デタラメせやろがい! 山口敬之の逮捕中止理由は『Black Box』に明記

伊藤詩織事件で今なお執拗に言及されることが「逮捕状が発布されたのに執行されなかったのはおかしい」というものです。
せやろがいという芸人も動画の中で同じことを言っています。

せやろがいは伊藤詩織さんを支持する。その理由を話す。
https://www.youtube.com/watch?v=rsdIHb1HGpc&t=3s

10:10から
『警察に関しても、一回逮捕状が出てるにも関わらず、それが取り消されてしまったっていうのは、どういう経緯があって、どういう理由で取り消されたんやっていう説明がまだないんすよね』

デタラメは止めていただきたい。
逮捕が執行されなかった理由は『Black Box』に書いてあります。

警視庁にて詩織さんは次のような説明を受けました。

『特に逮捕状に関しては、この日も繰り返し質問したが、納得できる回答はなかった。以下は、上司の男性捜査官がその時口にした言い分だ。
「逮捕状というのは、簡単に出ます。被害届があって、この人が犯人ですと被害者が言って、ある程度捜査して、そうなんじゃないかな、というレベルで出る。今回の場合は特に、山口氏はあなたの顔見知りだから、あなたが誰かと見間違える恐れは一〇〇%ない。怖い話ですが、それだけで大体、逮捕状は出ます。
 逮捕状を実際に執行する前に警察官の判断で逮捕要件を満たしているのかどうか、適正な執行かどうか、もう一度判断して下さいね、というレベルで出ます。
 よくあるのは、被疑者が海外にいたり、行方がわからなかったり、逃げているわけではないがどこにいるかわからない場合、警察官が逮捕状を手に持っておくというケース。持っているからといって執行しなければならないわけではなく、執行する段階でまた判断して下さいね、という意味です。
 今回も、山口氏はアメリカにいたので逮捕状を取るのは適正だと思いますが、帰ってきた時点で、行方がわからなくなったり、逃走する恐れがないとわかる。特に証拠隠滅の恐れは今回はありませんので、その逮捕は適正なのか? という判断になった。
 もう一つ、社会的地位のある人の場合、そのことは捜査に関係するのか? というと、正直関係はあります。社会的地位のある人は居所がはっきりしているし、家族や関係者もいて逃走の恐れがない。だから、逮捕の必要がないのです。
 高輪署は高輪署で判断して逮捕状を取ったのでしょうが、我々は主管課なので、報告が上がった時に、それは逮捕の要件が今はないので待ちなさいよ、という判断になったのだと思う」』(P142-143)

逮捕状を執行する前に警察官が判断すると説明されているではありませんか。
強制的に身体を拘束するのだから、必要性を慎重に判断するのは当然だと思います。
そして山口さん逮捕についての警視庁捜査官の判断は『証拠隠滅の恐れは今回はありません』『逃走する恐れがない』ということでした。
逮捕状の不執行の理由はここに尽きるのです。
ただ、異常に逮捕に執着する詩織さんは納得していない。それだけのことです。

逮捕状が握り潰されたァ〜!と騒ぎまくる方々は何故か『Black Box』のこの部分について言及していません。
つまり、『Black Box』さえ読んでいないのです。
読みもしないのに、嘘を広めるのです。
これって誹謗中傷よりも性質(たち)が悪いと思いますよ。

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まず大前提として、逮捕というものは逃走や証拠隠滅のおそれがある場合にするものであることを明らかにしておきます。

山口敬之さんに逮捕状が執行されなかったのは、私から見れば何でもないことです。
もともと逮捕して身柄を拘束するような事案ではなかったのに、詩織さんと二人三脚の捜査官A氏が強引に逮捕状を取った。それをギリギリの瀬戸際で警察上層部が察知して、逮捕の中止を命じた。それだけの話です。

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事件は山口敬之さんの自宅ではなく、ホテルの一室で起こりました。
すなわち、事件の証拠を彼が持っているとは考えられないのです。
『Black Box』を読めば分かることですが、当時の捜査官および検事が強調したのが「証拠がない」という文句でした。

P74 高輪署の捜査員A氏の発言。 
『こういう事件は刑事事件として難しい。直後の精液の採取やDNA検査ができていないので、証拠も揃わなくて、かなり厳しい』
P90-91
『四月二十七日。担当捜査員のA氏から連絡があった。ホテルの防犯カメラ映像を見てからは、多少は前向きに対応してくれていたA氏の態度はこの日一変し、
「逮捕はできません。証拠がないため厳しい」
 と断定的に言った。
 証拠がないとは、DNAのことだろうか。それなら、ブラのDNA検査はこれからお願いするはずだが、と聞くと。
「それが出たとしても、触っただけで行為があった証拠にはならない、とお話ししましたよね。精液さえない。人ひとり裁くのは、それほど厳しいということ。疑わしきは罰せず、の原則です」
 と強い口調で言った。』
P92 パソコンでの盗撮について詩織さんが話を切り出すと。
『そう聞くと、疑わしいだけでは逮捕はできない、証拠があればいいが、記憶すらないのでは、とA氏はまた強く言った。』
P94 A氏が検察官の返事を詩織さんに伝える。
『その検察官に相談したところ、いきなり、『証拠がないので逮捕状は請求できない。』
P161-162
『担当のK検事と二度目に面会したのは、二〇一六年七月半ばのことだった。検事との話に、目新しい展開はなかった。検事は最後にこう言った。
「(中略)検察側としては、有罪にできるよう考えたけれど、証拠関係は難しいというのが率直なところです。(中略)』


また、捜査対象である山口敬之は事件後アメリカに滞在していました。
捜査員たちは彼の影響を受けることなく捜査することができました。
ホテルの一室での一夜の出来事だから、聞き込みをする対象も限られているでしょう。

何が言いたいかというと、捜査がほぼ終わっていて、証拠がないことが分かっているのに、山口敬之を逮捕(身柄拘束)しても意味ないでしょう、ということです。

ちなみに、中止されたのは逮捕であって、捜査そのものはその後も続きました。
詩織さんが主張していた、行為の様子を録画していたとされるパソコンも押収されました。が、「そもそもカメラが付いていない機種で、外部機器を取り付けた形跡もない。中の画像にもこの事件と関係するものはない」(『Black Box』P147)ということでした。

なお、当時警察が捜査していたのは、あくまでも「準強姦」についてです。
後に詩織さんが『Black Box』等で主張した「強姦致傷」についてではありません。

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詩織さんは名誉毀損と虚偽告訴罪で刑事告訴されました。が、逮捕などされてませんよね。
「伊藤詩織を逮捕しろォ!」と騒ぐ人はいませんよね。

証拠隠滅の可能性は分かりませんが、彼女くらい有名になったらどこにも逃げられないでしょう。
だから、詩織さんが逮捕されないのもそれなりに合理性があるわけです。

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逮捕中止にこだわる方々は、なぜか逮捕を最終ゴールみたいに思い込んでいますけど、間違いです。
仮に山口敬之さんが帰国した時点で逮捕されていたとしても、やはり不起訴になったでしょうね。証拠がないんだから。

それよりも問題にすべきことは、『Black Box』では強姦致傷として描かれている事件(P51)が、警察・検察で準強姦として処理されたことでしょう。
しかし、なぜか詩織さんはこの問題については全く触れません。本質的にどうでもいい逮捕中止については執念深くこだわっているのに。

詩織さんは自分が書いたことを忘れているようだから、もう一度『Black Box』を読み返してください。
そして強姦致傷罪に該当する犯罪が、警察・検察で準強姦として扱われたことの不当性を声高に主張してください。『Black Box』に書いたことが真実であるならば、ね。

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そもそも、逮捕中止の謎を解きたければ、鍵となる証拠にあたればいいではないですか。
そう。詩織さんがブラジャーに隠したレコーダーで、警察内でのやり取りを秘密録音した音声データがそれです。彼女は2年以上録り貯めた音声データをもとに「Black Box」を執筆しました。
この音声データの中に、逮捕中止の謎も、詩織さんと昵懇の間柄である捜査官A氏が証拠もないのに逮捕状をとるに至った過程も、収められていることでしょう。

BBC Two
Japan's Secret Shame
Shiori Ito: Japan’s attitudes to allegations of sexual violence are locked in the past
https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/3z44Njyr5wzm3wbVMGZ7tFr/shiori-ito-japan-s-attitudes-to-allegations-of-sexual-violence-are-locked-in-the-past
『Since then I have set a digital recorder going in my bra just before entering any police station.』
『The recordings that I had collected over two years finally became a book, that published last year』

詩織さんは折りに触れて「私はジャーナリストとして真実が云々」的な御高説を垂れてらっしゃるのですから、どうかそのジャーナリスト魂を発揮して、秘密録音した音声データを公開していただきたい。
別に、『Black Box』の担当編集者である安藤泉さんでも結構ですよ。

オープン・ザ・ブラックボックス!
オープン・ザ・音声データ!

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