールを確認して計画的に見ることをオススメします。筆者も何度かイベントで屋内と屋外を行き来しているので、時系列がズレる所もありますが、ご容赦ください。
また、全部読むのは長いよ〜という方は、大水槽のレビューだけでも読んで頂きたく思います。③と⑤〜⑦が該当部分になります。
では、早速展示を見ていきましょう。
まずは屋内の順路から。
屋内編
①エントランス
館内に入ると、ザトウクジラの巨大な模型たちが出迎えてくれます。
見た感じ、順路はエリア毎にテーマがある感じで、全体的な流れみたいなものはあまりないのかなーと。
②ふるさとの水辺
地域の淡水展示ですね。きちんと上流→中流→下流の順番に沿っています。源流から河口へと、水の流れを追いかけるような順番で展示されるのは割とテンプレです。このように水の流れを追いかけるような順路構成は、国内の多くの水族館で見られます。河川の源流に近い部分は、導入には最適な展示といえるでしょう。
下り坂の横に4つの水槽が並んでいます。こちらは大分の近海を地形で4つに分類し、それぞれの浅い海域を再現した水槽になります。地域の特徴を表す展示は、地理の勉強になりますね。
③マーメイドホール
下り坂を降りると一気に暗くなり、海の世界にやってきます。ここでは大水槽の上部を眺める空間があります。前回のかごしま水族館では大きな一面がメインとなる大水槽がありましたが、比較的新しめの水族館では様々な切り口から見れるタイプの大水槽が多いですね。
水槽内にはかなり大きいホシエイやマダラトビエイ、ツマグロ(サメ)などが泳いでいました。中々に魚の密度が高く、見応えがあります。
余談ですが、個人的には「密度」は水槽を評価する上での基準の1つだと思っています。飼育環境の良い水族館ほど、魚の密度が高い気がしますね。代表例は三重県の鳥羽水族館と山形県の加茂水族館です。この2館は密度が別格なのでとてもオススメです。では、本題に戻ります(笑)
このあと少し先に進みましたが、9:30から「おさかな解説」というイベントがあったので引き返して見に来ました。エサやりがメインのイベントのようです。
海藻を食べる魚にはレタスを与えているそう。新鮮な海藻をまとめて用意するのは大変だというのが主な理由らしいです。
続いてエイにエサをあげていきましょうとのこと。
巨大なホシエイたちがこちらを向いて集まってきました!!!!!!!
よく見るとエサのあげ方に工夫があり、水槽のガラス面ギリギリの場所にエサを吊るす形でエイをおびき寄せていました。こうすることでエイは顔のある裏側を見せながら手前のガラス面に寄ってきてくれます。素晴らしすぎる、、超巨大サイズのホシエイ2匹がエサを求めて体をぶつけ合う様は迫力満点でした。全部で4匹のホシエイが一枚の写真に収まるなんて奇跡に近い事象ですが、それを意図的に魅せてくれる技に感動しました。
このイベント、平日は9:30〜の1回のみですが、土日祝は更に15:40〜の回が加わります。早起きを頑張ってでも絶対に見るべきイベントの1つだと思います。
では興奮冷めやらぬうちに、次へ進んでいきましょう。
④多様な生態
マーメイドホールを抜けると、小水槽が並べられたコーナーがあります。ここでは生き物が体の形や動きの特徴ごとに分けられています。1つ1つの水槽には解説が付いており、なぜそのような特徴を持つのかが詳しく説明されています。
こういうコーナーは近くで1つ1つ見るので、アップで撮った写真が多くなりますね。筆者は撮影に関してはドが付くほどの素人なので、おいおいカメラも勉強していきたいと思っています。
余談ですが、撮影をする前に肉眼でしっかり観察することはとても大事だと思っています。レンズを通すと3次元の世界が2次元になるので、たとえ動画だとしてもその再現性には限界があります。撮影に夢中になる前に、自分の目で、空間ごと鑑賞するという姿勢は忘れないようにして行きたいと思います。
さらに余談ですが、昔の水族館は「生き物を見せる」ことを中心に考えられて設計・展示が行われていたように感じます。しかし時代が進むにつれて「空間ごと魅せる」ということを考えた水族館が増えています。ですから、ある程度じっくり水族館を見る人には、マクロな視点で空間を捉える瞬間と、ミクロな視点で生き物を見る瞬間の2つが存在するはずです。満遍なく楽しむためには、どちらか片方だけに寄りすぎないことが大事なのかな、と思います。
以上、視点の話でした。次へ進みます。
角を曲がると、3つの水槽があります。ここでは大分で食べられている魚達が展示されています。
こうした食との関わりを表現した展示は、社会教育施設としての水族館のあり方を体現しているといえるでしょう。水族館によってあったりなかったりしますが、食文化という観点から生きている魚を見るのも、1つの視点としてあるということですね。宣伝効果もあって一石二鳥だと思います(笑)
⑤アートコーナー
階段を降りて次のエリアに進むと、深い青を基調とした、幻想的な空間が広がっています。
表示パネルや解説ボードの光が明るすぎるのが、この水族館で唯一改善して欲しいなーと思ったところです。。これまでの写真を振り返っても、パネルに何が書いてあるか分かりにくいものが多いですし、実際に近くで見ると結構眩しいです。
それでは、1つ1つ展示を見ていきましょう。
イワシの群泳、綺麗ですね。
おや、よく見ると魚の下側が明るくなっています。これ、よく見ると水槽の下側の見えないところに白い照明が付いているんです。
では、その理由を考えてみましょう。イワシは外敵から見つかりにくいように、背中側が黒く、腹側が白くなっています。光は上から差し込んできますから、上から見ると暗い水底と同化し、逆に下から見ると陽の当たる水面と同化するようになっています。このため、下から光を当てると腹側の白い部分が強調され、より綺麗に見えるというわけです。
ちなみに、タチウオの水槽にも同じカラクリが仕組まれていました。タチウオは頭のある上から下に向かって体が細くなるからでしょうか。
なんとなく綺麗だなーと堪能した後は、見せる側の視点を考えてみるのも一興ですね。
七色に変わる照明が綺麗でした。クラゲについては前回のレビューでもお話ししたので、今回は割愛させていただきます。
クラゲコーナーの角を曲がると、更に3つの水槽があります。
まず「流れ星」では、イトヒキアジという魚が展示されています。この水槽、肉眼で見ると本当に綺麗です。
青と白の照明が使われているのですが、光を真上から垂直に当てることで、水底に魚の影ができるようになっています。またイトヒキアジは体の上下から糸のようなヒレが細長く伸びており、泳ぐ時にゆらゆらと靡きます。この両要素が合わさることで、とても幻想的な景観が出来上がります。
綺麗な青い水槽内をイトヒキアジがゆったり泳ぐ一方で、白く照らされた水底には細く伸びた影がゆらめいている。展示が動いているからこそ、静止画では実現不可能な美しい演出となっています。
「華」は橙色のイソギンチャクが花畑のように並べることで、「優雅」は特殊なヒレの形を持つミノカサゴ・ハナミノカサゴに紫や黄色などの照明を当てることで、それぞれ幻想的な雰囲気を醸し出しています。流石「アート」ギャラリーと言うだけあります。
それでは、次へ進んでいきたいと思います。
おや、、?大水槽と繋がっているはずなのに、水面の高さが奥と違いますね。しかしどうなっているのか検討が付きません、、後でじっくり考えることにして、次へ進みます。(この後考えましたが、結局よく分かりませんでした。次回来た時に見破りたいです)
さて、大水槽に戻ってきました。この水槽はパッと見、目の前に岩場がドーンあって奥行きのない水槽に見えてしまいます。少し味気ないなと思って、目線を落として見てみました。
なんということでしょう。一気に奥行き感が出ました。大水槽の高さが生かされていますね。写真は広角にして撮影しているので、実際のところはもう少し明るくなっています。
⑥うみたまホール
さらに進むと、短いトンネル水槽があります。
思わず見入ってしまいました。これほど水面までの距離があるトンネル水槽は初めて見ました。魚やエイが頭上を通過する度に影が生まれ、青やエメラルドの照明が見え隠れする様は息をのむような美しさでした。ホシエイのサイズが巨大なのも良い味を出しています。
そういえば、序盤の「おさかな解説」の中で、この水槽は中央の岩山を回るように水流を作り出し、魚達が回遊するように工夫しているとありました。なるほど、水流と垂直に進むようにトンネルが設計されており、常に頭上を横切るような形で魚達が通過していくわけです。美しいコンボが決まっていますね。
このトンネルから、先程疑問に思っていた岩陰の部分が見えますね。多分ここから答えが分かるはずなのですが、、よく分からなかったので次来た時に持ち越します。トンネルを抜けましょう。
トンネル水槽ばっかり撮影してたらここの写真がほとんどなく、画質が荒いものしかありませんでした。テキトーで申し訳ないです。ピンクと紫の照明が壁の穴から見えますね。これまではどの切り口からも岩場が見えていましたが、 ここでは見えなくなっています。
うみたまホールを含む大水槽周辺は、壁面が打ちっぱなしのコンクリートで覆われており、とてもモダンな印象になっています。他の水族館では、壁の色に黒や濃い青が採用されているケースが多いですが、コンクリートの鼠色も良いですね。黒や青よりも空間の雰囲気が明るく見えます。
うみたまホールは結構広いですが、窓は1つしかないので、どちらかというと展示を見るよりも映える写真を撮るスポットだと思いました。それでは、出口へ向かいましょう。こちらもトンネル水槽となっています。
なんと、トンネルの形が入口と違います。水槽の形が変われば光の屈折率も変わるので、入口とはまた違った雰囲気になっています。上の写真は一切加工していないので、実際の色彩とさほど変わらないかと思います。
ちなみに、筆者のレビューでは9割方スマホ撮影・無加工です。機材や技術が無いというのも実情ですが、やはりなるべく肉眼で見たものと同じ姿を伝えたい、という思いもあります。多少レタッチするものもありますが、明るさと輪郭を見やすく調節する程度のものに留めています。
⑦実験ホール
水槽の近くには立ち入り禁止となっており、初見では一体何の展示なのか皆目見当もつきません。ボードを見ても何が何だか全く分からず。11:30からの「おさかなプロダクション」でしか分からないだろう、と思ってイベントを見てみました。
どうやら1つ1つの水槽にいる魚達がそれぞれ技を披露してくれるようです。ショーは知能が高いとされている哺乳類で行われることが主ですが、このように魚類の能力を見せてくれるのはとても新鮮ですね。他にもイシガキダイの輪ぐぐりや、デンキウナギの放電がありました。
また、ここには「学名」について簡単に解説するコーナーがありました。Wikipediaとかで調べるとかなり長々と書いてあって読む気が失せますが、こちらでは簡潔に要点がまとまっていてとても分かりやすかったです。
生き物紹介ボードに学名が書かれている水族館は結構ありますね。英名は無いのに学名は書いてある、なんてことも。。また、アフリカや東南アジアの魚については、学名をそのまま読み上げたものが和名になっているケースが多いです。
それでは、次に進みましょう。実験ホールで振り返ると。高さ8mの巨大なアクリルガラスで切り取られた大水槽があります。
この大水槽は総水量1250tで、90種1500匹の魚が展示されているそうです。中央に大きな岩山がそびえ立っているので、同じくらいの水量の水槽と比べると、かなり大きく感じます。
そういえば、入口のウェルカムホールではここを上から見ていましたね。ここまで来ると入口が懐かしくなります。
さて、ここで勘の鋭い人はうみたまホールの構造に気がつくはずです。よく見ると写真の左手中央付近に窓がありますね。先程のうみたまホールは中央の巨大な岩山の中にあったのです。もっと鋭い人は最初のトンネル水槽で気付くかもしれませんが、ただオブジェクトを設置するのではなく、可能な限り視点を増やして多角的な視点から水槽を見れるようにしているのが伝わってきます。視点ごとに水槽の形、背景、角度が全く異なっているので、流れは一貫しつつも新鮮さが失われないのです。1つの水槽の切り分け方を評価するならば、この水槽は今まで見てきた中でダントツ1位ですね。
ちなみに、公式HPにもこの水槽の工夫がまとめてありますので、ぜひ読んでみてください。
最後におまけで、実験ホールを出たところに半球状の覗き窓があります。このタイプの水槽は、なるべくアクリルガラスに顔を近付けて見るのがオススメです。光の屈折の関係で、球の中心くらいの位置から更に前に出ると全然見え方が違います。
本当に至れり尽くせりの大水槽でしたね。
⑧カラータンク〜色で見る熱帯魚〜
実験ホールを出て少し進むと、開けた空間があります。その中央には、柱状の水槽が並んでいます。
⑨イルカの仲間たち
カラータンクを通過すると、イルカプールが見えます。
事前情報をなるべく見ないようにしていたこともあって、忘れていました。そういえばここにはハセイルカが展示されているんだった。
日本の水族館ではここでしか見られない超レアな種類のイルカです。近海で漁網にかかり、衰弱していたところを保護して展示するまでに至ったそう。
しかし、その道のりは非常に険しく、水槽の横で展示に至るまでの過程がムービーとなって流れていました。
衰弱して泳ぎもままならない状態から、必死にケアを続けて回復に至ったそう。飼育員さん一人一人の、生き物への愛が伝わってきてとても感動的でした。
⑩サンゴ大水槽
イルカプールの横には、サンゴ礁水槽があります。深い青色の照明が印象的ですね。
ここでは照明の雰囲気から、本物のサンゴが展示されているのでは?と思いました。この水槽も十分綺麗なのですが、サンゴは暖色や緑色のものが多いため、もっと薄い色の照明の方がより綺麗に見えるんですよね。しかしあえてこの色の照明になっているということは、、という考察の流れです。
光や水温、水流などの条件を満たさなければならないため、生きているサンゴの展示は難しく、水族館ではレプリカが展示されているケースが多いんですよね。ところが最近では技術の進歩により生きているサンゴを展示している水族館が増えてきているようです。ちなみに、この水槽では「ベルリン方式」という濾過方式を用いて展示を可能にしているそう。
予想通り、展示されているサンゴの種類が書いてありました。レプリカを展示していたら種類名は書けないですからね(笑)
余談ですが、薄い色の照明で本物のサンゴを展示している水族館もあります。筆者が訪れた限りでは、沖縄の美ら海水族館と和歌山の串本海中公園ですね。特に串本海中公園のサンゴ礁水槽は水槽の構造や配置が上手く、とても美しいのでオススメです。
では、次に進みましょう。
⑪ジャングルタンク
サンゴ大水槽の横には、熱帯の淡水魚展示があります。
三面鏡のような形になっており、左にピラニア、中央にピラルク等の大型魚類、右にアロワナ等の小型魚類が展示されています。(右は撮り忘れました)
ピラルクはいつ見ても迫力があって良いですね。水位が低いので、しゃがんだりするなど目線を落として見ることをオススメします。
ここで、水槽の水位の話について少し。河川の両側には陸地があるため、淡水水槽では周りの陸地環境まで含めて再現されているケースが非常に多いです。 そのため、アクリルガラスの高さよりも水位が低くなっている水槽が多くなっています。これは熱帯魚展示に限らず、日本の河川を再現した展示でも同じことが言えますね。
一方で海水水槽に関しては、岸から離れた外洋に行けば行くほど周りに海しかなくなるので、水槽上部まで水で満たされた水槽が多くなっていきます。沿岸部では一緒に陸地環境が再現されている水槽も多いですが、ここは水族館によって違うポイントですね。水位の高さにも注目して見てみると面白いと思います。
余談ですが、日本の水族館における淡水魚展示って国内河川と国外熱帯魚で二分されているなぁと書いてて気付きました。淡水水槽専門の川崎水族館やアクア・トトぎふは例外になってくる気はしますが、どちらも3月中に訪問予定なのでまたその時に。
それでは、次に進みましょう。ここからはアシカやアザラシなど、鰭脚類(ひれあしるい)を中心とするコーナーになります。
⑫トド・セイウチ
まずは飛び抜けて大きいセイウチとトドが展示されています。
屋外ショーの時間はそちらへ駆り出されるので、水槽はすっからかんになってしまいます。 そこで提案したいのが、順路を2〜3周してみることです。1度順路を回ったら出てしまうのではなく、もう一度入口に戻って館内を順路通りに巡ってみると、光の角度が変わって水槽の見え方が変わったり、さっきは見えなかった生き物がいたりと、様々な変化があります。これも、生き物を展示している水族館ならではの楽しみ方だと思います。
⑬アゴヒゲアザラシ・ハイイロアザラシ
トド・セイウチの次はアザラシがいます。全部で3種類ですが、まずは2種類見ていきましょう。
アゴヒゲアザラシは結構珍しいですね。体がずんぐりしてる割に小顔でした。水槽の水位がかなり低く、撮影が難しかったです。
ハイイロアザラシは八景島と鳥羽にたくさんいる水槽があった気がします。全国的に昔よりだいぶ個体数が増えた印象です。
うみたまごでは2種類が別々の水槽で展示されていますが、千葉の鴨川シーワールドでは同じ水槽で展示されていたかと思います。鰭脚類の飼育種類数においては、2館は全国トップクラスを誇ります。
⑭ゴマフアザラシ・モモイロペリカン
定番のゴマフアザラシ。ここのゴマフアザラシは水槽に近づくと向こうから寄って来てくれます。手を出して動かしたら首を動かしてついてきてくれました。まじで可愛かったです。比較的サイズが小さかったので、子供のアザラシだったのかもしれません。
ペリカンを屋内展示しているのは珍しいなと思いました。現在日本の水族館では鳥インフルエンザで屋外のペンギンやペリカンが軒並み展示中止してたりするので、普通に見れるというのは意外とレアなのかもですね。
⑮深い海のいきものたち
カニの水槽は割と明るいところにあって反射していたので、スマホをアクリルガラスにくっつけて広角にして撮影しました。この撮影方法に関しては前回詳しく解説していますので、そちらをご覧下さい。
深海展示にしては割とオープンな空間にあり、テーマ別に3つの水槽が並んでいました。定番の生き物たちを中心とするミニマムな展示、というイメージでした。
深海展示の横にあるエスカレーターを登ると、ちょうどエントランスに戻ってきます。これで、屋内の順路は一通り回ったことになります。ここからは、屋外展示を見ていきましょう。
屋外編
①パフォーマンスエリア
エントランスホール横のドアを出ると、イルカ以外の海獣たちがショーを行うエリアがあります。休日はパフォーマンス、平日はお稽古タイムという形でイベントが行われています。
この2枚は午前中のお稽古タイムで撮影した数少ない写真です。この日は3回あったので、1回目は肉眼で楽しもうと思ってほとんど撮影しませんでした。ショースペースに対して観覧席数が少なく、座れれば生き物をかなり近くで見ることができます。特にミナミアメリカオットセイは全部の通路を通ってくれたので、間近で見られて感激でした。
ショーが終わると、最後にパフォーマンスをしたセイウチとの触れ合いイベントがありました。
一頭につき一人の飼育員さんがついていて、体だけでなくヒゲに触れたり、パフォーマンス中にやった技を再現してもらったり何でもサービスしてくれます。前のお客さんが手を咥えて吸引してもらっていたので、筆者も指1本だけ吸引してもらいました。口の中には歯はなく、結構ザラザラしていました。
こんなに生き物と近い距離で触れ合ったのは初めてで、めちゃくちゃ楽しかったです。しかも無課金。 「動物となかよくなる水族館」というコンセプト通りだなと思いました。
2回目では、オットセイの代わりにトドがいきなり出てきました。水中でも凄まじい迫力でしたが、地上で見ると更に大きく感じます。この後はカワウソとセイウチが連投されており、1回目と同様、愛嬌に溢れていました。
平日はお稽古タイムということで。難しい技にもチャレンジしてみたり、それで上手くいかない時は指示の出し方を変えたりしています。そのため、2回目でも全体的に新鮮味があって面白かったです。
3回目は後述のあそビーチで遊んでいるうちに見逃してしまいました。こちらも残念。時間の許す限り、イベントにはなるべく行った方が良いとは思います。
②コツメカワウソ
パフォーマンスエリアの裏へ回ると、コツメカワウソの展示スペースがあります。
いました!ショーやお稽古の時間以外はお昼寝していることが多いそうです。超絶可愛いですね。
ところでこの写真、かなり明るいところで撮影を行っております。本来ならば反射しまくりで撮影は困難を極めるのですが、今回のように被写体が小さくギリギリまでレンズを近づけても画面に入る時は、ある工夫をすると上手く撮れます。
その工夫がこちら。以下の写真をご覧下さい。
ガラス面のギリギリで撮影するところは前回紹介した撮影方法と同じですが、さらにレンズ周りを上着などで覆ってみましょう。どうしても斜めの画角で撮影したい時や、レンズを近付けるだけでは反射が消えない時には、こうした方法でレンズ周りの光をカットすることが大事になってきます。
可愛いカワウソの写真も撮れたところで、次に進んでいきましょう。
③タッチプール、別府湾プール、タイドプールの生き物たち
カワウソエリアを更に先へ進むと、右手にアルマジロがいるコーナーが見えてきます。水族館ではたまに陸生哺乳類を見かけますが、アルマジロは珍しいですね。大体カピバラのイメージです。
開放感があって良いですね。タイドプールは環境再現のために岩場を設置するため、スペースを確保しやすい屋外に作るのがベターなのではないかと思いました。
順路沿いに歩いていくと、左手からは別府湾を一望できます。この日は快晴だったので、とても綺麗に見えました。そして右手にはイルカプールが見えます。次は、イルカショーの時間です。
④イルカプール
いよいよ大詰めになってきました。先程見たイルカプールはショープールも兼ねており、1日2回ショーが行われます。うみたまごではイベントスケジュールに時間重複がないので、迷うことなく行きたいイベントに行くことが出来ます。
また、屋外へ出る通路も複数確保されており、基本的には屋内のどの展示を見ていてもイベントの時間になったらすぐ外に出られるようになっています。
そういった意味で、スケジュールを組み慣れていない初心者の方でも混乱することなく楽しめるというのはとても良いところだと思います。
では、イルカショーを見ていきましょう。
筆者はイルカショーは2回見ました。基本的にどのイベントも2回以上見るようにしています。1回目は肉眼で鑑賞して2回目は撮影に特化したり、場所を変えて違う視点から見てみたりします。1日1回しかやっていないイベントは、鑑賞と撮影の切り替えが難しいですね。
ショーが始まると座席は水飛沫が結構かかるとのことなので、万が一の時に回避できる通路へと移動しました。
ハセイルカはジャンプする時に尾ビレをバタバタさせるのが印象的でしたね。キラキラした水飛沫が舞ってとても綺麗でした。
ハセイルカの名前は「ハルカ」と「カナタ」。バンドウイルカの名前は「ララ」と言います。水族館によってはイルカの名前だけ紹介されるものの、見分け方が分からずどれが誰だか分からないということがありますが、珍しいイルカがいると見分けがつきやすいです。
1回目は下から見たのですが、午前だったので逆光でイルカの姿は見づらかった反面、水飛沫が綺麗に見えました。次は上から見てみましょう。
日本の水族館はスタジアム形式のショープールが圧倒的に多いですが、360°どこからでも見られるという形式がまず珍しく、さらに立見席ということもあり、ジャンプしてきたイルカを目前で見れます。近くでジャンプした時には、視界いっぱいにイルカと水飛沫が広がります。めちゃくちゃ感動しました。高い目線から、間近でジャンプするイルカを見れるのは、ここでしかできない体験だと思います。
どんな方にも、1度は絶対に上の席から見て欲しいです。そしてカメラは構えずに、間近でジャンプするイルカを眺めて見て欲しいと思います。繰り返しになりますが、やはりレンズを通して見る「画面」と、肉眼で捉える「空間」は全く別物です。これは水族館巡り全体を通して言えることですが、まずは自分の目で見て、写真や動画では伝わらない雰囲気を、ぜひ味わって欲しいと思います。
ここでしか見られないハセイルカと、唯一無二の視点を提供してくれる観客席が組み合わさって、最高のイルカショーでした。
次が最後の屋外エリアです。と、そこへ向かう道中にウミガメの水槽がありました。屋内の順路通りに回っていると通らない所にあるので、見逃し厳禁です。
⑤ウミガメ
大水槽内を泳いでいるウミガメに関しては違いますが、ウミガメ単体の展示は周辺の陸地環境とセットになっている場合が殆どです。産卵を浜辺で行うことが主な理由と考えられます。
陸地環境も含めて再現されているということは水位が低いということなので、目線を落として見るのがオススメです。
⑥あそびーち
いよいよ最後のエリアです。屋内を通って、まずはイルカプールの水中観覧窓まで戻りましょう。
この日はずっと水中観覧窓の前で記録を取っている方がいて、お話を聞いてみるとイルカを専門に研究されている方でした。とても勉強になりました。
サンゴ大水槽のある順路とは反対方向に進むと、「あそびーち」への入口があります。屋外の開放的な空間に、イルカ、オットセイ、ペンギンがいます。
そう、ハナゴンドウとマダライルカです!どちらも水族館では中々出会えないレアな種類のクジラ・イルカなので、ここで会えるとは思ってもいませんでした。事前に下調べせずに来て大正解!
筆者は水族館の中でもイルカ・クジラが一番好きなので、しばらくイルカプールを眺めていました。
すると飼育員さんがやってきて、奥の方にあるエリアからオットセイを連れてきてくれました!
こちらのオットセイはミナミアメリカオットセイという種類だそうで、1回目のお稽古タイムで出てきたものと同じ種類になります。先程登場したのは大人のオスでしたが、こちらでは大人のメスと子供のオットセイが見られます。
超至近距離で見たり触ったりできるだけでなく、飼育員さんの指示でお客さんに抱きついていたりもしました。本当に可愛い。動物愛が深まります。やはり水槽やケージ、アクリルガラスを通して見るのと、直接触れ合うのとでは全く違いますね。これは間違いなく、この水族館で最も印象に残るポイントでした。
ペンギンは残念ながら展示されていませんでした。そういえばここまでペンギン一度も見ませんでしたが、ちゃんといるにはいるんですね。
そしてイルカプールの横には、ちょこんとした小屋が。どうやらナマケモノがいるらしい。
ナマケモノ、本当に動作が遅い。エサも飼育員さんが一口ごとに食べさせていて、ほんまにニートやん、、と思いました。鉤爪の形が木にぶら下がれるようフック状になっているのも特徴ですね。想像よりも体は小さく、フサフサしていて愛くるしい顔をしています。
これで、屋外エリアも一通り終了となります。最後にハナゴンドウが飼育員さんと遊んでいるところを眺めて、あそびーちを後にしました。
筆者は元々コビレゴンドウが一押しだったのですが、和歌山の太地町立くじらの博物館に行ったらハナゴンドウも推しになりました。行くまでが非常に大変ですが、イルカ・クジラの種類数も個体数も国内でぶっちぎりなので超オススメです。
この後は順路をざっくりもう1周して、こんな展示があったなぁと思い返したり、この展示はずっと見ていられるなぁと立ち止まって時間を潰したりしていました。開館の9時に合わせて入館したのですが、水族館を出る頃には16時半を過ぎており、あっという間に7時間半が経過していました。
お土産にオリジナルのクリアファイルとマグカップを購入して、次の目的地である海響館に向かいます。筆者はクリアファイルを集めているので、いつかコレクションを公開したいと思います。
以上が、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」のレビューになります。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます☺️
うみたまご、これまで行った水族館の中でもトップレベルで楽しかった。本当に「楽しかった」という感想に尽きます。
大水槽の切り口、珍しいイルカたちとの邂逅、生き物の特徴を活かしたアートコーナーの美しい展示、動物と直接触れ合える感動。最初から最後まで、素晴らしい展示やイベントが詰まっていたと思います。
さらに
およそ15000字のとてつもなく長いレビューとなってしまいましたが、それくらい書きたいことが沢山ある素晴らしい水族館でした。今後ここまで文字数が増えることは中々ないと思います(笑)
感想や意見、その他コメント等ありましたら、書き込んでいただけると励みになります。よろしくお願いします!
次回は山口県にある「市立しものせき水族館 海響館」のレビューを投稿予定です!では!
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