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【桜録(さくログ)】もしもしかめよ

こんにちは。おおかみの人です。

今回のトップ画像は、さくら先生からのひとことメッセージ。




今回の【さくログ】のテーマは…

もしもしかめよ】。後で意味がわかる…はず。


さくら先生の診察のたびに、先生にかけられる言葉で一喜一憂してしまうわたしは、相変わらず診察室の目の前の待合椅子に座りながらなんとか動悸を抑えるので必死だった。
先日も数週間ぶりの診察があり、今回はどんな言葉をかけられるのだろうか…と不安を胸に診察室に入る。

診察室に入ってしまうとなんてことはない。いつも通りのさくら先生が目の前にいて、いつも通りの質問をされる。

「ここ最近はどんな感じでしたか?」

実は、前回の診察のときに先生から宿題を出されていたのだった。
イライラした様子のわたしに対して、どうしてイライラしてしまっているのか、その原因となる気持ちについて考えよう、という宿題だったので、まずはそのことについて考えて出した答えから説明した。
自分が相手に気持ちや要望を伝えているのに、相手がそれに対して訳の分からない返事をしてきたりしてこちらの意志が通じない、日本語で喋っているのに日本語が通じないということに対してわたしはイライラしていたのだった。
それを伝えるとさくら先生はうんうんと頷いていた。

だが、前回の診察からはまた事情が変わってきているので、そのことも説明した。
そもそもこのイライラの原因はグループホームでの出来事がきっかけなのだが、その後他のスタッフや入居者と話をする中で、詳細は省くとしてこのグループホームの歪な運営体制が明らかになってきたのである。
運営体制に不信感しか持てなくなったし、日本語のコミュニケーションすらできない。わたしはひとりで平和に過ごすことが目的でこのグループホームに入居したのに、煩雑で意味の分からないやり取りのせいでどんどん入居の目的が見失われていく。こんなデメリットの多いところで過ごす意味はないと思うので、もうここのグループホームは退去しようと考えている、という話をした。
さくら先生に何を言われるかわからない中で自分の強い気持ちをなんとか伝えようとして、ついつい声が大きくなってしまっていた。

さくら先生はうーん、と一瞬考えた後、わたしにこう言った。

「もちろんおおかみさんが自分で決めたことにわたしがどうこう言うつもりはないんですけど、でも別に退去するところまではいかなくてもいいんじゃないかなと思うんですよね。グループホームにいていま何か差し迫った問題とかがあってどうしようもない!ってことなら退去してもいいかなと思うんですけど、そういう訳じゃないんでしょ?その訳の分からんコミュニケーションも自分で避けることができるみたいだし、なんとかなっている。
なんかおおかみさん、『わたしはもうこういう風に決めたんだー!』って感じでいつもの2倍くらいの声量で言ってますけど、そもそもおおかみさんがいま集中したいことって新しく始めた仕事のことですよね?どうしてグループホームのことにそんなに囚われてるの?仕事の方に集中して、住処のことはもっとのらりくらりとやってもいいんじゃないですか?のらりくらりって言うのは、すぐにそうやって決断を下さずに曖昧なまま過ごすって意味で言ってるんですけど、そもそもおおかみさんまだグループホームに入居してまだ日も浅い。3ヶ月も経ってないんですよ!まずは3ヶ月を目指しましょ。いまは実家で過ごしているけどそのうちまた実家が嫌になる瞬間が出てくる。だからグループホームもそんなときのために有効活用すればいいんです。実家は実家、グループホームはグループホームでいいとこ取りして使えばいいんですよ。のらりくらりです。
…何ていうか、おおかみさん。あなたは生き急ぎすぎです!!まだまだ人生半分以上残ってるんだからそんなに焦らなくていいんですよ!!こんなに長い人生なんだから、いま焦って何かしたところで変わらないです。おおかみさんは編み物をしますけど、焦って作品をたくさん作ったときよりゆっくり時間をかけて丁寧にひとつ作り上げた方が、いいものができるでしょ?だから焦る必要ないんですよ。
…おおかみさんって、少し足を伸ばせばちゃんとした硬い地面に触れるのに、自分の足元にある小さな水たまりで地団駄踏んでる感じがするんですよね。どうしてそこに留まってるの?って感じ。わたし常々言ってますけど、おおかみさんはちゃんと進んでるし、周りでいいこともたくさんたくさん起こってるんです。もっとそういうところに目を向けられたらいいなと思うんですけど…」


うっ。どこにも反論の余地がない。あんなに頑なにグループホームを出ていこうとしていた気持ちも、先生の話を聴くうちにしゅるしゅるとしぼんでいってしまった。

のらりくらりに、生き急ぎすぎ。

わたしは「うさぎとかめ」のうさぎみたいな感じなんだろうか。ぴょいぴょいと一足飛びに焦ってどんどんどこまでも行ってしまいたくなる。競争で一等賞を取ることに囚われすぎて、柔軟な判断ができなくなっている、というか…。
いま焦ったところで、ゴールは遠い遠い先にある。慌てて転んで怪我をしたほうが余程後に響くだろう。だから…
かめみたいに、ゆっくり歩くことも覚えなければ。というか、歩かねば。地団駄踏んでる場合じゃないし。前には進んでるみたいだし。
かめみたいに、周りの景色を楽しみながらゆっくりゆっくり道中を進んでいくのが「のらりくらり」なのかな?とも思う。何にせよ、とにかく焦り過ぎで飲み込まれ過ぎというところに大問題がありそうだ。

診察終わりに、見せていた日記を返してもらうと
ゆっくりゆっくり時間をかけて物事をとらえましょう
のメッセージが書かれていた。やっぱりわたしにはかめの要素が足りてない。

前回の診察では落ち込んで帰ってしまった分、今回の診察では肩の荷が下りた感じがして、診察室を出る前に先生の前で思いっきり大きなため息をついたら、「どうしてため息なんてつくんですか!ちゃんと進んでますって!」と改めてフォローを入れられた。
おかしいなあ。うまくいってるはずなのに、どうしてこんなに色んなところで躓いてしまうんだろう。そして躓いたところで地団駄を踏んでしまう。よくわからない、わたしの癖…。


なんだか自分がよくわからない、と思ったところで、今回はこれにて。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
わたしがいま大切にすべきは、前回の記事に書いたように仕事のこと。仕事中に考えたり感じたりしたことを記事にしたいなと思っています。

次回もお楽しみに。それでは。

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