近づいてはいけない恋−1ー


「姫さま!どこに行かれたのです!?」
 メイドの声が城の廊下に響き渡る。うちは、ダイニングのクロスのかかっているテーブルに隠れていた。

足音が近くなり、やがて遠くなる。

うちはほっとして、誰もいないダイニングの窓から庭の森へと忍び込んだ。

「やった!やったわ!!」

庭を囲っているレンガの抜け穴をくぐり抜け、海に出た。

 町はこの浜辺をずっと右に出ていけば辿り着ける。もちろん町に出るため、布を頭に蒔いて、サングラスをかけて変装はしている。

浜辺を走って通り抜けると、その町へとたどり着いた。

 たちならぶレンガでできた店と家。何度か見ていたので少しは見慣れていた。

「あら?姫さま?」

通行人のおばさんに気づかれてぎくりとする。

「いやだなあ。奥さん。わたくしはそんな立場の者ではございませんよーおほほほ」

と冷や汗をかいて、おばさんの横を通り過ぎると猛ダッシュした。

 ひときわ賑やかな広場にたどりつく。今日はイベントがあっているようで広場の中央に壇ができて、そこでは二人の男が歌を歌っていた。

マイク越しに聞こえてくるその歌声にうちは魅了される。

と、青い髪の男とふと目があった。
ニコリと笑みを返される。かっこよかった。あんなにかっこいい人がこの国にいたなんて。そう思ったうちは口元に笑みを浮かべた。

二人のライブが終わって、うちはそろそろ帰ろうと思った。
もしかしたら城の外までメイドなど世話人が探しに来てるかもしれないと思ったからだ。

みんなが拍手をするなか舞台に背を向けてうちは歩き出すと、『なあ!お前、姫だろ!?』と突然心に届いた声があった。

(あなたは?)
思わず舞台を振り向いた。

舞台から降りている二人が見える。
そのうちの青い髪の方が自分のことを見ていた、ような気がした。

『僕はミウロ。この町に呼ばれて歌いに来たんだ』

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多分続く。






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