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村をあげての観光事業、お金を落とす仕組みがないのは公認の足枷かも

高知県北川村にある「モネの庭」、入園料はいくらだと思いますか?
フランスのジヴェルニーにあるモネの庭を再現、「門外不出であった〈モネの庭〉の名称をいただ」いた場所です。北川村を訪ねた夜、ネットで本家のウェブサイトを見たら、北川村の忠実な再現ぶりに感嘆しました。

北川村の「モネの庭」は観光施設、村おこしの事業です。村営とは明文化していません。誘致にはやり手の行政マンがいて、 クロードモネ財団にアプローチしたのかなと推測しました。検索すると、平成11年設立の(株)きたがわジャルダンが運営、代表取締役は2015年4月から村長を務めています。第三セクターの経営収支は、平成24年度版がネットにありました。

まるでフランスという贅沢なカルチャー満載の「モネの庭」、入園料は大人730円です。園内にショップやレストランはあるものの、お金を落とす仕組みが全くありません。レストランはきちんとしたシェフがいるのだろうと思わせる味でした。本当はもっとスタイリッシュな料理を提供したいのだろうけれど、価格と利用者層の相関における最大値と思えます。ショップは、オリジナル商品が見えず、素人の商品陳列でした。空間を活用しきれず、間に合わせの休憩場所になっています。お土産と飲食による客単価の想定が低いようでした。ターゲットを絞りきれず、漫然と間口を広げているのが入園料に現れています。

腕のある庭師さんや心を込めたスタッフさんがいるであろうに、儲ける仕組みができていないのでは、思うように働けないだろうと推測します。ネズミーランドの、キャストと称して働く人の意欲を引き出すシステムは秀逸です(雇用システムにはかなり問題がありますけれど)。ここ「モネの庭」でもガーデナーさんやショップスタッフと話せたり、プロ意識に触れる場面を設定すればと思いますが、マンパワーの不足は否めません。なぜなら、駐車場係を庭師さんたちが兼務するのですから、本来は庭の整備にもっと腕をかけたいだろうにと思ったのです。

高知空港からリムジンバスで「モネの庭」へ直行。フランス、または知名度のあるガイド役とオンラインで結んだ交流、お土産はパッケージで渡し、北川村の名産を楽しんでもらうツアー案。旅館が離れたところにありますが、「モネの庭」を中心にすえた北川村の経営がトータルに見えません。広報紙や東京のアンテナショップでのイベントに費用をかけるより、とわたしが思いつくらいの案はすでにたたかれ済みでしょう。いくらでもやりようはあるでしょう、しかしながらそのようにできないのは村の財政とモネ財団の「公認」という制約があるのかもしれません。

五感を動員する自然体験は、仕掛けるのが実は高度です。「モネの庭」だけでは北川村のブランド力にならないのです。


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