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林芙美子著 帯広まで



東京の下町浅草が、舞台。レビュー小屋の踊り子とその小屋のバイオリン弾きが愛し合う物語です。二人は、映画館の仕事の帰りには、立ち食い蕎麦を食べたり、身の上話しもします。彼女は、父親も母親もいません。兄と姉が居るが、彼女の事は、まったく心配しません。まるで犬や猫と同じ扱いでした。そのあと一緒にバイオリン🎻弾きの部屋で同棲生活。暮らしは、楽しかった。バイオリン🎻弾きの男性は、東京芸術大学中退のインテリ。尚且つ眉目秀麗。妻を踊り子にさせては、男のメンツにかかわらからと言って辞めさせます。この後。バイオリン🎻弾きは、新宿西武館で働く。やはり時代の波が襲います。レコードが誕生してバイオリン🎻弾きの仕事がなくなります。それでも彼女は、彼との同棲生活が楽しく仕方がありません。彼が映画館から帰って来れば、いっときも離しませんでした。勿論事。夜は、毎晩一緒に同じ布団で寝ていました。凡そ3年間の二人だけの家庭生活。この後。ストーリーが反転します。バイオリン弾きの楽団の隊長が自死。若い奥さんと子供が残された。なんと主人公の男性がその隊長の奥さんと仲良くなってしまいます。二人は、別れます。もっとそばにいてくれとすがれば、彼もいてくれたかもしれません。しかし彼女は、何もしませんでした。彼は、手切金の40円だけ置いて行く。貯金通帳にそのお金を入れると彼女は、まるで手足を失ったかのように街を彷徨います。彼と一緒に入って食べた食堂も素通り。果物屋さんで桃を買って帰り、布団の上で泣きながら桃を食べます。彼が居なくなってからは、毎晩ひとりで泣く。。それが一年二年と経ちます。馬の口(台所)には、食べ残しの茶碗やお皿が何日も洗わずに置いてあり、そのご飯には蠅がたかっていた。女性の一人暮らしは、それはそれは侘しいものらしい。それでも彼がまた帰っで来てくれると信じていました。その間彼女も女性です。新聞記者やその他の男性と浮気を繰り返していました。それでも事務?が終わると彼らは、家に帰った。彼女は、浅草から渋谷に引っ越しします。この時。バイオリン弾きの男性が婦人と子供を連れて婦人の実家がある帯広に引っ越ししてしまいます。彼が東京に居る間は、なんとかまた会えると信じていました。彼が北海道へ行くことは、彼女にとって永遠の別れでもあった。でも彼女は、強かった。まるで林芙美子そのままの女性。彼女は、化粧品会社で働き始めました。ある日。北海道の帯広市に営業で行くことなりました。彼女は、昔の彼に逢いたくて、帯広市の映画館まで行きます。そして彼に会います。彼もあまり幸福そうではありませんでした。しかしながらよりを戻すことは、無かった。彼は「 俺はこの後女郎屋でも行くか。」と言って別れます。朝方でした。彼の奥さんから電話が化粧品会社の営業社員が泊まっているホテルにありました。私の夫が帰ってこないです。「 もしかしたら、貴方の所に居るかのと思って電話してみました。」と、息を咳った声で話していました。そのとき女性には、もううらぶれた男性に愛想を尽かしてしまい恋心さえ浮かんできませんでした。
おしまい。
インターネットの青空文庫で読めます。YouTubeの動画サイトでも朗読劇もあり。僕は、まだ見てないので、これから朗読を楽しみにしています。

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