目覚ましが鳴る
携帯で目覚ましをかける。
寝ようとしてる時は、鳴るメロディーを選ぶ余裕はない。たとえ小さい音量で聞いていても不快なので、ずいぶん前になんとなく決めた、うるさすぎなくて静かすぎなくて、でも起きられるだろうな。というメロディーが変わらず鳴る設定にする。
というより、寝る時はメロディーのことなんか忘れていることが多い。自分の目覚ましがどんなメロディーかって今みんな歌える?私は歌えない。朝聞いて改めて「あーこれだったわ。」と思い寝ぼけ眼でいろんなボタンを押しまくってうだうだ言いながら布団を出る。(出勤中に、スマホの写真フォルダに今朝のアラーム画面のスクリーンショットが何枚も入っていることに気付いた時はとても笑えた。不快なメロディーを止めるのに必死な自分。)
学生時代の私を知っている人からしたら信じられないかもしれないが、目覚ましがなっている音が聞こえなくて寝坊するという経験はあまりない。私が寝坊する時は、二度寝によるものが多い。不快なメロディーの一発目の音でガバッ!と目が覚めて一瞬にして仕留める。これが私の朝の任務だった。
これは起きるための行動ではなく、
目覚ましを止めるための行動である。
この事実に気付いた時に、世界中が朝になったような感動に包まれたのを覚えている。
朝が得意な人、朝への意識が高い人にはスーパー意味不明だと思うが、敵を仕留めた後の私はとても強かった。すごく眠いのに、アラームを再設定するときの覚醒っぷりは見事だ。2分後とかのアラームを設定してその2分をしっかり寝たりするのだ。分刻みで真剣に眠りにつく。
この自分の行動には、実は少々嫌気がさしていた。つまり、とても悩んでいた。(悩んでたわけないだろあんなに寝て!という声が各地から上がってくる気がするが、起きる意思の弱さにではなく、目覚ましの意味がなくなってることに悩んでいたのだ。は?)
なので、さっきの気付きは私にとって大きな一歩だった。こんな私がまぁ常人と同じくらいの朝の迎え方を出来るようになった軌跡を残しておこうと思う。
親の存在がでかい高校生の私の朝
チャイムの音や電話が来たときの音と同じ音にしたことがあった。それなりに効果はあったが、本当の電話を全力で切ってしまう事件があり、寝起きの自分を恐れてやめた。
一発で仕留めたくなる不快なメロディーじゃなければいいのでは…?
大好きなアーティストの音楽が鳴るように設定を変えた。
急いで止める必要がなかった。
夢の中で大好きな歌がBGMとして流れていた。なにこれ最高〜。心地が良すぎた。
お母さん「いつまで寝てるのー!!!」
物理的に、起きてしまえばいいのでは…?
ベッドから離れたところにあるオーディオから好きな音楽を流すことにした。
なぜ気付かないんだ、止める必要がない。
体を動かさずして部屋中にこの音質。なにこれ最高〜!
お母さん「早く起きなさーい!!!」
不快さをプラスして必ず物理的に動くようにすればいいのでは…?
うるさい目覚まし時計をベッドから離れたところに置いた。
光の速さで起きてパンッ!と快活な音で時計をはたき、光の速さでベッドに戻る。
わ〜すごい、私ったら忍者みたいだった今〜!
お母さん「遅刻するよー!!!」
強制力が緩まってしまった大学生の私の朝
人に声をかけられると絶対に起きれて…る…?
何度も呼んでるよ!!というお母さんに心で謝りながらこの仮説を信じ、リビングじゃなくて部屋に来て起きるまで声をかけてもらうことが大事なんだ!と考えて、当時同じ部屋に寝ていたお姉ちゃんにボイスメモを録音してもらった。
メカお姉ちゃん「みすず〜、みーすず、みすずっ!みーすずっ!おい!みすず起きろ!」
これはかなり効いた。優しい声のうちに起きることができた。姉強い。
しかし毎日聞いているので脳が慣れてしまう。
これは録音だ、お姉ちゃんは怒っていない。
…本当に呼ばれていることもあった。
毎回変わる呼び方ならいいのでは…?
不快なメロディーを瞬で仕留めた私は、ある作戦に出た。
自分自身で声に出して毎回アレンジを加えながら自分の名前を呼んだ。
みすず「みすず~!!起きて!朝だよ!」
みすず「早く起きてーみすず!みーすずー!」
もう一人の自分が目を覚ましてしまいそうで途中から怖くなった。
甥っ子が生まれる。
一見目覚ましと何も関係がないようだが、お姉ちゃんと甥っ子はしばらく実家に住んでいたのだ。激ラブ甥っ子が泣くタイミングっていうのは何回もあったが、お姉ちゃんが手が離せない時の泣き声には、寝ているのになぜかかなり敏感だった。お手洗いの段差で前で四つん這いで号泣してるところに、叔母さんロケットが発射される。
赤ちゃんの泣き声つよ…
この時期の写真フォルダーには、髪の毛ぐちゃぐちゃで目が開いてない私と髪の毛サラサラで目がぱっちり開いている甥っ子が遊んでいる写真が割とあった。
別れと出会い(おおげさ)
お姉ちゃんが引っ越すときに、私に新しい目覚まし時計を買ってくれた。これがとても画期的な代物で、声を吹き込める目覚まし時計だった。
メカお姉ちゃん「ちょ、みすず〜!ごめん、甥が泣いてる〜!ちょっと来て〜!」
これもかなり効いた。飛び起きる。
でも、人は慣れるものだな。
え〜ん、そんなこと言ってももう2人はお家にいないもん…泣…スヤァ
しばらく使って、目を覚ました瞬間の私の強さのせいで録音データが消えてしまい、ただの爆音目覚まし時計と化してしまった。あまりにも爆音なのでぐずる私に音がなる穴をガムテープで塞がれてしまい、ちいちゃい音で起こしてくる目覚まし時計になった。
…ちっっっさ!!隣の家かと思ったわ!!!
起きない時代
起きない大学院生時代がありました。
何も言いません。
鬼の社会人生活スタート
強制力ってすごいな。
あの私が、朝起きて仕事に行ってるんだから。
4時起き、5時起き、10時起き、18時起き、なんでもやった。
寮生活だからできていたこと
シフト制勤務なので、みんな起きる時間が違っていた。隣の部屋も上の部屋もみーんな。なので、目覚ましを長く鳴らしているのが申し訳なくて、割とちゃんと起きられていた。遅刻が本当に怖い。
一週間でシフトがチェンジするし、田舎でやることがないし、テレビを持たない生活をしていたし、倒れこむように寝ていたので、夜更かしをする習慣がなくなった。
よく食べよく動き規則正しい一週間を過ごしていたのに、入社してから減量が止まらずかなりゲッソリした。そっちの悩みが大きくて起きられない悩みはなくなった。
魔の人事異動
製造現場から開発業務に異動になった。
シフト制じゃなくなるから楽になると思いきや、業務上毎日起きる時間がバラバラ、という生活になってしまった。
月 6:30
火 6:30
水 2:30
木 6:30
金 3:00
みたいな感じ。激早の日があったりなかったり、連続したりしなかったり。もちろん定時では帰れなくて、早く起きた水曜日も18時とかまで働いていたので、また目覚まし問題が大きくなっていった。あんなに悩んでいた体重は嬉しくないところまで増えた。
そんな日々で見つけた、最高の目覚ましツールをご紹介したい。
iPhoneの「ベッドタイム」という機能
iPhoneユーザーの方、ご存じですか?(え、PRなの?)
寝る時間と起きる時間を設定すると、何時間寝られるか表示される。
毎日寝た時間を記録できるし、寝る予定の時間の数分前にそろそろ寝ろよ~、みたいなメッセージが来る。
ちゃんと機能は使いこなせてないんだけど、私の起きられない問題を解決してくれた救世主だった。
じわ~っと音量が上がる、不快じゃない知らないメロディー。
ここまで読んでくれた人(長すぎていないと思うが)は、私にとっての大正解だと気付いてくれるかもしれない。
デフォルトでiPhoneの目覚ましに入っているメロディーが睡眠を妨害するような激しいものが多い中、ベッドタイムに入っているメロディーはそれはそれは優しくて、どれもさわやか。それでいて、全然知らないメロディー。どれを選んでも、目を覚まさせるための音楽なのだ。
え…完璧…?
急いで消す必要がない心地よさ。
初動がゆるやかで不快じゃない。
なり始めで起きなければ、音がだんだん大きくなる。
でも聞いていられるような知っているメロディーじゃない。
5分刻み設定なので、スヌーズで2分の悪あがきがしにくい。
まさに、リビングじゃなくて部屋に来て起きるまで声をかけてもらう感覚。
「ああ、起きる時間なのね。ありがとう声かけてくれて。」という感じで、優しいお姉さんのふりをしながら起きることすらできる。
こりゃすげえぜ…
おすすめは「晴れ」というメロディーです。
そして今
結婚して転職をし、夫婦で二人暮らしをしている。
夫が起きる時間は毎朝6:00で、私のベッドタイムは夫がシャワーを浴び始める6:15に設定してある。
一度夫の目覚ましと動きで目を覚ましてから、15分のサービスタイムののち優しく「晴れ」が鳴り始める。その時間にかけ忘れなければ今のところちゃんと起きられている。(何回かかけ忘れて夫がスーツに着替えているタイミングで起きた。あれ、朝なに食べた!?!?コーンフレーク!?そうかごめん!という焦りのやり取り)
二人で寝坊したら大変なので、激不快な目覚ましもラストチャンス!という時間でかけている。それを朝ご飯を作った後(ふっ、今日も残念だったな?)と解除する。
ここまでが、最近の私の朝の任務だ。
こうして、その時代の生活リズムにあわせてあらゆる手段を試されてきた目覚まし時計。今後もどんどん目の覚め方は変わるんだろう。
しかし、寝たい気持ちは変わっていないので、予定がなければ永遠に寝ています。私は今日もよく寝ているしちゃんと起きられているので安心して。
こんなに朝が苦手な私がすっきり目覚められる。
そう、iPhoneならね。
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