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見えないピンク

ゴルフコンペの運営でゴルフ場に行った時の話

ゴルフは紳士のスポーツだからゴルフ場にデニム生地は適さないんだよ。
とは、その場にいたゴルフおじさんの言葉である
その時ジーンズを身につけていた上司が苦笑いしたのを横目に、紳士のスポーツということを念頭に置いて、おじさん達のゴルフファッションを遠目で観賞

その中に、超絶ビビッドピンクのあざやかパンツを身につけた異彩を放つ紳士が一名

すごい!車からもよく見えるから絶対に轢かれなさそうなカラーパンツのクソ派手紳士だ!と感動し、近くにいた上司に
「あの方のパンツの色、めちゃくちゃ派手ですね」
と思わず報告

こんな色でした

上司は確認した後
「本当だ。すごいね、あの赤」
と言った

赤?

「あれピンクですよね?」
「え?赤じゃないの?」
「ピンクですよ」
「赤だよ」
「え?」
「は?」

上記のようなやり取りを交わした後、本人に聞こう。ということで直接聞いてみた
幸いにも弊社の関係者だったので聞けたことであり、本当に存じ上げない他所の紳士には「そのパンツの色は赤ですかピンクですか」なんて絶対に尋ねてはいけないことである

そしてピンク紳士はちいかわに出てくるハチワレのような朗らかさで
「え~?赤じゃない?」
と答えてくれた
ハチワレによく似合うクスクス…という微笑オノマトペまで見えた気がした

それは置いといて
赤????
買った本人も赤だと思ってたのか?
絶対にピンクなんだが。
赤に近いけど間違いなくピンクなんだが。
色たちの絶妙な配合で成り立つビビッドピンク、それを繊維で表現した企業努力を、舐めるな。
赤だと思って買うな。
赤は赤、ピンクはピンクだろうが。

私はしばらく「ピンクですよ」の姿勢を崩さなかったが、その後の会話はピンク派が劣勢だったからかよく覚えていない

帰宅後、今日という日を忘れないために、SNSで「私は全てのピンクを諦めない。」と決意表明した
私にとってピンクとは、無限に細分化できる"かわいい"なのだ
快活なピンクもあれば大人しいピンク、あざといピンク、色気のあるピンクなど、ピンクには本当に無限の表情があり、それらはすべてかわいい
一つ一つに違う"かわいい"を確認できる
おじさんには見えない、認知できないピンクだって、そこにちゃんと"かわいい"を秘めてるのだ

猫の生態系についての本を読んで学んだことだけど、赤色を認知できるのは霊長類だけらしい
霊長類も赤色もすごいな。

なおのこと、ピンクを愛したくなった
細分化されたピンクを味わえるのも、きっと霊長類だけだから

おわり

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