とても好きになった人

【眠れぬ夜〜】
中学時代、部活で虐められていた。休日関係なく、朝も夕方もある部活。行きたくなくて、寝たらすぐに朝が来そうで、リビングで、朝が来ないように椅子を机代わりにiPodで夜な夜なネットサーフィンをしていた。

【君に出会った〜】
メッセージアプリで、今後10年以上の関係になるあなたに出会った。たくさんのメッセージを交わしていた中の1人。とても好きになった。東大卒というあなたに、話す口実として理科の質問をした。

【夕方の雨〜】
会ったことも、顔も見たこともないのにネット上で告白をした。そして10個も上のあなたと付き合った。でも1週間経たずして振られた。雨が降る夕方の日だった。家族に泣いているのがバレないように、雨の音に紛れて泣いた。

【君に出会った〜】
大学で上京して2年目の二十歳の夏、そしてあなたと出会ってから5年目の夏、ついに顔を合わせた。「アメリカのお土産を渡したい」というあなたの口実が会う勇気を後押しした。新宿の世界堂に集合して、喫茶店でレモネードを飲んだ。いまとなってはもう、紙ナプキンに旋律を書いていたあなたと、堂々と座っているあなたの姿しか覚えていない。

【夕方の部屋〜】
新宿歌舞伎町のバリアンを、ここの部屋が素敵そうだという口実であなたは私を誘った。幾分ピュアだった私は、半分その口実を信じて入った。そんなものないのに。私の淡い恋は、ドロドロとしたものに変わった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?