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法華経 研究 歴史的解読書の紹介


 こんにちは、いつもは遭遇した花や美しい自然の風景を主に載せてますが今日は普段とは違って学術書の紹介をしてみたいと思います。

 仏教の経典で経王とよばれている最高の経典それが法華経です。

それは全ての人が成仏できる道を説いているからと言われています。

 仏教はインドに誕生した釈迦牟尼世尊が説いたものでその言葉は主にサンスクリット語で伝わってきました。

 日本に伝来した仏教は中国で漢字に翻訳されたものが伝わり日本人はその漢訳を経典として重んじてきました。

 経典は読誦するもののその意味はほとんど知られなかったと言って良いでしょう。


 2018年4月にNHKのEテレ「100分で名著」で「法華経」が放送されました。 人気が高く2019年11月に再放送となりました。

 放送の解説者として登場したのが植木雅俊博士です。

大変分かりやすく、好評でした。

 植木博士は法華経のサンスクリット語原典から日本語に現代語訳されました。

それが岩波書店から出版された「梵漢和対象・現代語訳 法華経」上下巻です。


 その本のカバーに「深い仏教理解に基づいて詳細な注釈を付した画期的な達成である。8年かがりの一点一画をも疎かにしない原点に忠実な訳業により、曖昧さを残さない読みやすいこなれた現代語訳がここに完成した」と記載されてます。

 著者はサンスクリット語を翻訳するにあたり、すべての単語の文法的意味を明確にして、それを翻訳ノートとして記録しながら翻訳されました。

 もちろん鳩摩羅什訳と対比し、支謙訳、玄奘訳、チベット語訳等も分析しながら膨大な作業をこなされています。

その貴重な翻訳ノートが今回『梵文「法華経」翻訳語彙典』として法蔵館から出版されます。上巻が1382頁、下巻が1456頁。


この本の出版予定日は2020年8月7日です。

貴重な付属資料が付いているのも特徴の一つ。

それが 「仏教混淆梵語の格語尾早見表」

「サンスクリット語の名詞・形容詞は、男性名詞・女性名詞・中性名詞の三つの「性」、単数・両数・複数の三つの「数」、主格・対格(目的格)・属格(所有角)などの八つの「格」で語尾が異なる。散文の長行ではきれいな正規のサンスクリット語が用いられているが、韻文の偈では正規のサンスクリット語文法とは破格の訛った格変化をする仏教混淆梵語(Buddhist Hybrid Sanskrit)が用いられていて、正規の文法では歯が立たない。この「仏教混淆梵語の格語尾早見表」は便利。

 サンスクリット語を学ぼうとする人には、これまで無かった早見表です。本の価格は学術書であるため高価ですが貴重な資料となるでしょう。

高価であるため部数も限定されるかもしれません。

参考のためにご紹介しておくと、先に出版された同じ語彙典である『梵文「維摩経」翻訳語彙典』を購入された図書館職員の方から「とても有意義で研究に資するものです」と書いた読者カードが届いたそうです。

法華経に関心を持つ方が多いため、世界中の研究者に注目されると思います。また学術者の方だけでなく多くの人から関心を持たれるでしょう。

最後に、法華経の書籍もご紹介しておきます。

サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳 (角川ソフィア文庫) (日本語) 文庫 – 2018/7/24   これが一番読み易くおすすめです。


<岩波書店から出版された「梵漢和対象・現代語訳 法華経」上下巻>


今回は以上です。

宜しくお願いします。




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