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何でもかんでもメモしてやる

私は全くまめではない。返信を溜める。借りた本を返さない。約束を忘れる。何より、集中しないと数字の区別があまりつかない。のに、事務員になってしまった。
先週金曜はひどかった。日程調整役になったのだが、相手によって違う時間を伝えてしまった。あさって、関係者が1時間ずつずれて会議室に着くようだ。知らない。しらばっくれて連休。退勤後すぐ新幹線にとびのり、旅に出た。

「それはだいぶ、めちゃくちゃだ」
運ばれてついた土地で、目がさめたら夜半、街灯がにじみレンガのはりめぐらされたビジネス街にこの旅の案内人が迎えにきてくれた。体が軽く、少し走った。

翌日は海外からきたらしい、2ミリのシャープペンとメモ帳を購入した。また飛んで持ち帰ってきて、シャープペンのひとつは鞄にひそませておくことにした。仕事が大きらいだが、好きな文房具を持っていくことにした。なんでもかんでもメモしてやることにした。


で、帰ってきた。時間はめずらしくゆっくりだ。

天狗におぶわれたように楽な旅だった。帰りは吉本ばななの『TUGUMI』を読んでいたら着いた。つぐみに影響され、スケ番みたいな喋り方をしたくなった。「干からびちまうところだったぜ」。いく千の屋根瓦を飛び越えて帰還して、うちはもとどおりあって、緑茶を二はい飲んだあと白菜と豚肉のなべを作り食べたところだ。なにか区切りとしたくてnoteを開いてみたが、私に書けるものもとくにないような気がしてしまう。

洗い物をしてくる。
今までの私ならこれは明日の朝に消すが、消さないで置いておこう。
はずかしいか。
これもおまえのいとおしむ過去だよ。
もどりたいか。
そうはいかない、だれよりも書きとめておくれ。明後日の混沌を見てきて。いや、そのメモを使って日時を正確に記録して、軌道修正こころみて。もしそれでも無理そうなら、困ったり驚きあきれる人の台詞とか、何でもかんでもメモしてきて。

ああいやだ!

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