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奥行きの幅があるキャンバスは特注

丸亀市の中津万象園(なかつばんしょうえん)で開催中の個展を見てきました。作家ご本人がご尊父と在廊していました。

「キャンバスの横も描きこむので、どうせならと奥行きのあるキャンバスを特注したんです」と作家に代わって説明。ペンギンの目線の先、横の下にオキアミが描きこまれていました。作品に隠れた遊びココロ。アクリル画は強弱のある筆使いで、いろんなタッチの作品がありました。

画面からはみ出す迫力。どの生き物を版画にしても、どんな言葉が添えられていても、パターンを超えられないような気がしました。東京をはじめ各地で次々と個展を開催し、タオルなど商品化されたものが販売されていたせいでしょうか、展示内容にパッケージ化が見えたような気がします。この会場にキュレターがいたなら、見せ方で作品は輝たろうに。

ハコのカビ臭さというか、閉塞感が地味をぬぐいきれません。マイナーな地方の私設美術館は奮闘しているのですが、年間で閉じた日数が多い会場では、空気が動いていません。ハコがもつイメージは、作品を引っ張ります。
茨城県つくば美術館は県立にも関わらず、公民館の展示ホール拡大版のような貸しギャラリーになっています。巡回展もきたことがありますが、駐車料金とハコのプライドが運営を阻害したように思います。筑波大の芸術学類を背景に、つくばからアート発信を目指したものの、ハコから脱却できずにいます。アートがもつ創造性を運営面でも両輪にしていかないとズレが広がっていく例だろうと思います。

そして今回の作家さんは、精力的に創作されています。本人の達成感や満足度を大事に展示しています。見る側の勝手な思惑は交差することがありません。キュレターがついたなら、単純な展示から変わるだろうと思うのですが、そうするのは誰のため?


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