見出し画像

カックロの作り方

カックロの作り方を紹介したいと思います。カックロは数字を埋めていくタイプのペンシルパズルです。ルールはこんな感じです。(ニコリのページ

1. すべての白マスに1から9までの数字のどれかを1つずつ入れましょう。0(ゼロ)は使いません。
2. ナナメの線の右上の数字は、その右に連続した白マスに入る数字の合計を表し、左下の数字はその下に連続した白マスに入る数字の合計を表します。
3. タテヨコへの1つの白マスのつながりには、同じ数字を入れてはいけません。124 は○ですが、232は×です。

今回はニコリのカックロのお約束にしたがって、なるべく易しい問題を作っていきたいと思います。ニコリのカックロは作る際にどんな制約があるかというと、


画像1

①幅1マスの計があってはいけない。
②黒マスの配置は盤面の中央を中心とした点対称にする。
③計が書いてない場所があってはいけない。
④1マスだけで外部と繋がっている領域があってはいけない。
⑤11×11などの小サイズでは6マス以上の連続白マスがあってはいけない。

などがあります。せっかく面白い問題を送っても、これらに反しているとボツになってしまうので投稿の際は気を付けましょう。インターネットなどで出題する場合は自由に作っていいと思います。


まず、サイズを決めます。カックロは左と上の一列が最初から黒マスで埋め尽くされているので、その1列はサイズの数字には含まれません。なので上の問題は6×6のカックロ、となります。ニコリ本誌では11×11、15×15、21×31、31×41を募集しています。他のサイズを送っても載らないので気を付けましょう。インターネットなどで出題する場合はサイズは自由でいいと思います。

今回は7×7にしました。次に黒マスの配置を決めます。黒マス配置を対称配置にして思い通りの連続マスを作るのは、慣れないと難しいです。そこで、めりりんさんが作られたパズル制作ツールPencilBoxの対称配置機能を使います。

無題

幅1マスしかないところや閉鎖領域ができないように気を付けながら黒マスを決めます。2マスのところを多めに作ると後で数字を入れるときに作りやすくなります。

画像5

こんな感じになりました。先ほどのお約束⑤で、小サイズでは6マス以上の連続白マスは作らないと書きましたが、今回は投稿するわけではないので7マスや6マスを入れてしまいました。長い連続マスは大小の数字を偏りなく入れられるので、作るときに使いやすいのです。これでいきたいと思います。


次に数字を入れていきます。作り方としてたまに誤解されるようですが、答えの数字を先に入れてからその合計を書いていくのではありません。答えの数字が決まるような合計数を、解くときと同じように少しずつ入れていきます。

そこで使うのがカックロの基本となる一通りの分解表です。

【2マス】
3=1+2 4=1+3 16=7+9 17=8+9
【3マス】
6=1+2+3 7=1+2+4 23=6+8+9 24=7+8+9
【4マス】
10=1+2+3+4 11=1+2+3+5 29=5+7+8+9 30=6+7+8+9
【5マス】
15=1+2+3+4+5 16=1+2+3+4+6 34=4+6+7+8+9 35=5+6+7+8+9
【6マス】
21=1+2+3+4+5+6 22=1+2+3+4+5+7
38=3+5+6+7+8+9 39=4+5+6+7+8+9
【7マス】
28=1+2+3+4+5+6+7 29=1+2+3+4+5+6+8
41=2+4+5+6+7+8+9 42=3+4+5+6+7+8+9

これらを使って、マスに入る数字が決まるように計の数字を入れていきます。3マスの7と2マスの4に共通するのは1です。これを使えるように左上に実際に数字を入れてみました。

画像4

この状態で決まる数字を、解くときと同じように入れてみるとこうなります。候補数字も入れておきます。

画像5

長い列が途中の調整で変な数字になると、計算が必要な難しい問題になってしまうので、この盤面で3つある7マスの連続白マスは分解が一通りの28,29,41,42のどれかにすることを何となく決めておきます。

未決定の2と4は、遠いところから決まるとかっこいい(?)ので、一番下に2マスの3と4を入れてみました。

画像6

右下の方にも入り口を作ります。6マスの21と4マスの29の交差は5に決まるので、それを入れてみます。

画像7

チマチマやっていると飽きてしまわれそうなので、真ん中の縦の5マスと横の7マスをえいやっと決めてしまいます。

画像8

上から2段目の横の6マスも一通りの計にしたいのですが、3と「7,8,9のいずれか」が入るのは38と22しかありません。38にしてしまうと、左上の4の決まる理由が狙いである7との交差以外にもできてしまって気持ちが悪いので、22にします。

画像9

22にして決まるところを埋めました。左から2列目の縦の7マスは28か29になりそうです。ここで水色の横3列を見ます。今まで一通りしか分解のない計だけを使ってきましたが、ここはどうも無理そうです。23か24を入れてもいいのですが、そうするとすでに2の入っている縦列で引き算が必要な計になります。どちらにせよ計算が必要になるので、ここは3マスの21と4マスの10の交点は4しか入らないという手筋を入れてみます。4マスの11でもいいのですが、対称の反対側の4マスを29にしてしまったので大小のオモテウラにならないように10にしました。その余波で8を入れる必要が出たので、左から2列目の縦列は29になりました。

画像10

バランス的に右側の縦の7マスは42にしたかったのですが、無計画に進めてきたせいでこちらも28か29になりそうです。難しい手筋で1が決まるのところがあるのですが、今回は難しい手筋を使いたくないので他から決めるように小さく書いておきます。縦7マスは28か29になってしまったので、どうせならと下の方の3マスも23と24にして一気に決まるようにします。

画像11

最終盤で計の数字を決めていない2マスを残すようにすると、入れる数字がなくなってだいぶ前まで戻らなくてはいけないという事態を防ぐことができます。このような安全弁のない芸術的で難しいカックロが本の最後の方に載っていたら、解き終わった後に作家さんに拍手をしましょう。難しい問題は、作るのもとても難しいです。

残りは主に2マスなので何を入れてもいいのですが、色々なところから解けるように入り口を増やしておきます。増やした入り口で狙いの解き筋が消えてしまうこともあるので、注意しながら仕上げましょう。

画像12

最後の1マスは何でもいいので、最大最小などで途中で決まってしまわなそうな、7にします。

画像13

完成しました!完成したら必ず自分で最初から解いてみましょう。だいたいの場合、想定した解き筋通りにはなっていません 笑。この状態から気になる部分を修正し直すこともよくあります。今回はどうでしょうか。うーん…。入り口が多すぎて目がちかちかする感じですね。狙った交差から徐々に解けていく感じではなくなってしまいました。でも今回は作る流れを紹介するのが目的なので、一応解ける問題ができたということでこれで良しとします。易しい問題を作るのは実は苦手で、小サイズの問題は過去1回しか載せてもらったことがありません。簡単な問題を作るのも、センスが必要で難しいです。

最後に、投稿やインターネットでの出題をする前にソルバーで念のための唯一解チェックをします。自分で解いただけだと、勘違いや見落としの可能性があるからです。みゃーみゃさんが、色々なパズルのソルバーをインターネット上で公開して誰でも使えるようにしてくれています。とてもありがたいことで、最終チェックにいつも使わせて頂いています。カックロならスーパージャイアントのかなり難しい問題でも、時間内に解いてくれます。また表出を1つでも入力し忘れると解を出さないので、形式不備のチェックにもなります。PencilBoxの場合は、ここからぱずぷれのurlを出力してソルバーを利用できます。

画像14

無題

ソルバーに唯一解が認められたのでこれで本当に完成です。できた問題はこれです。

画像16

いかがでしたでしょうか。これを読んで自分もカックロを作ってみよう、と思ってもらえたら嬉しいです。インターネットではやや不人気なカックロですが、カックロ本はニコリから定期的に作られているので、カックロが作れるようになると、安定した臨時収入が得られるようになるかもしれませんよ!(終)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?